「今年前半の注目ニュースは、民主党元代表の小沢一郎氏の判決である。これは資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐり、小沢氏が政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで強制起訴された事件の判決で、4月26日午前、東京地裁の大善文男裁判長は「元代表は違法性の根拠となる具体的事情まで認識していなかった可能性を否定できず共謀を認めて刑事責任を問うことはできない」と結論づけ、無罪を言い渡した。
同日午後、小沢氏は「裁判所の良識と公正さを示していただいたことに敬意を表するとともに、今日までご支援いただいた同志と全国のみなさんに感謝を申し上げたい」とコメント。
この判決を固唾を飲んで見守ってきた政界は「小沢無罪」によって新たな展開を模索しつつある。消費税増税で明けた今年の政局は、不確定要素だった小沢判決が決まったことで、今後の流れが見えてきた。
小沢氏の戦略はこうだ。無罪判決→党員資格復活→6月の消費税増税法案否決→9月の民主党代表選で本人か代理人が勝利→マニフェスト復権の民主党への衣替え→政界の主導権を握る。
本人も小沢グループもこのシナリオを着々と進めていくであろう。しかし、ハードルはある。
①指定弁護人「検察官役」が控訴したら、本人は被告人のままのため、党員資格復活が難しくなる。
②野田佳彦首相が自民党と手を組んだら消費税増税法案は通る。とするば、解散前に小沢氏は新党を立ち上げざるを得ないが、今の小沢グループは半数以上が選挙に弱い一年生議員。勢力維持は難しい。
③政界再編に入ったときにどう動くか。石原新党立ち上げの動きのある石原慎太郎都知事と小沢氏は犬猿の仲。また、大阪維新の会の橋下徹・大阪市長は、小沢氏と手を組むことはない、という姿勢だ。
果たして小沢氏は剛腕ウルトラCをどこで発揮させるのか。
私個人は、小沢氏に一回、総理をやってもらい、マニフェスト政権交代の決着を着けてほしいと思っているが、無罪判決を受けた小沢氏のシナリオは、果たして実現するかどうか。」(抄)
2012年4月27日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
「今日のニュースに一言」でジャーナリスト・二木啓孝氏の記事
「二木啓孝が語る〝小沢シナリオ〟実現までのハードル」
を聞き書きしました。
あるジャーナリストは「小沢」は終わった人と一蹴したが、果たして修羅場を踏んできた政治家がこのまま引き下がるとは思えない。