平成二十五年十ニ月二十三日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
「潜入! ウワサの現場」で記事
「大学教授に『タメ口』使う学生が続出」
を企画、取材、執筆しました。
大学の願書受付が始まり受験シーズンが本格化している。そんな中、18日付の朝日新聞の「学びを語る」という連載に、大学の実情を物語る記事があった。それは「『タメ口』使う学生 教師と一線画すけじめ必要」という見出しの記事。執筆者は神戸大大学院教授(日米外交史)の簑原俊洋氏。
記事によると、学生が教師に敬語を使わず、「タメ口」で話す姿をよく目にするという。
「神戸大は違いますが、これまで教壇に立った中には『大学崩壊』ともいえる学校もありました。一度も授業を受けていない学生が試験に遅れてきて『答案用紙もってこい』『鉛筆貸せ』と命令してきたことも。激怒し追い出しましたが、学生は怒ったことに驚いていた。『授業料を払っているから当たり前』という感覚だったのでしょうか。教わる相手に対する尊敬が失われたら、教育は成立しません(略)教師と教え子は友達ではなく、一線を画す『けじめ』が必要。教える側もその重みを背負わなければなりません」と同氏は指摘している。
これまでも大学の“学級崩壊”を指摘する報道はあった。例えば、情報誌「SAPIO」(小学館刊)の大学ジャーナリスト石渡嶺司氏の記事「日本の若者がどんどんバカになっている」(11年2月16日付)によると、経済学部の学生が為替(かわせ)を「タメガエ」と読んだり、ある私立女子大では、5+3×2を「16」と答える学生が大半で、掛け算を先に計算するというルールすら知らないという。
さらに漢字どころか、平仮名すら書けない学生もいたり、敬語の意味がわかっておらず、会社訪問の学生が「うちの母は大変お綺麗で…」と言ったり、「貴社の製品はどれも感心してるっス」と言ったりするのだという。
また、午前中に別の企業の私服可の説明会に出たあと、午後に面接する会社に来て、いきなりロビーでズボンや服を脱いでスーツに着替える学生もいるという。
他にも「ド底辺大学のキャンパス バカライフ」(週刊SPA!(扶桑社刊)12年6月5日号)によると、補習の教材で小学生用の算数ドリルを使用しても、漢字が読めず問題文が理解できない学生がいたり、九九が言えない、アルファベットが書けない、辞書が使えない、といった学生もいるという。
他にもテスト問題と同時に解答を配ったり(九州の私大)、卒論はA4用紙一枚(千葉県の私大)というところも。
北海道のある私大では、万引きが横行しているため、大学生協の貼り紙に「万引きはいけません。お金はちゃんと払いましょう」とあり、トイレにはコンドームが散乱している有様なので、「使用済みコンドームはゴミ箱へ」としているという。
また、首都圏の大学では、不良学生たちが血まみれの喧嘩をしたり、入学式に裏庭でタイマンをしたりしているという。
その上、冒頭のように、教員に対するタメ口まで横行しているというわけ。
そういう状況なので、学問をするという目的を持って大学を志望している人は、自分が願書を出す大学が、はたして学級崩壊していないか、チェックした方が無難だ。例えば、大学の普段の授業を見学に行くだけでも実態はかなり見えてくる。
大学に受かっても、周りが上記のような学生たちだと、授業もままならず、志を貫くのは困難で、学内にいるだけで精神衛生上良くない状態になってしまい、周囲から悪影響を受けて、結局、その大学に行ったことを後悔することにもなりかねない。
真剣に学問を志す人たちがスクスクと成長する教育環境とは、新しい校舎や最新設備よりも、むしろ周囲の学生の質こそ重要といえよう。その意味で、大学全入学という発想は、教育環境を押し下げているといえるのではないか。(佐々木奎一)