ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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二木啓孝が語る、悩ましい主権回復式典への天皇出席

2013年05月09日 | Weblog

2013年4月18日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「今日のニュースに一言」で
 
 ジャーナリスト・二木啓孝氏の記事
 
「二木啓孝が語る、悩ましい主権回復式典への天皇出席」
 
を聞き書きしました。
 

 

 政府は4月28日に主権回復の記念式典を予定している。61年前の1952年にサンフランシスコ講和条約が発効して、日本が占領軍支配から主権を回復した日を祝う、というものだ。

 これには、沖縄県民の反発が強い。サンフランシスコ講和条約では、沖縄本島、奄美群島、小笠原諸島へのアメリカの施政権を委ねる。さらに米軍の駐屯・駐留を認めているからだ。沖縄にとって4月28日は主権回復ではなく「屈辱の日」と感じている。それは1972年に沖縄が返還されて以降も、基本構造は変わらない。

 それが「なぜ、主権回復というのか?」として、この式典には仲井真弘多県知事は出席せず、沖縄県内では抗議集会を予定する事態を招いている。

 安倍政権の沖縄への配慮のなさは無神経といわざるを得ないが、問題はこの式典に天皇皇后両陛下の臨席をもとめていることだ。天皇陛下の沖縄への思いは、昭和天皇が果たせなかった沖縄訪問を、自らが実現しようとして、これまで9回の訪沖していることからも明か。お言葉の言外には、沖縄に戦争の犠牲を強いたことへの反省がにじみ出ている。その天皇陛下に臨席を求めることについては、議論を呼んでいるが、この式典そのものは、憲法改正をにらんでいることはまちがいない。

 なぜならば、2年前に、自民党が主権回復を記念日にする議員連盟をたちあげているが、その趣意書には、1952年に主権を回復した年、本来ならただちに自主憲法を制定し、国防軍を創出することが最優先手順であった、と書かれているのである。

 すなわち、主権回復の日、憲法改正、国防軍の創設はセットといっている。こうした流れのなかで、天皇陛下のご臨席を求めるのは、政治利用とみられても仕方がない。

 憲法学者の小林武氏は、「式典参加は憲法で定めた12の国事行為に含まれていない。世論が割れている式典に天皇を参加させるのは政治利用にほかならない」と指摘している。

 また、渡辺允・前従事長は、「政府の閣議決定に対して、陛下が出席しない、といえば、逆に、天皇が政治行動を起こしたことになる」と言っている。つまり、憲法上は断れないということだ。

 天皇陛下にお出まし頂くのは当然、あるいは、天皇の政治利用という批判、それぞれの言い分はあるが、沖縄県民が屈辱の日と捉えているこの日に、天皇問題まで出てくるのは、やはりこの式典の強引さが浮き彫りになっている。

 
 写真は皇居。


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