杉森神社の物語(東広島市河内町)癒しのある風景

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9月の日記11 「庭内神し」の敷地等に係る相続税法上の取扱ひの変更

2012-09-12 19:10:55 | 神職・宮司になるためコーナー

 9月11日

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「庭内神し」の敷地等に係る相続税法上の取扱ひの変更について

 

月刊若木(神職向け)9月号13Pに記載がありました。(若木を読めない人以下を参照)

 

庭内神しの敷地部分が相続税法上の非課税財産に該当するか否かの判断が争われた事件で東京地裁は、敷地と祠は社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある相当範囲の敷地であるから非課税財産に該当すると判断、納税者側の主張を全面的に認容する判決を言い渡した。

  この事件は、納税者らが相続税の課税価格の計算に誤りがあったとして行った更正の請求に対して、原処分庁が一部の主張は認めたものの、非課税財産に該当するとして申告した土地については非課税財産には該当しないと判断して一部のみを認める各更正処分を行ってきたため、審査請求後、各更正処分の一部の取消しを求めて提訴された事案である。

  納税者らは、庭内神しは祭具ではなく、墓所、霊びょうに準ずるものに該当し、その敷地は相続税法基本通達12-1の「これらのものの尊厳の維持に要する土地」に該当するから、その敷地部分は相続税の非課税財産に該当すると主張。これに対して原処分庁側は相続税法基本通達12-1が墓所、霊びょうに敷地を含むとしているのは、相続税法の墓所、霊びょうと民法の墳墓の解釈を統一するためであって、庭内神しの敷地まで非課税財産に含む趣旨とは解されないことから非課税財産には該当しないと反論していた。

  これに対して判決は、稲荷や弁財天等の各祠及び敷地の外形及び機能に鑑みれば、その敷地は各祠と社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある相当範囲の敷地ということができることからすると、相続税法上の非課税規定にいう墓所、霊廟に「準ずるもの」に該当することができると判示、納税者側の主張を全て認容する判決を言い渡した。この判決を受けて国税庁は、取扱いの見直しを明らかにしている。

(2012.06.21東京地裁判決、平成22年(行ウ)第494号)。

↑ http://www.ht-tax.or.jp/taxtopics/2012/08/06.html税理士さんが記載した内容

 

(これは、もしかして、国税不服審判所の平成22年の裁決結果による提訴だったのかも。平成22年の裁決では、庭内神しの敷地部分は相続税法第12条第1項第2号に規定する相続税の非課税財産には該当しないとしている)

  

国税庁HPでは、

「庭内神し」の敷地等に係る相続税法第12条第1項第2号の相続税の非課税規定の取扱いの変更について

 

○「庭内神し」の敷地については、「庭内神し」とその敷地とは別個のものであり、相続税法第12条第1項第2号の相続税の非課税規定の適用対象とはならないものと取り扱ってきました。しかし、「庭内神し」の設備とその敷地、附属設備との位置関係やその設備の敷地への定着性その他それらの現況等といった外形や、その設備及びその附属設備等の建立の経緯・目的、現在の礼拝の態様等も踏まえた上でのその設備及び附属設備等の機能の面から、その設備と社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある相当範囲の敷地や附属設備である場合には、その敷地及び附属設備は、その設備と一体の物として相続税法第12条第1項第2号の相続税の非課税規定の適用対象となるものとして取り扱うことに改めました。

 

(注)「庭内神し」とは、一般に、屋敷内にある神の社や祠等といったご神体を祀り日常礼拝の用に供しているものをいい、ご神体とは不動尊、地蔵尊、道祖神、庚申塔、稲荷等で特定の者又は地域住民等の信仰の対象とされているものをいいます。

 

○この変更後の取扱いは、既に相続税の申告をされた方であっても、相続した土地の中に変更後の取扱いの対象となるものがある場合には適用があります。

 (注)法定申告期限等から既に5年を経過している年分の相続税については、法令上、減額できないこととされていますのでご注意ください。

  

相続税法

(相続税の非課税財産)

第十二条

 次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。

二 墓所、霊びよう及び祭具並びにこれらに準ずるもの

 

相続税法基本通達

(「墓所、霊びょう」の意義)

12-1 法第12条第1項第2号に規定する「墓所、霊びょう」には、墓地、墓石及びおたまやのようなもののほか、これらのものの尊厳の維持に要する土地その他の物件をも含むものとして取り扱うものとする。(平元直資2-207改正)

(祭具等の範囲)

12-2 法第12条第1項第2号に規定する「これらに準ずるもの」とは、庭内神し、神たな、神体、神具、仏壇、位はい、仏像、仏具、古墳等で日常礼拝の用に供しているものをいうのであるが、商品、骨とう品又は投資の対象として所有するものはこれに含まれないものとする。

  

民法

 第897条 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。

 さて、上記をもう一度みてみよう。

 法律上「墓所、霊びよう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」の記載。

 法律上の用語使用として「及び」と「並びに」は「(A及びB)並びにC」と解されるはず。しかし、基本通達は、12-2の見出しに(祭具等の範囲)と示していることから、「A及び(B並びにC)」として通達されているように見受けられる。

 そして、今回の国税庁の取扱変更の提示は、通達そのものの変更を伴っていないことに疑問あり。12-2の見出しは「墓所等の範囲」とすべきでは?

