5月23日の衆議院厚生労働委員会で、過労死等防止対策推進法の採決に先立って、「全国過労死を考える家族の会」の代表世話人の寺西笑子さんが参考人意見陳述を行いました。その全文をここに掲載します。
なお、委員会採決の前に、関係者が意見陳述することは異例のことです。
寺西さんの意見陳述のあと、過労死等防止対策推進法案について、後藤茂之厚労委員長から法案の趣旨説明が行われ、とうとう過労死等防止対策推進法が全会一致で採決されました。
その様子は、衆議院インターネット審議中継のHPから動画でご覧いただけます。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=43968&media_type=
寺西さんの意見陳述は、ページ中ほどの13時12分「寺西笑子(参考人 全国過労死を考える家族の会代表世話人)」のリンクからご覧ください。
また、後藤委員長の趣旨説明と採決の様子は、13時21分「後藤茂之(厚生労働委員長)」のリンクからご覧いただけます。
ぜひご覧ください。
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意見陳述
全国過労死を考える家族の会 代表世話人の寺西笑子でございます。
このたびは、衆議院厚生労働委員会採決にあたり意見陳述の機会を与えてくださったことに、後藤茂之委員長をはじめ、厚生労働委員会のみなさまに厚く御礼申し上げます。
私たちは、愛する家族をある日突然に長時間過重労働やパワーハラスメントで命を奪われました。
夫や妻、娘や息子など、かけがえのない大切な家族を失った遺族が悲しみを乗り越え、励まし合って支え合う「家族の会」をつくろうと声を上げたことから、1989年11月に「過労死を考える家族の会」が誕生しました。
以来、毎年11月に国へ「過労死防止対策」を求めて要請行動を行い、「過労死のない社会」を願って活動しています。
私事ですが、夫は1996年2月に過労自死しました。
飲食店の店長だった夫は、平成不況のあおりを受け、会社が生き残るために、サポートがない中、達成困難なノルマを課せられ、年間総労働時間4,000時間にも及ぶ長時間過重労働を強いられました。
真面目で責任感が強い夫は、身を粉にして必死の努力を重ねたことで、業績は回復したものの、会社が命令した右肩上がりのノルマには達しなかったため、連日パワーハラスメントを受けたあげく、人格否定され、意に沿わない異動を言い渡されたことで身も心も疲労困憊し、うつ病を発症して投身自殺を図りました。
過労自死に追い込んだ社長は、土下座して泣いて謝りましたが、数日経てば手のひらを返した態度になり、職場に緘口令が敷かれました。
「会社はひどいところ」と言っていた同僚や部下までもが、本当のことを言ってくれなくなって、実態解明は困難を究めました。
無我夢中の裁判の中で過酷な労働実態は明らかになり、名誉回復することはできましたが、夫は二度と生きて帰ってくることはなく、命を救えなかった悔しさが胸に刻み込まれ、どうすれば死なずにすんだのか、考えていくことが、私のテーマになり、「家族の会」で活動しています。
過労死は今もなお増え続けており、相談者は絶えることはありません。
近年、入社数ヶ月でうつ病になり息子さんが自死された親御さんや幼い子どもを抱えた妻が悲壮な状態で相談に来られています。
懸命に育てた息子や娘を亡くした親は、親自身の人生までもが奪われ、乳飲み子を抱えた妻は、明日からの生きていく術さえ奪われます。
ましてや、これからという人生を奪われた本人の無念さは如何ばかりでしょうか。
労災申請するには、こうした高い壁が立ちはだかり、申請しても遺族が立証するには限界があるため、泣き寝入りする遺族がほとんどで、認定される遺族は氷山の一角です。
職場は違っていても、その背景には真面目で責任感が強い優秀な人が長時間過重労働で心身の健康を損ない、過労に陥り命を奪われている実態があります。
これからの日本社会を背負っていく若者が過酷な労働環境に追いやられ、優秀な人材を亡くすことは、日本の未来をなくすことであります。
私たちは繰り返される過労死をなくしたいとの切実な思いから、過労死をなくすための対策を国にお願いしたいと切望するようになりました。
このたびは、この国の過労死をなくす法案を衆議院厚生労働委員会全会一致で本会議に送っていただけることになりましたことを、大変嬉しく思っています。
この日本に初めて過労死という文言の入った法律ができ、国をあげて、過労死を防ぐ対策を進めてくださることに感謝申しあげます。
また、私たちの願いを受け止めてくださった、馳浩議員連盟世話人代表はじめ、泉健太事務局長および超党派議員連盟の先生方に、お世話になりましたことを心より感謝申しあげます。
