いつも「ステップブログ!」をご覧いただき、ありがとうございます。
今回は、私、武田が担当いたします。
本日は、「派遣と請負の違い」について、取り上げてみたいと思います。
最近、TVやインターネットで「偽装請負」という言葉をよく目にします。
仕事上でも、特にIT関連の会社の相談で、「派遣と請負の違い」について、具体的な事案が持ちかけられることがしばしばあります。
つまり、それだけ「派遣」と「請負」は、混同しやすく、注意が必要な制度だと言えるのかもしれません。
では、派遣と請負は、具体的にどのように違うのでしょうか?
判断の一つの大きなポイントは、「指揮命令関係」の有無です。
派遣(=労働者派遣事業)の場合、派遣労働者は、派遣先の指揮命令を受けて、派遣先にて仕事に従事します。
一方、請負の場合、原則として、注文主と下請労働者との間には指揮命令関係が生じません。
つまり、形式的には請負契約としつつも、実態として、注文主の具体的な指揮命令を受けたり、出退勤・労働時間の管理をされている場合は、請負とは言えず、「偽装請負」に該当する可能性が高いと判断されます。
上記をはじめ、労働者派遣と請負の違いの詳細については、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示37号)に示されていますので、ご参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/manual/dl/19.pdf
なお、偽装請負につきましては、行政では、代表的なパターンとして、以下の4パターンを挙げています。
<代表型>
請負と言いながら、発注者が業務の細かい指示を労働者に出したり、出退勤・勤務時間の管理を行ったりしています。偽装請負によく見られるパターンです。
<形式だけ責任者型>
現場には形式的に責任者を置いていますが、その責任者は、発注者の指示を個々の労働者に伝えるだけで、発注者が指示をしているのと実態は同じです。単純な業務に多いパターンです。
<使用者不明型>
業者Aが業者Bに仕事を発注し、Bは別の業者Cに請けた仕事をそのまま出します。Cに雇用されている労働者がAの現場に行って、AやBの指示によって仕事をします。一体誰に雇われているのかよく分からないというパターンです。
<一人請負型>
実態として、業者Aから業者Bで働くように労働者を斡旋します。ところが、Bはその労働者と労働契約は結ばず、個人事業主として請負契約を結び業務の指示、命令をして働かせるというパターンです。
請負契約で仕事をされている方は、念のため、「偽装請負」に該当していないか、ご確認ください。
(今回の担当)
武田社会保険労務士事務所
代 表 武田 倫明