2013年3月1日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
「今日のニュースに一言」で
ジャーナリスト・二木啓孝氏の記事
「二木啓孝が語る、携帯メール一本で動く維新の会の政治の危うさ」
を聞き書きしました。
政府の日銀同意人事で、日本維新の会がドタバタしている。経緯はこうだ。
政府は日銀総裁に元財務官の黒田東彦(はるひこ)アジア開発銀行総裁を起用する人事案を提示した。これに対し日本維新の会共同代表で大阪市長の橋下徹氏は27日、民間の岩田規久男学習院大教授を総裁、黒田氏を副総裁とする独自案を国会議員団に伝えた。
しかし、議員団側は、「黒田さんがベストに近い」(小沢鋭仁国対委員長)、「橋下氏は口出ししないでほしい。国会のことは議員団が決める」(複数の議員)と反論。
すると橋下氏は28日、記者会見で「(議員団が)口を出すな、というなら維新の会には関わらない。そんなことを言われて代表にしがみつくような人生哲学を持っていない」と怒りをあらわにし、同様の内容のメールを議員団に送ったことを明らかにした。
これに対し、小沢鋭仁氏は28日、橋下氏にメールと電話で謝ったことを明かし、「大阪と議員団の関係は、特殊な関係だ。コミュニケーションを十分図らないといけない」と釈明。議員団幹事長の松野頼久氏も「政党代表として意見を言える場をつくらなければいけない」と話したという。
このドタバタ劇の問題点は、二つある。
第一に、これは橋下氏の相変わらずの手法だが、内部の問題で意にそわないと、すぐマスコミに公にする。マスコミに火をつけて、注目を集めて、相手方が慌てて口を引っ込めると、「もう済みました」と言う。
本来なら、党内の議論は、よく揉んだ上で発表するものだが、意にそわないとなると、途中の経過を抜きに、発表してしまうのである。
そして、橋下氏の威力が、また、強まる。
問題の第二点は、政党の代表が国会議員ではなく、国政に直接タッチしていないことだ。
維新の会は国会議員団という組織を、同会の下においた格好になっている。しかし、その国会議員団のメンバーは、昨年12月に当選してきた“橋下ベイビーズ”を除けば、ベテランが多い。まして太陽の党から合流したメンバーは、もともと橋下氏の政治理念や哲学とは違う政治キャリアを積んできた人たちだ。
齟齬(そご)が出るのは初めからわかっていたはずだ。政党を代表するならば、やはり、国会議員でないと意思の疎通は、はかれない。
さわさりながら、この政党は9割以上が橋下人気で支えられている以上、国会議員が歯ぎしりをしても橋下氏の意向に沿わざるを得ない。こういう構図がいつまで持つのだろうか。
写真は、日本維新の会HPより。