四半世紀続いた過労死をなくし、明日にでも過労死するかもしれない命を一人でも多く救うために、過労死防止月間を今年11月から実施できますように、来年度よりは、さらに本格的な施行ができますように、この法案を今国会で必ず成立させていただきたいと思います。
「過労死防止法」法案成立後も、私たちも努力してまいる所存です。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
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***「過労死防止基本法」制定実行委員会が求めていること***********************
「過労死」が国際語「karoshi]となってから20年以上が過ぎました。
しかし、過労死はなくなるどころか、過労死・過労自殺(自死)寸前となりながらも
働き続けざるを得ない人々が大勢います。
厳しい企業間競争と世界的な不景気の中、「過労死・過労自殺」をなくすためには、
個人や家族、個別企業の努力では限界があります。
そこで、私たちは、下記のような内容の過労死をなくすための法律(過労死防止基本法)の
制定を求める運動に取り組むことにしました。
1 過労死はあってはならないことを、国が宣言すること
2 過労死をなくすための、国・自治体・事業主の責務を明確にすること
3 国は、過労死に関する調査・研究を行うとともに、総合的な対策を行うこと
【署名へのご協力のお願い】
私たちは「過労死防止基本法」の法制化を目指して、「100万人署名」に取り組んでいます。
「署名用紙」をダウンロードしていただき、必要事項をご記入いただいた上で、東京事務所もしくは大阪事務所まで郵送をお願いしたいと思います。
ネット署名も行っています。紙の国会請願用署名にご協力いただいた方でも署名していただけますので、ご協力よろしくお願いいたします。
「過労死・過労自殺から大切な人を守るため、過労死防止基本法の制定を!」
まずは過労死のことや過労死防止基本法を多くの人に知っていただきたいので、ツイッターでつぶやくなどして広めてもらえると助かります。
記事の一番下についているボタンからも気軽にツイートできますので、ぜひともご協力お願い致します!
【連絡先】 ストップ!過労死 過労死防止基本法制定実行委員会
HP:http://www.stopkaroshi.net/
twitter:@stopkaroshi ブログの更新のお知らせや過労死についての情報をお届けしています。ぜひフォローしてください!
◆東京事務所(本部)
〒104-0033
東京都中央区新川1丁目11-6 中原ビル2階
Tel・Fax:03-5543-1105
◆大阪事務所
〒545-0051
大阪市阿倍野区旭町1-2-7
あべのメディックス2階202
あべの総合法律事務所内
TEL:06-6636-9361
FAX:06-6636-9364
なお、委員会採決の前に、関係者が意見陳述することは異例のことです。
寺西さんの意見陳述のあと、過労死等防止対策推進法案について、後藤茂之厚労委員長から法案の趣旨説明が行われ、とうとう過労死等防止対策推進法が全会一致で採決されました。
その様子は、衆議院インターネット審議中継のHPから動画でご覧いただけます。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=43968&media_type=
寺西さんの意見陳述は、ページ中ほどの13時12分「寺西笑子(参考人 全国過労死を考える家族の会代表世話人)」のリンクからご覧ください。
また、後藤委員長の趣旨説明と採決の様子は、13時21分「後藤茂之(厚生労働委員長)」のリンクからご覧いただけます。
ぜひご覧ください。
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意見陳述
全国過労死を考える家族の会 代表世話人の寺西笑子でございます。
このたびは、衆議院厚生労働委員会採決にあたり意見陳述の機会を与えてくださったことに、後藤茂之委員長をはじめ、厚生労働委員会のみなさまに厚く御礼申し上げます。
私たちは、愛する家族をある日突然に長時間過重労働やパワーハラスメントで命を奪われました。
夫や妻、娘や息子など、かけがえのない大切な家族を失った遺族が悲しみを乗り越え、励まし合って支え合う「家族の会」をつくろうと声を上げたことから、1989年11月に「過労死を考える家族の会」が誕生しました。
以来、毎年11月に国へ「過労死防止対策」を求めて要請行動を行い、「過労死のない社会」を願って活動しています。
私事ですが、夫は1996年2月に過労自死しました。