 また12-1「おたまや」は「みたまや」の誤記と思われる。

  

そして、国税庁の取扱変更文には(注)があり、これが曲者!

 (「庭内神し」とは、一般に、屋敷内にある神の社や祠等といったご神体を祀り日常礼拝の用に供しているものをいい、ご神体とは不動尊、地蔵尊、道祖神、庚申塔、稲荷等で特定の者又は地域住民等の信仰の対象とされているもの・・・・)

 「一般に、屋敷内にある」をどう解するか!個人住宅の敷地で、他者が勝手に入ることが憚れる状態であるものが、屋敷内という表現と考えられるが、一方で「地域住民等の信仰の対象」ということは、地域住民等がその敷地内に容易に入ることができる状態であり、表現に矛盾を感じる。

 

相続税法上も基本通達上も注意書きのようなことは一切規定されていない。墓地等が屋敷内であろうが、地域住民等が容易に入れるか否かなどを条件としていない。

 そもそも注意書きに法的拘束力もないので、法律解釈のみでいけば、個人所有の土地の上の墓地等と解するもの。これが正しければ(素人ゆえ、自信はないけれど(~_~;))、個人所有の土地にある神社が含まれるのではないか。

 

すると、相続税法上の霊廟と見られていなかった神社にどのような影響があるかなあ

 ①現在、非宗教法人神社で土地が個人所有の場合、相続税非課税により相続者による相続税支払いのための土地の切り売りが減少する可能性が高い。

 但し、これまでと同様、相続者多数になる場合、所有持ち分増加で、次世代の相続者が困難。さらに宗教法人化への道も相続者全員の同意作業が大変。

 ②現在、宗教法人神社で、土地が個人所有の場合、①と同様、相続税非課税により相続者による相続税支払いのための土地の切り売りが減少する可能性が高い。さらに①と同様の但し書き。

  尚、土地の持ち主が神職ならば、大方安心ということになる。

また、こんなことも考えられる

 ③現在、公有地上に神社がある場合で、非宗教法人の場合(北海道の空知太神社のようなケース)、余計な問題が生じることを懸念して、役所が個人に土地を有償で処分することを検討するかもしれない。

  但し、個人が自分のお金ではなく、地域から持ち寄ったお金で役所から購入する場合、まず得たお金に対する所得税がかかることは注意が必要だが、大いに検討できる。

  尚、その後は、①と同様。

 ④現在、公有地上に神社がある場合で、宗教法人の場合、宗教法人への処分よりも個人への処分の方が役所内部で決裁が通り易いと考えた場合は、③と同様となる。

 ⑤上記①~④はいずれもいつかは、相続者多数になることが懸念されるので、その前に個人が個人(神社関係者・例えば宮司個人に)に土地を処分(売却または贈与)すれば、相続税の方は心配なくなる(個人が手放してくれることが条件)。

 但し、贈与税がどうなるか。贈与税は相続税を補完するものであるが、贈与の場合は、任意に誰にでも(贈与)出来、必ずしも目的が引き継がれるとは限らないので、非課税にしないと考えられる。

 ただし、贈与税も控除額110万円であるので、それ未満ならば贈与税はかからない。

 因みに、通常より安く買った場合は、買主は、時価と購入価格の差額だけ得をしたことになり、そのもうけ(実勢価格(時価)-購入額)に対して贈与税がかかる。

 また、不動産取得税や登録免許税はかかるんじゃないかなあ。固定資産税は役所の裁量。

 

 以上のように税金がかかることを踏まえたうえで検討が必要。

 

 

尚、裁判所の判決内容「敷地と祠は社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある相当範囲の敷地」の範囲がこれからも問題となるだろうし、相続税のがれをしたい人は、どんどん個人所有地に「庭内神し」などの建立をする恐れ大、大、大なり。ん~~~~さあ、どうする〇税庁!

 

 

久々に考えてみました。一夜で考えたことなどで、不備や検討違いがあるかもしれませんので、あくまでも独り言ということで・・・・(今日の日記が削除されたときは、きっと何らかの圧力がかかり、削除を強要されたときだと思います・・・・・なんてね(^_^;)