2013年3月1日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
「朝刊ピックアップ」で記事
「「追い出し部屋」を労働組合が黙認する理由」
を企画、取材、執筆しました。
けさの朝日新聞に「2013年底上げ春闘 追い出し部屋ノー 管理職ユニオン」という記事がある。それによると、大手企業で相次ぐ、単純作業や自分の仕事さがしをさせる「追い出し部屋」の設置や、希望退職への応募を促す複数回の面談、といった「人減らし」を春闘のテーマにする労働組合が出てきたという。この労組は東京管理職ユニオン(組合員350人)。今春闘で、大手メーカー約10社と交渉する予定という。
この記事は裏を返せば、企業別組合は、組合員が人減らしされているのに、会社にモノ申していない、という現実を示唆している。
それは、「ユニオンショップ協定」という、“法の抜け穴”によるものだ。
そもそも憲法28条には、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」として、「団結権、団体交渉権、団体行動権」の労働三権を保障している。
そして、その憲法28条に基づき制定された労働組合法の第七条には、「使用者は次の行為をしてはならない」として、労働組合への加入・結成、組合活動を理由に、解雇又は不利益な取扱いをすること、又は労働組合に加入しない、もしくは労働組合を脱退することを雇用条件とすること、と規定しながらも、最後に、次の一文を付け加えている。
「ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。」(同法第七条第一号より)
この一文を根拠に、「会社が組織している労組に入らなければ、採用しない」という、ユニオンショップ協定をつくり、事実上、会社と組合が一体化した「御用組合」を組織している会社は多い。例えば、連合系の組織「電機連合」の加盟社である、東芝、日立、三菱電機、富士電機、パナソニック、富士通、NEC、OKI、ルネサスなどだ。
追い出し部屋を行っているというパナソニックやNECの組合が、会社にモノ申さないのも、一重にユニオンショップ協定により、御用組合化しているためである。
ユニオンショップ協定による弊害は、おそらく、追い出し部屋を黙認していることだけではない。たとえば今年の春闘で、電機連合がベースアップ(ベア)要求を見送っているのも、そのせい、といえないだろうか?(佐々木奎一)