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スター・ウォーズ 最後のジェダイ【めちゃくちゃネタバレな隠れスターウォーズファンの想い炸裂な感想】

2018-01-02 18:08:43 | 映評 2013~

年末妻の実家に帰り、甥っ子姪っ子をスターウォーズに連れて行くのが恒例行事になった。今年は甥っ子は大学受験なので心を鬼にして連れていかなかった。合格したら一緒に暮らすかもしれないので、その場合たっぷり映画見せてやる。
そういえばトイザらスのCMだったか、スターウォーズ好きのお父さんが娘にスターウォーズを見せまくっていたが、大きくなった娘は、いまだにスターウォーズ見ようぜ!というお父さんをウザがって見てくれない。そんなある日娘とトイザらスに行ったお父さん、ちょっと目を離すと娘がいない。心配になって店内を探すと娘がスターウォーズのコーナーでおもちゃのライトセーバーを振り回していて、それを見たお父さんが「アイム・ユア・ファーザー」という。すげー好きです。
もし娘が全力で「ノーーーッッノーノーノーッ!」って言ったらお父さん嬉しいんだか悲しいんだかわかんなくなるけど
ともかく、高校入学くらいまでは生涯の映画ベスト3にスターウォーズを入れていた私です。
フォースの覚醒ではせいぜいハンソロだ、わーいくらいの気持ちしか起こらなくて、脚本的にぐだぐだすぎてぶっちゃけ作んなきゃよかったのに感満載だったのですが(個人の感想ですが、つくづくJJエイブラムズってやつは映画監督としては才能のない、せいぜいテレビサイズの仕事人なんだなーと思います)、今作はかつてスターウォーズを愛しフォースの正しい力を信じていたあの頃の自分を呼び覚ますに十分なファン感涙なスターウォーズで姪っ子よりもはるかに感動したおじさんでした。
それはローグワンもそんな感じである意味スターウォーズが「ウルトラマンメビウス」や「海賊戦隊ゴーカイジャー」と化していて複雑ですが

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若干長いなとも思う。ローラダーン提督の活躍までの戦いを少し短くしてよかったのでは。そのくせレイがいつファルコン号に戻ったのか、そこは端折るとこじゃなく、端折るにしても端折り方が下手ではないか。

脚本にもうーんどうかなーと思うところも少々
ハイパースペースに入ればすぐ追尾されるから距離をとって逃げるしかないジリ貧展開が物語の軸になるのだが、ファーストオーダーはなぜ別働隊をハイパースペースジャンプで前方に飛ばして挟み撃ちしないのだろう?宇宙戦艦ヤマトというアニメを見てですなあ、デスラーやドメル将軍が得意とした作戦を学びなさい。
いや、もしかするとファーストオーダーもあれが残り全兵力だったのか?
そう思うとスノーク最高指導者御自ら最前線にお立ちになられた理由としては説得力がある。

そしてそのスノーク殿がどんな奴なのかさっぱりわからないまま、あの中2のすぐ切れ小僧に殺されてしまった。その後のレイとの背中をかばい合うバトルは超燃えたけど、しかし!
これでファーストオーダーはトップがすぐ切れるあいつで、ナンバー2がドーナル・グリーソン君って小粒過ぎるだろ!ドーナル君、みんなが大好きな「アバウトタイム」や「エクス・マキナ」で主役なのにまだ顔覚えてもらえないオーラ超微弱感は逆にすごい個性だ。あいつならスパイでも、時代劇の忍者役でも誰にも気づかれないよ!
とはいえ、一方のレジスタンス側も映画では生きてるけど本物が死んでしまったレイアを含めてもう大物がいない。
いったいどうなっちまうんだエピソード9

しかし色々な不満不安を吹っ飛ばすほど「最後のジェダイ」は面白さが隙間なく詰まった傑作であることは間違いない。

難点も示したけど、最大の功績は脚本だ。
レイとカイロ・レンのテレパシー能力を描き(そういえばこういうフォースの描き方今までなかったのでは?ベイダーとルークでもここまでニュータイプ的な精神交信はなかった)、さらには気持ち次第で物理的接触もありと示しておくことを、実は終盤の伏線としていたことの脚本はうまい。
伝説のルーク・スカイウォーカーをケレン味たっぷりに描きしかも納得させる豪腕展開。
また、あちこちの映像的なキメキメ感。
ドレッドノート撃沈のくだりとか、ローラダーンの見せ場における上質なアニメのようなキマりまくったショット

そして、あのローズを演じた、超地味、はっきりいえばかなりブスなあの子、誰もがなんでこんな子キャスティングしたの!?と思いつつ映画が進めばレギュラーを食うほどの大活躍。映画が終わる頃にはみんなに愛されてるローズ。すげーよこのキャスティング!映画の奇跡だ!全アジアの地味な女の子が私もスターウォーズ出れる!と幻想を抱かせる効果抜群。日本や香港のディズニーランドのスターウォーズライドの女性客アップにものすごく貢献するでしょう!

ポスターだとレイアの左下にいますが、大きさ的にレイアの30分の1くらい。ドーナル・グリーソンよりも4分の1くらい。でもエピソード9ではきっとデイジー・リドリーと並ぶサイズに昇格しているでしょう!

