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Kite Runner

2008-01-04 22:49:53 | SpyなBook
年末の朝の通勤電車で座っていた時のこと。ふと気付くと目の前に立っている人が読んでいるペーパーバックが目に入る。タイトルは「Kite Runner」。

背表紙の書評を読んでちょっと気になり、更にその読んでいる人が駅で下りる時もなかなか本を閉じようとせず食い入るように読んでいたのが印象的で自分も読んでみたくなった。

そういえば以前、同じように電車で目の前に立っていた人が読んでいた「風の影」も非常に面白かった。その時と同様のこうした本との出会いに何か偶然以上のものを感じてしまう。

検索して知ったのだが、このKite Runnerはかなりのベストセラーらしい。作者のカーレド・ホッセイニは1965年アフガニスタンの首都カブール生まれ。1980年にアメリカへ亡命し、医師として働きながら執筆活動をはじめ、世界的なベストセラーとなった本書で華々しくデビューした人。本書は発売以来120週以上にわたって《ニューヨーク・タイムズ》のベストセラーリストにランクインし、全米で400万部、全世界で800万部を超えるセールスを記録したとのこと。

この本は邦訳「カイトランナー」として以前出版されていたが残念ながら今は絶版の様子。しかし、そうなると余計に読みたくなるのが人の常。

いろいろ調べているうちにこの本が映画化され「君のためなら千回でも」というタイトルで2月に日本でも上映されることがわかった。そして同じタイトルで出版社を変えてハヤカワ文庫から出版されていることも知った。

早速書店へ直行し、上下巻を購入。この正月休みに一気読みした。


感想は、素晴らしい作品、の一言に尽きます。

ただ、邦訳の「君のためなら千回でも」というタイトルはいかにもお涙頂戴もの的だし、本の帯にも涙する感動の大作みたいなことが書いてありますが、一般的な涙腺刺激系文学を期待して読むとかなり肩透かしを食うかもしれません。

中身は非常に重いテーマの本です。暴力・差別・偽りといった人の弱く残酷な部分が描かれていて決して明るいものではありません。それでも人物描写・情景描写・感情描写に優れたこの作品にはぐいぐいと引き込まれていきます。また、アフガニスタンを舞台にしたシーンの描写は、TVやニュースでは見えない一面を教えてくれます。

いろいろ書きたいけどネタバレになるのでやめときます。ともかく一読すれば最後には深い読後感を与えてくれる作品かと思います。皆さんも是非。