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ナチュラル・ウーマン 【監督:セバスチャンレリオ】

2018-12-27 06:31:21 | 映評 2013~
「ナチュラル・ウーマン」


飯田橋ギンレイホールにて、シェイプ・オブ・ウォーターとの併映で見た。なんとお得な二本立てか


スクリーンに釘付けな魂の映画
ダニエラ・ベガは聖女に見えた
皆から嫌われ恐れられ馬鹿にされ汚されてもなお、彼女は清らかで美しくあり続ける

映画作家は、今その映画を作る意義を自分にも世界にも問いかけていかなければならない…と、最近は本気で思う。
訴える事なんか別に無い、単に面白いからって映画も別にいいのだけど、こう映画を観る時間が少なくなり、人生の残り時間もどんどんなくなってきている今、貴重な映画鑑賞時間をただの暇つぶしや、業界向け就活に付き合っているのはもったいない。
そこで、この映画「ナチュラル・ウーマン」だが(でもこの邦題はどうかなあ…「ファンタスティック・ウーマン」でよかったのでは)これは明確に強い作り手の意志を感じるのだが、果たしてその意志はこの作品に限っては監督と俳優のどちらに強いのだろうと思ってしまった。
つまりそれだけ主演「女優」のダニエラ・ベガの魂の輝きの強さが圧倒的なのだ。
監督が女優を使って魂の叫びを映画にしているのか?女優が監督を使って魂の叫びを映画にさせているのか?
もちろん俳優は脚本に沿って、監督の演出に従って演技し、編集でいいところをツギハギされているのだから、映画の感動を俳優の力が大部分を占めるなんてことはそうそうない。
あ、いや、ジャッキー映画やブルース・リー映画は例外かもしれない。
そうか、ダニエラ・ベガの力強さ、美しさ、心のとらえ方はジャッキー映画に近いのかもしれない?!

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ハリウッド的シナリオセオリーは無視した展開
起承転結はまあまああるのだけど、最初の15分でゴールを提示する気などない
マリーナがこの物語の最後でどこにたどり着くのか、本人にはわからない
その不安を観客は共有する
しかし彼女は決して流されるキャラではなく、悩み、苦しみ、悲しみ、怒り、そして行動して道を切り開いて行く
彼女は物語の最後に、国を動かしたわけでも、奇跡を起こしたわけでもないけど、やりきった。小さい小さいことだけれどそれはたしかに魂の輝きを見せた大きな勝利だった
これは2018年を代表すべき映画だと思う

しっかしまあ、マリーナのパートナーの家族たち、みんな杉田水脈に見えるよ!!

「ナチュラル・ウーマン」
監督 セバスチャン・レリオ
脚本 セバスチャン・レリオ、ゴンサロ・マサ
出演 ダニエラ・ベガ
チリ映画
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