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映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

2010年代映画ベストテン 【2-01】外国映画10年代ベストテン

2020-03-21 00:38:01 | 映画ブロガーとSNS映画レビュアーによる10年代映画ベスト
ブロガー&SNS映画レビュアーの10年代外国映画ベストテン
※年度は日本公開年

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第1位 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 監督 : ジョージ・ミラー (2015年) [総合47点/投票6名/ベストワン4名]


なんて日だ・・・なんて最高の日なんだ!

「洋画は多すぎるので、もうインパクト勝負。この10年で驚かされた順番(で一番)」(ノラネコ)
「全編血沸き肉躍る活劇。一切の妥協なし。最高です。」(sakurai)
「We are not things!」(しめじ)
「フィクションの世界を成立させるだけの作品の「強度」」(えい)


80年代僕らを興奮させ、主に北斗の拳に影響を与えたマッドマックスが帰ってきた。
ベイブ2を監督し、ペンギンアニメ「ハッピーフィート」で初のオスカーを取っていたジョージ・ミラーはとっくにオワコンだと信じていたし、ランボーみたいなサブタイトルなんなの?と思ったり、メルギブのいないマッドマックスなんて…などと実はあまり期待はしていなかった。
しかし、蓋を開けてみれば「2」を遥かにこえる熱血ぶりで、マックス役もトムハーで全然OK
なんだ、トムハー、これならインディもボンドも、なんならランボーも、なんなら寅さんも全部お前がやれよ。
だったらサクラはシャーリーズセロンか、メルギブはおいちゃんか、
とは言えこの映画ではトムハー以上にシャーリーズのフュリオサ大隊長がお株を上げ、そしてみんなイモータンジョー様を大好きになってしまった
砂煙を引き裂く車の排気音と銃声が、10年代のあらゆる映画を飲み込みんだ。予想はしてたが圧倒的な1位でした。


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第2位 『スリー・ビルボード』 監督 : マーティン・マクドナー(2018年) [総合36点/投票6名/ベストワン1名]


「言わなきゃいけないことがある。警察署を燃やしたのは私よ」
「他にいったい誰がいるっていうんだ」


「今後作り手の教科書になるであろうな、という革新性や、力量がある作品」(谷口雄一郎)
「人の弱さ、脆さを演じて見せた」(にかいどう)
「あれができる女優さんはなかなかいない」(sayapen)


10年代田舎映画日本代表がビジランテなら、アメリカ代表はスリービルボードか・・・
いい映画というのは、いい脚本といい役者が基本なんだと当たり前のことを再認識できる優れた物語。
アメリカの田舎女を演じれば無敵なフランシス・マクドーマンド。
アメリカ白人クズ野郎の全てを結晶化させたようなサム・ロックウェル。彼はそのあまりのクソはっぷりが高く評価されて、『バイス』でジョージ・ブッシュ役に大抜擢される。
あとウディ・ハレルソンは、wikiの略歴の最初の数行が強すぎる



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第3位 『インセプション』 監督 :クリストファー・ノーラン (2010年) [総合34点/投票4名/ベストワン2名]

モルは、彼女の奥底のどこかに鍵をかけ、真実を忘れ去ることを選んだんだ

「都合4回見に行きましたが、見に行くたびに新しい発見」(sakurai)
「脳内宇宙の多重世界に翻弄される快感。観客を迷宮に突き落とすラストも秀逸」 (wanco)


前回ディケイドでベストワン作品に輝いたダークナイトのクリストファーノーランが、得意の時系列かき乱しを、夢を使って描く。そこに誰も見たことのない圧巻の映像がくわわり、観たことも聞いたこともない「熟睡アクション」という新ジャンルを誕生させた。
「ノーランの10年代」幕開けを告げた作品。


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第4位 『アベンジャーズ/エンドゲーム』 監督 : アンソニー・ルッソ&ジョー・ルッソ (2019年) [総合32点/投票6名/ベストワン0名]


アベンジャーズ…アッセンブル!