若干深読みですが、この映画「戦争」に対する二つの相反する価値観をどちらも否定せずに、さりとて賛美せずに描いたところが面白いです。
一つはローラ・ダーンの見せた自らの命を顧みず仲間のため信念のためにみせた勇敢な行動。わかりやすいです。右翼なんかは大好きでしょう。いや、左翼の私も好きですよ、ああいうシーン。でもま、旧態依然とした定番的な見せ方ではあります。
一方で同じ特攻でも終盤でローズが行ったのは、よくわからんが強そうなキャノン砲に特攻してインディペンデンス・デイの感動再びを狙ったフィンのスピーダーへの体当たりでした。
なんで、あんなことを!というフィンに、戦争に勝つための犠牲より、愛する一人を守ることを優先した彼女。特攻といえばどっかの国のせいで東洋人の専売特許のようになった感があるのに、東洋人の女の子に否定させる。
いやあ!左翼的にはしびれますね!めちゃくちゃ泣きそうになりました!
そんなことはおいといて、戦争で命を投げ出すことを必ずしもよしとしないその一点で、大傑作ローグワンへの別の監督の一つの問題提起、挑戦ともなってはいないか。
ルーカスの手を離れて色々な作家が自分の気持ちをぶつけ合えるようになった成果の一つであると言えるかもしれない!

さてさて、そうしたオリジナリティ溢れる映像や演出とともにスター・ウォーズレガシーに躊躇なくのっかるファン心のわかりきった映像の数々は、中学の頃スターウォーズ小僧だった自分のノスタルジー喚起効果と相まって泣かす

最後の戦い、どう見たってホスの戦いの再現だろ。足が弱点のAT-ATのスネ部分にプロテクターついてるの!
スピーダーの1機でもいいからケーブルをら足に絡める作戦やってくれたらよかったのに。
で、たった1人でAT-ATの大軍団の前に立ちはだかるルーク!
カイロ・レンの一斉射撃の号令。たった1人に無茶なと思うかもしれないが、ルークはホスの戦いではライトセーバーと手投げ弾だけでAT-ATを1機撃破してるからな。あいつ一人で一個小隊くらいの戦力だからな。カイロ・レンの命令も感情的とも言い切れない。

そしてやっぱルークとレイアの色んな場面が涙誘う
伝説のジェダイっぽい仏頂面をレイの前では崩さないルークが、R2と再会した時だけ、あの頃の夢見る若い戦士だったルークの顔するんだよ!
そしてそんな未熟なルークを知るヨーダの霊魂との再会もまた
チューバッカとあった時、C3POとあった時、感情移入の対象がどっちに転んでも泣けるのって、スターウォーズの特権じやないか。
そしてなんといっても、ルークとレイアの再会はもう落涙寸前にまで感極まった。ルークはレイアのピンチには必ず駆けつけるんだよ。デススターに囚われて実の父に拷問受けていた時も、ジャバに捕まって渾身のセクシーを全世界に晒された時も
そんなルークが、師であるオビワンやヨーダと同じようにフワリと消えるラストに感動しないわけにはいかない。
あの場面はゴッドファーザー3でアル・パチーノが死ぬ時くらいグッと来たよ
一方でレイアは生身で宇宙空間に投げ出されてもフォースを覚醒させて帰還!レイア死亡!で一瞬涙ぐんだおれの気持ちをどうしてくれるのか!
ゼロ・グラビティのサンドラ・ブロックが見たら「私あの技習うわ!」とか叫びそう。
しかし、皆さんご存知の通りで、映画のレイアは死ななかったけど、現実のキャリー・フィッシャーは天国に召されました。
それを知ってるからかジョン・ウィリアムズの音楽も、レイアがらみのシーンではエピソード4以外では扱いの小さかった「レイアのテーマ」をこれでもかと熱を上げて使いまくる。
レイア無重力の帰還シーンも、レイアテーマをこれでもかと奏で、ルークとの再会シーンはエピソード6の「ルークとレイア」で盛り上げ、エンドクレジットでは、キャリー・フィッシャーへの献辞が映るのに合わせてレイアのテーマのピアノソロを奏でる思い入れっぷり。
そりゃウィリアムズを大物にしてくれたお姫様だもの。
そんなウィリアムズも、スピルバーグの新作は断ってもスターウォーズの新作は断らない、もう完全にライフワークと定めた感じ(晩年のジェリー・ゴールドスミスのスタートレックへの思い入れがダブってくる)なんだかんだ新テーマは少ないが2時間30分を超える長尺を楽しめたのもウィリアムズの音楽があればこそだ
うぉー久しぶりにサントラ欲しい。ジョン・ウィリアムズ先生、スピルバーグの新作なんか若い奴にやらせてエピソード9もよろしくお願いします!!!

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スターウォーズ 最後のジェダイ
監督:ライアン・ジョンソン
脚本:ライアン・ジョンソン(そうか脚本でローレンス・キャスダンも離れたのか、ライアン・ジョンソンってやつ、やべーなー)
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:マーク・ハミル、キャリー・フィッシャー、アダム・ドライバー、デイジー・リドリー、ドーナル・グリーソン、ジョン・ボイエガ、ケリー・マリー・トラン、ローラ・ダーン
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