菅原貴与志の書庫

A Lawyer's Library

時効障害事由

2011-09-07 00:00:00 | 債権法改正
第5 消滅時効
5.<時効障害事由>

・ 現行の時効中断事由(民147)は、実務的に定着しているため、これを時効の停止のごとき制度へと変更する必要性は感じません。
・ 弊社の債権回収実務では、債務者の預金債権を(ある程度見込みで)差し押さえ、いずれも「空振り」に終るという事例が相当数あります。したがって、こうした場合に時効中断の効力が生じなければ、実務への影響が大きいと思われます。
・ 当事者間の協議・交渉を時効障害事項とする考え方には実益が認められますが、制度設計に際しては慎重に検討すべきでしょう。たとえば、協議さえしていれば、時効の進行が停止するとなれば、それを嫌って、あえて協議の席につきたがらない不誠実な債務者がいないとも限らず、これではかえって早期・円満な事案解決ができなくなるといった事態も懸念されます。

 以上は、経産省「債権法改正検討WG」委員として意見具申した概要を連載しています(6/08参照)。