こないだ帰省した際に、飛行機の中で鎌倉時代の刀剣展示が行われていると知ったので、日本橋の静嘉堂文庫美術館に遠征してみた。
鎌倉時代限定ということもあり、備前長船で有名な備前派の展示が多かったが、太刀や脇差だけでなく小太刀(四乃森蒼紫!)や短刀などバリエーションがあってなかなか興味深かった。
いくつかのパートに分けられており、冒頭画像のように鎌倉時代に製造された刀剣を所持していた著名人の紹介も面白かった。ちなみに画像は織豊時代~江戸初期を生きた向井忠勝の愛刀で、鎌倉時代半ばの備中国にて製造されたものとの由。
今回は刀剣を美術品として鑑賞する、ということで見所を細かく説明していたのが印象的だった。あまりに熱が入り過ぎてか、「刀文」「肌」「造り込み」「沸え」など項目分けするのはいいとしても、「よく沸づく」や「ねっとりうねる九州地鉄」といった表現が色々な角度から刀を見る方法の画像と組み合わされると、作成者のフェティシズムが感じられるようでおもしろかったw
ちなみに刀身の見分けはなかなか難度が高いが、鞘には明らかな時代の特徴が出やすく(まあ家紋とかも入れるしね)、こちらに注目してみるのも興味深いだろう。
上から順に、昭和・明治・織豊・明治となっている。
まあ上の二つは画像を加工して遊んでいるためわかりづらいかもしれないが、双方とも実に美麗な装飾がなされている。それに対し、織豊時代のもの(3番目)は朱色による艶やかさは目を引くものの、装飾そのものは簡素である。
また最後の明治時代の鞘は、全体的な装飾こそ多くないが、先端部分の飾りには明らかにサーベルを収める鞘の影響が見て取れる。言い換えれば、明治期において、欧風文化(文明開化)が日本的なるものの象徴とも言える刀の鞘にさえ及んでいたことがわかる(と書きつつ、創作ではあるが、『るろうに剣心』で明治時代を警察官として生きる藤田五郎が、サーベルの脆弱性を嘆いていた場面を思い出すところだ)。
というわけで、刀剣そのものの美しさはもちろん、その刀の辿った運命や、あるいは鞘から見る時代性なども知ることができて大変興味深い展示であった(12神将立像とか他にも色々おもしろかったものはあるが、それはまた別の機会に)。
ただなあ、塵地螺鈿飾剣は見つからなんだ・・・まあ飾太刀は平安期のものだからしょうがないね。ちょっくらディープなダンジョンに潜ってキャッチしてくるわ(・∀・)
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