2013年6月10日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
「朝刊ピックアップ」で記事
「女性クールビズで“有害情報”を推奨する環境省」
を企画、取材、執筆しました。
けさの新聞は休刊。週末は8日付の朝日新聞朝刊に「女性クールビズ、『香り』推奨を撤回 環境省、化学物質過敏症に配慮」という記事があった。
クールビズとは、温室効果ガス削減のためという名目で、室温28℃で快適に過ごせるよう、国民に「軽装の奨励」などを呼びかける運動。環境省が音頭を取って推進している。毎年この季節になると、閣僚がノーネクタイ、ノージャケットで閣議に出席するのもクールビズによる。
クールビズは05年から始まったが、記事によると環境省は今夏初めて「女性のクールビズ」を提案。その特設サイトで環境省は、汗やにおいへの対策として「香り付き柔軟剤」「制汗剤、冷却スプレー、汗ふきシート」を勧めていた。
これに対し、市民団体「反農薬東京グループ」など3団体は3日、「室内や電車、バスで、柔軟剤などのにおいで具合が悪くなる人が出る」「化学物質過敏症の患者が外出しにくくなることが考えられる」と指摘し、撤回を求めた。
消費者庁の事故情報データバンクシステムによると、「柔軟剤の香りがぜんそくを引き起こす」など、柔軟剤による事故は91件登録されており、岐阜県や大阪府和泉市、島根県益田市は公共施設での配慮や使用自粛を呼びかけている状態。
この市民団体の指摘を受けて、環境省はさっそく問題の箇所を削除したという。
ちなみに、今回の女性のクールビズについて、柔軟剤や制汗剤以外にも、環境省は事細かに事例を挙げている。例えばヘアスタイルについては「アップやまとめ髪など、首周りを出したヘアに」と指図したり、メークについては「汗をかいても崩れにくいベース作りを」「下地やファンデーションは汗・皮脂に強い夏用のものを」、服装のデザインについては「体を締めつけず、肌と衣服の間に空気が通るものを」「首・手首・足首、3つのクビを出す」とし、インナーは「機能性素材のインナーや汗取りパット付きのものなど」、素材は「きちんと見せるには過度なハリ感のある素材を」「コットンや麻などの自然素材や機能性素材を」、色については「見た目に涼やかな印象を与える色を」などとと記載している。
こうした記述について、国民の私生活に踏み込み過ぎ、という批判の声も出ている。例えば、3日付のTBSラジオ番組「荒川強啓 デイ・キャッチ!」では、リスナーからこんな手厳しい意見が出ていた。
「女性の髪形へのアドバイスだけでも、うっとおしいのに、化粧にまで口を出すとは、開いた口がふさがりません。涼しく見える化粧。塗らなくちゃ外出できない私には、無理!無理!そんなこと言うなら、まず女性国会議員のメイクチェックや、暑苦しいオヤジ議員の油っこいお顔や、でっぱったお腹について、改善すべきではないかしら?国民に求める前に、政治家のあり方をもっとクール&スマートにするべきよね!」(埼玉県在住の40代女性)
また、経済ジャーナリストの町田徹氏は、今回の女性クールビズ提案について、「仕事ないんだろうね。無理やり仕事をつくろうとするとこうなる。環境省の定員減らした方がよいかもしれない。人件費も減らせるだろうし。やっぱりお役人の数が多いと、暇になって、ろくなこと考えないからね」と指摘している。
このように不評の声が出ていた上、冒頭の、化学物質過敏症の人にとって有害なおそれのある製品の推奨である。やはり、環境省は職員数を減らして涼しげにした方が、国民のためかもしれない。(佐々木奎一)