「アメコミの10年だったのだなという印象。MCUは集大成の「エンドゲーム」に纏めて代表してもらった」(ノラネコ)
「2008年の「アイアンマン」から始まる一大ブロジェクトを完遂したことに賞賛」(wanco)
「この10年間で作ってきたシリーズの大団円として熱い感動」(しん)


「この10年」という括りで考えると、そのディケイドでのシリーズ完結作は強い。
前回だとロードオブザリングとかが当たるのだけど、10年間色々あったヒーローたちの葛藤、苦悩、挫折、愛、友情、全てを結実させて、完璧なタイミングで大団円に持ってきて感動しすぎで嗚咽がこみ上げる者続出
今回企画ではシリーズに対する投票を可能としたので、「エンドゲーム」への投票と「アベンジャーズ」シリーズへの投票、さらには「MCU」というざっくり投票で分散するかもと思ったが、マーベル好きのみなさんそこはわかってらして「エンドゲーム」に投票が集中した。
でもみんなの心はこの一作ではなく、キャプテン、トニー、ソー、などなどへの愛だろう。


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第5位 『きっと、うまくいく』 監督 : ラージクマール・ヒラーニ (2013年) [総合23点/投票3名]


困難が発生した時には、こう唱えるんだ。”うまーく、いーく”

「インド映画の素晴らしさを見せてくれたアーミル・カーン」(sakurai)


00年代ベストテンではアメリカヨーロッパ以外では香港と韓国が頑張ってくれましたが、今回は欧米の牙城を崩す勢いだったのはインド映画でした。
実は『バーフバリ王の凱旋』もテンをうかがう位置につけていて(19位)、インドのスパイシーな映画が暴れまわった10年だったのかも。インド映画ではないけど『ライフ・オブ・パイ』も15位につけているし。それでも『バーフバリ』よりこっちが来るのは「やるね」ってことで、やるね映画その4
他に欧米以外だと17位『息もできない』(韓国)、26位『オマールの壁』(パレスチナ)、『新感染ファイナルエクスプレス』(韓国)、『ROMA』(メキシコ...まあ資本はアメリカだけど)、33位『草原の実験』(ロシア...「欧米以外くくり」でいいのか?)、35位『1987 ある闘いの真実』(韓国)
20年代は初っ端から『パラサイト』旋風だったので、非欧米作品も沢山話題になるかと思います。

いや、それにしても、インド映画って何かと歌って踊って勧善懲悪愛は勝つな王道物語ばかりと思っていて、『きっと、うまくいく』も前半はやや垢ぬけたいつものインド映画と思いきや、後半からのまさかの展開から、友情も愛も命も絆も全部がすごい勢いでまとめあがっていき、ぼろぼろ泣きつつあちこち大笑いと、観ているこちらの心も大忙しな傑作でした。インド映画らしく例によって3時間くらいあるけれど、あっという間で、インド映画はむしろそれくらいないと物足りない。
アーミル・カーンは普通にイケメンかつ演技もスパイス控えめ塩味系統なのでインド映画ファンじゃなくても「きっと、うまくいく」


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第6位 『ゼロ・グラビティ』 監督 : アルフォンソ・キュアロン (2013年) [総合21点/投票5名]


宇宙なんて大嫌い!

「これほど、それ以前と以後をはっきり分けた境界値映画って「ジュラシックパーク」以来」(しん)


上下が無くて空気が無くて音が無い宇宙に投げ出された女性。それは究極サバイバル。
そういえば10年代のアカデミー賞はメキシコの監督たちが大いに気を吐いた。キュアさんイニャさんトロさんの3人で監督賞5つ、作品賞2つ。
本作の撮影監督のエマニュエル・ルベツキもメキシコ出身で、本作を皮切りに3年連続でアカデミー賞撮影賞受賞。生きる伝説級のカメラマンとして映画ファンに認知されるようになった。
トランプの壁なんかぶっ壊せ!


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第6位 『インターステラー』 監督 : クリストファー・ノーラン(2014年) [総合20点/投票3名/ベストワン1名]


親になるというのは、子どもたちの未来の幽霊になることなんだ

「時間と重力の関係をうまく使っていた」(sayapen)
「あれだけ尺の長い映画にもかかわらず、最後まで飽きさせず、ラストに深い感動をよぶ作品は本当に凄い!の一言」(nyanco)


10年代席巻したノーラン時空祭りの2つ目。どこか藤子FテイストのコテコテのSF。ノーランは「2001年宇宙の旅もいいけど2010年いいよね」みたいなことを言ってたので納得。
これだけのSFをCGつかわずミニチュアでやるオタクっぷりもまた頼もしい
前回ディケイドはSFファンタジー(コミック含む)が4作品だったのに対し、今回は7作品。この10年での技術の向上と、こうした作品に対する世間の評価も変わってきたことを表しているものと思われ、その最大の功労者がノーランと言ってよい


