高知の自然 Nature Column In Kochi

南四国で見かけた蛾をおもに紹介していましたが、現在更新を中止しています。

シロスジヒトリモドキ(沖縄編12)

2008年12月11日 18時04分43秒 | Weblog
沖縄で灯火に飛来するヒトリモドキの仲間で一番多いのがこのシロスジヒトリモドキである。
真冬はどうか知らないが、春から晩秋までほとんど1年中見ることができる。

2年前に石垣島で初めて本種を見つけたときはとても感激したが、平地でも山間部でもどこでも多く飛来するのにはあきれてしまった。
この個体はコンビニに飛来したものである。
昼間も花に吸蜜に来ると聞いているが、私はまだ見かけたことがない。

シロスジヒトリモドキはインドからオーストラリアにかけて広く分布していて多くの亜種に分かれている。
台湾の亜種は頭部と胸背が前翅と同じくらい暗色であるという。
西表島や石垣島では胸背が暗色で頭部が黄色の個体が見られる。
これは日本の亜種と台湾から侵入した亜種が交雑したものだろうか?

幼虫はクワ科のオオバイヌビワやコウトウイヌビワを食べるという。
(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.27)

ツマキモンシロモドキ(沖縄編11)

2008年12月10日 10時07分40秒 | Weblog
宿のベランダに水銀灯を設置し、朝起きてのぞいてみるとにツマキモンシロモドキが飛来して壁に止まっていた。

前翅の白い紋はくっきりと大きく帯状に並び、モノクロがデザインのスッキリ感を高め、なかなか素敵な模様をしていると思う。

ツマキモンシロモドキは台湾、中国、インド、マレーに分布していて、日本で見つかるものはこれまで偶産種とされてきた。
沖縄本島ではまれながら毎年確認されていて今ではほぼ定着したものと推定される。
(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.26)

クロシマカラスヨトウ(沖縄編10)

2008年12月09日 08時39分51秒 | Weblog
大国林道で灯火に黒っぽいやや大型のクロシマカラスヨトウがやってきた。
大型とはいっても四国でよく見かけるオオシマカラスヨトウと比べると小さい。
照首山でも飛来したがそちらは採り逃がしてしまった。

見つけたときはシマカラスヨトウAmphipyraの一種としかわからなかったが、帰宅して調べると、琉球列島に分布するAmphipyraはクロシマカラスヨトウだけということですぐに同定できた。
沖縄本島北部に分布する希少種である。
(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.27)

イチジクカサン(沖縄編9)

2008年12月08日 09時35分33秒 | Weblog
こちらも図鑑に出ていないイチジクカサンである。
カイコガ科に含まれ、これは開張23mmある。

日本蛾類学会発行の蛾類通信219をみると、イチジクカサンはスリランカで記載された種で、インド、中国、台湾、フィリピンに分布し、イチジクやガジュマルの害虫とされている。
日本では石垣島で2001年12月と2002年1月に初めて発見されている。

私は2007年5月に石垣島と西表島で見つけた。
そして今回の沖縄本島での発見はおそらく分布の初記録ではないかと思われる。
(撮影:沖縄県大宜味村 2008.11.28)

シラフアカガネアツバ(沖縄編8)

2008年12月07日 10時18分05秒 | Weblog
沖縄で灯火に飛来した白い斑点をもつ小型アツバを発見した。
これが図鑑に出ていない種であることはすぐにわかった。
どこかで見た覚えはあるが思い出せない。

後日帰宅して調べてみると日本蛾類学会発行のTINEA14に出ているシラフアカガネアツバということがわかった。
沖縄本島北部で12月初旬に発見されている。
発見場所も今回とほぼ同じようだ。
この季節に沖縄本島北部で発生するものと考えられる。

灯火採集第1日目にしてこのような珍しい種に出会えるとはラッキーだった。
(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.25)



バナナセセリ幼虫(沖縄編7)

2008年12月06日 10時24分57秒 | Weblog
沖縄の道路縁ではバショウが植えられていてよく目につく。
どれも葉は虫に食べられていることが多い。
近寄って見ると一部の葉は巻かれていて中に幼虫がいそうである。
巻いた葉をとってそっと開いてみると中に白い大きな幼虫が潜んでいた。
バナナセセリである。

後日調べてみると沖縄本島には1971年に侵入以後定着しているらしい。
幼虫はバショウ科のバショウやバナナを食べる害虫とされている。

成虫は薄暗くなる夕刻に出現するらしく見ることはできなかった。
そのかわり撮影はできなかったが、ほぼ同じ大きさのオキナワビロードセセリは多数見ることができた。
(撮影:沖縄県大宜見村 2008.11.27)





クロマダラソテツシジミ(沖縄編6)

2008年12月05日 10時46分04秒 | Weblog
ルリウラナミシジミのいた場所から少し離れた草地にはやや色の薄いシジミチョウがいくつか飛んでいる。
日頃チョウに疎い私には何なのかわからないまま撮影して帰省し、後日画像を見ながら図鑑で調べるとどうもクロマダラソテツシジミのようだった。

クロマダラソテツシジミはフィリピンや台湾に生息していて日本では迷蝶とされている。
ネットで調べると昨年の1007年は大発生して北上し、秋には九州をはじめ本州の京都、滋賀、奈良、三重あたりまで見つかって話題になったらしい。
今年の発生状況はどうなのだろう。

沖縄本島で今年も見つかったということは、少なくともこの地では定着したのかもしれない。
(撮影:沖縄県大宜見村 2008.11.27)


ルリウラナミシジミ(沖縄編5)

2008年12月04日 10時53分20秒 | Weblog
沖縄で昼食をとろうと立ち寄ったレストランの横で数頭のシジミチョウがチラチラ飛び回っている。
はねの裏模様からどうもウラナミシジミの仲間のようだ。
何だろうと思って捕らえてみたら表が濃い瑠璃色に輝いていた。
この色合いからみるとルリウラナミシジミらしい。

ルリウラナミシジミは石垣島や西表島が定着北限で、それ以北は迷蝶になる。
九州まで北上した記録があるようだ。

はねを閉じて止まるので、残念ながらこの美しい瑠璃色は撮影できなかった。

(撮影:沖縄県大宜見村 2008.11.27)

ナガサキアゲハ♀(沖縄編4)

2008年12月03日 11時47分00秒 | Weblog
沖縄でミカン園をあちらこちらで見かけたせいかナガサキアゲハがぼつぼつ飛んでいた。
飛んでいるアゲハはほとんどがこれだ。
高知県でもよく見かける普通種だが、沖縄の個体は白化が強くて特に後翅の白紋が大きくとてもよく目立つ。

今回沖縄で撮影した写真は全部で600枚ほどあり、そのほとんどは蛾になる。
同定に時間がかかりそうな種が多くて画像整理完了まで日数がかかりそうなことや
採集してきた約130個体の展翅作業に毎日追われている状態でそれに時間がとられる。
ということで、手持ち撮影でピントが甘いけれどとりあえず撮影枚数の少ない蝶から先に紹介します。
(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.28)



キオビアシブトクチバ(沖縄編3)

2008年12月02日 11時14分57秒 | Weblog
沖縄で見つけた2番目に大きな蛾はキオビアシブトクチバだった。
これも初めての出会いとなる。

アシブトクチバと呼ばれる中ではオオシラホシアシブトクチバに次ぐ大きさで、この画像ではよく見えないが後翅に黄色い帯があるのが何とも魅力を感じさせる。

いつ飛来したのか気づかなかったがいつの間にか蛾幕の裏にひっそりと止まっていた。
沖縄というところははすごい

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.26)