映画と自然主義 労働者は奴隷ではない.生産者でない者は、全て泥棒と思え

自身の、先入観に囚われてはならない
社会の、既成概念に囚われてはならない
周りの言うことに、惑わされてはならない

のらくら兵 (ジャン・ルノワール)

2016年09月21日 05時33分47秒 | ジャン・ルノワール
『のらくら兵』 1928年 83分

監督 ジャン・ルノワール
脚本 ジャン・ルノワール
   アンドレ・セルフ
   アルベルト・カヴァルカンティ
   クロード・エイマン
撮影 ジャン・バシェーレ

出演 ミシェル・シモン
   フェリックス・ウダール
   ジョルジュ・ポミエ
   ジャンヌ・エルブラン
   フリデット・ファトン
   ポール・ヴェルサ
   カトリーヌ・ヘスリング

いじめ.強い者が弱い者を困らせること.
小間使いと召使の恋人同士の二人は、お客の接待の仕事でヘマをしたために、おまえたちは出て行けと、首になってしまった.
家柄を鼻にかける詩人の男.ひ弱な彼は、兵営でいじめられる.
夜の公園でデートの鉢合わせ.相手を間違えて大佐ラブレターを手に入れたのだけど、そのラブレターを大佐との取引に使うのは、相手の弱みに付け込む行為であり、強いものが弱いものを困らせる行為と変わらない.
大佐は全てのいざこざを大目に見ると言った.大佐の権力によって兵を処罰することは、強い者が弱い者をいじめることと同じことであり、私はいじめは許さない、と、大佐は態度で示した.

十字路の夜 (ジャン・ルノワール)

2016年09月18日 22時54分16秒 | ジャン・ルノワール
十字路の夜 1931年 70分
監督 ジャン・ルノワール
助監督 ジャック・ベッケル
原作 ジョルジュ・シムノン
脚本 ジャン・ルノワール
出演 ピエール・ルノワール
   ジョルジュ・テロフ
   ヴィンナ・ヴィニフリート
   ジョルジュ・クードリア

『メグレと深夜の十字路』の映画化.メグレ警視ものの最初に映画化された作品.

あまりよい映画とは思えない.映画全体に渡って何か少しずつ足りないように思えるが.

悪女(悪党)
エルス
『カールが出かけるとき自分から軟禁されることを望んだ』と言って、貞女の振りをしているが、合鍵を作って男を引き込んでいた.夫を睡眠薬で眠らせて、やはり男を引き込んでいた、どうしようもない悪女.であったのだが.....

色気で警視に迫って、捜査の邪魔を試みたが、それは通用しなかった.
『フランスの刑事が皆あなたみたいなら、悪人も悪くないわ』
この言葉、どう受け取ったらよいのか.....

『兄さんはそう思ってない.高飛びした』
『私を置いて?』
.....
『逃亡は自白と同じだ』
『兄は逃げていない.頭が変になったのよ』
『妙なことを』
エルスは不貞な女ではあったが、カールを信頼していた.

最初の夫が金庫破りをしているとき見張りをしていて撃たれた、左の乳房の上に弾傷が.この傷は夫をかばって負ったではないのか?.
金庫破りの夫が、窓ガラスの割れ目からメグレ警視を狙っていた.それに気づいたエルスは警視の近くへ行って邪魔をしたのだった.彼女は悪党、色気で誰にでも言い寄る悪女ではあったが、惚れた相手を体を張ってかばう、けなげな、純真な一面も持ち合わせていた、と言えるのであろう.

体を張って相手をかばう、命をかけて相手に尽くす、それだけの気心を持ち合わせているのなら、自分が誰を大切にしなければならないのか、それを考えれば、おのずとそこに、正しい生き方が見つかるのではないか.....