飲食店の店長だった夫は、平成不況のあおりを受け、会社が生き残るために、サポートがない中、達成困難なノルマを課せられ、年間総労働時間4,000時間にも及ぶ長時間過重労働を強いられました。
真面目で責任感が強い夫は、身を粉にして必死の努力を重ねたことで、業績は回復したものの、会社が命令した右肩上がりのノルマには達しなかったため、連日パワーハラスメントを受けたあげく、人格否定され、意に沿わない異動を言い渡されたことで身も心も疲労困憊し、うつ病を発症して投身自殺を図りました。
過労自死に追い込んだ社長は、土下座して泣いて謝りましたが、数日経てば手のひらを返した態度になり、職場に緘口令が敷かれました。
「会社はひどいところ」と言っていた同僚や部下までもが、本当のことを言ってくれなくなって、実態解明は困難を究めました。
無我夢中の裁判の中で過酷な労働実態は明らかになり、名誉回復することはできましたが、夫は二度と生きて帰ってくることはなく、命を救えなかった悔しさが胸に刻み込まれ、どうすれば死なずにすんだのか、考えていくことが、私のテーマになり、「家族の会」で活動しています。
過労死は今もなお増え続けており、相談者は絶えることはありません。
近年、入社数ヶ月でうつ病になり息子さんが自死された親御さんや幼い子どもを抱えた妻が悲壮な状態で相談に来られています。
懸命に育てた息子や娘を亡くした親は、親自身の人生までもが奪われ、乳飲み子を抱えた妻は、明日からの生きていく術さえ奪われます。
ましてや、これからという人生を奪われた本人の無念さは如何ばかりでしょうか。
労災申請するには、こうした高い壁が立ちはだかり、申請しても遺族が立証するには限界があるため、泣き寝入りする遺族がほとんどで、認定される遺族は氷山の一角です。
職場は違っていても、その背景には真面目で責任感が強い優秀な人が長時間過重労働で心身の健康を損ない、過労に陥り命を奪われている実態があります。
これからの日本社会を背負っていく若者が過酷な労働環境に追いやられ、優秀な人材を亡くすことは、日本の未来をなくすことであります。
私たちは繰り返される過労死をなくしたいとの切実な思いから、過労死をなくすための対策を国にお願いしたいと切望するようになりました。
このたびは、この国の過労死をなくす法案を衆議院厚生労働委員会全会一致で本会議に送っていただけることになりましたことを、大変嬉しく思っています。
この日本に初めて過労死という文言の入った法律ができ、国をあげて、過労死を防ぐ対策を進めてくださることに感謝申しあげます。
また、私たちの願いを受け止めてくださった、馳浩議員連盟世話人代表はじめ、泉健太事務局長および超党派議員連盟の先生方に、お世話になりましたことを心より感謝申しあげます。
四半世紀続いた過労死をなくし、明日にでも過労死するかもしれない命を一人でも多く救うために、過労死防止月間を今年11月から実施できますように、来年度よりは、さらに本格的な施行ができますように、この法案を今国会で必ず成立させていただきたいと思います。
「過労死防止法」法案成立後も、私たちも努力してまいる所存です。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
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***「過労死防止基本法」制定実行委員会が求めていること***********************
「過労死」が国際語「karoshi]となってから20年以上が過ぎました。
しかし、過労死はなくなるどころか、過労死・過労自殺(自死)寸前となりながらも
働き続けざるを得ない人々が大勢います。
厳しい企業間競争と世界的な不景気の中、「過労死・過労自殺」をなくすためには、
個人や家族、個別企業の努力では限界があります。
そこで、私たちは、下記のような内容の過労死をなくすための法律(過労死防止基本法)の
制定を求める運動に取り組むことにしました。
1 過労死はあってはならないことを、国が宣言すること
2 過労死をなくすための、国・自治体・事業主の責務を明確にすること
3 国は、過労死に関する調査・研究を行うとともに、総合的な対策を行うこと
【署名へのご協力のお願い】
私たちは「過労死防止基本法」の法制化を目指して、「100万人署名」に取り組んでいます。
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「過労死・過労自殺から大切な人を守るため、過労死防止基本法の制定を!」
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