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アリス紗良オットさんの『エコーズ・オブ・ライフ』

2022-04-13 23:42:00 | クラシック音楽
今まで隠してきましたが…ってわけでもないですが、実は私ピアニストのアリス紗良オットさんが好きで
5月のコンサートのチケット取れちゃったもので、コンサート演目のアルバムを緊急購入して予習しております。

好きって言っても、ピアニストの目利き(耳利き?)できるほど、ピアノ演奏知らないし、他のピアニストの方の演奏聴きまくってるでもないのですけどね

アルバムはショパンの24の前奏曲を数曲ずつのブロックにわけて、ブロックの区切りごとに現代音楽のピアノ曲をツナギに演奏するような、変わった構成になっています。
日本仕様のアルバム買ったおかげで、オットさんのアルバムへの思いについて書かれた長めの文章の日本語訳が読めまして、この曲順の意味もわかりました。

ピアノ演奏家というのを超えた表現者になろうとしている彼女の意志が伝わってきます。

ツナギの一曲、武満徹のリタニ第1曲に寄せて書いた文が特に心を打ちます

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音楽こそ、私が自分を定義できる唯一の場所
〜中略〜
私が見た目を基に常にカテゴライズされ"他者"にされ続けてきたから
〜中略〜
どう考えるか、どう行動するか、そしてどう人とつながるかで、私は私自身を定義します

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収録曲の最後は作曲者がアリス紗良さん名義になっている「ララバイ・トゥ・エターニティ」です。
といっても曲名に()で括って「モーツァルトのレクイエムからラクリモーサの断片をもとに」となっております。
元がレクイエムで、彼女なりの曲名が「永遠への子守唄」となると、自分とは何かをピアノで自問自答し続けた終着点が「死」というのがなんとも切なくなります。
けれどもアリスさん自身のノートによると最後の曲の意味は「限りある命は永遠になり、限りある時も永遠に」「答えのない問いかけのための余白」とのことで、やがては命が尽きるということも、肯定的に捉えているのかもしれないです。
激しめに綴られたショパンの前奏曲集の最後の最後のエピローグ曲で心の平穏にたどり着いたような印象を抱きます。

このアルバムは曲単体の演奏をどうこういうものではなく、65分ある収録時間を目いっぱい使い、その曲順も含めて、アリス紗良オットさんの自己表現として捉えるべきだと思います。

ショパンが伝えたいこととかあるいはどうでもよくて、だとするとクラシックのアルバムとしては賛否あるかと思います。
アルバムによる自己表現てこと自体、もしかすると通俗的なことかもしれませんが、何にも縛られずに自由に表現する姿勢は私は好きです。

サントリーホールが楽しみだ

#アリス紗良オット #ショパン

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