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第8位 『わたしは、ダニエル・ブレイク』 監督 : ケン・ローチ (2017年) [総合19点/投票3名/ベストワン0名]


私はダニエルブレイク。人間だ。

「実はこの10年の外国映画部門の号泣ベスト1」(しん)
「国を超えて、わたしとあなたのそばに共にある映画(かもしれない・・)」(にいさん)

10年代、アメリカの大統領はオバマからトランプに代わり、イギリスはEUからの離脱が国民投票で決まった。
先進国は移民排斥、右傾化が進み、「自己責任社会化」もまた進んだ。
そうした世界の流れはリベラルな映画作家たちを奮い立たせ、貧困や格差社会が描かれるようになる。『万引き家族』『パラサイト』など。
映画界にそうした潮流を作ったのはケン・ローチだった。
「まず俺たちと話せ、話を聞け」というシンプルな怒りをケン・ローチは映画を使って叫ぶ。


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第9位 『キック・アス』 監督 : マシュー・ヴォーン (2010年) [総合19点/投票2名/ベストワン1名]


オーケー、オ●●コ野郎ども。お前らの実力を見せてみな

「10才の女の子が屈強な男たちを次々とぶち殺していく様は、他の何もかもをぶち壊す力がありました。」(しん)


実は10位争いが接戦で、10点以内の差の作品が30もあり、選者があと一人増えるだけで、ベストテンの下位の方はかなり大きく動いた可能性がある。混戦の中、9位に3作品が同点で並ぶ形となった。

撮影時10才くらいのクロエ・グレース・モレッツちゃんがマフィアどもを銃や刃物で次々と残虐に殺していくこの作品の公開が2010年。少女+血みどろ描写で壮絶な幕を開けた10年代。でも今にして思えば、暴力映画の10年代、ヒーロー映画の10年代、オタク映画の10年代、ジェンダーやハラスメントの10年代・・・などなどいろいろな意味で10年代らしさにあふれていた気がする


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第9位 『ミスター・ノーバディ』 監督 : ジャコ・ヴァン・ドルマル (2011年) [総合19点/投票2名/ベストワン1名]


私の生きたどの人生も真実だ。どの道も正しい道だった。

「見終わってから味わえる時間がとても長く、見直せば見直すほど好きになる。」(menfith)
「脳みそフル回転で見る映画ってのは大事です。」(sakurai)


『トト・ザ・ヒーロー』のジャコ・ヴァン・ドルマル監督のSF映画。SF映画というやつは体育会系と文系の二派に別れると思っていて(なぜか理系はない)、マッドマックス、ゼログラビティが前者で、ノーランは後者。これも後者の系譜。
2011年日本公開のこの作品だが、海外公開は2009年。『インセプション』他10年代文系SF映画に影響与えた可能性あり。
当時はまだ知名度の低かった主演のジャレッド・レト。2013年の『ダラス・バイヤーズクラブ』でアカデミー助演男優賞を受賞。その後はジョーカー演ったり、タイレルの後継者やったりで活躍中なのはご存知の通り!


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第9位 『6才のボクが、大人になるまで』 監督 : リチャード・リンクレイター (2014年) [総合19点/投票2名/ベストワン1名]


頑張れ、人生は甘くない

「映画表現としての限界突破を感じました。時間すら超越するという。」(しん)


シリーズ続けて気が付いたら12年たってました、という作品は珍しくもないけれど、最初から12年かけて撮ろうとした映画は珍しい。
公開が2014年だから、撮影が始まったのは2001年くらいか。93年の『トゥルーロマンス』では可愛かったパトリシアアークエットもそのころすでに若くもなく、女優にとってそこからの12年って覚悟のいる事だったと思う。12年間演じ切ったパトリシアは見事にアカデミー賞受賞。オスカー12個分の価値がある。映画の終りで大人になったエラー・コルトレーン君はもう親戚の子供の様な感覚。今何してるかな?久しぶりに会いたいな。

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順位は、1位10点〜10位1点として計算。
同点の場合投票者の多い方を上位に。投票者も同数の場合はベストワンの多い方を上位とした。

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