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ネパールの山村を歩く

2014-05-09 16:24:23 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 森を抜けた場所にあった農家は、ブロックを積んだ壁にトタン屋根を載せただけの質素な造りでした。

 

 今まで見てきた民家と比べ、粗末な印象は隠せません。

 

 

 農家として一番高い場所に位置するようです、畑の上から尾根へと森が広がっていました。

 

 

 庭で鶏が遊んでいました。

 

 

 納屋は懐かしい雰囲気の茅葺屋根です。

 

 

 畑の横にコブシに似た白い花が咲いていました。

 

 一昔前の、日本の長閑な山村に似た雰囲気を感じます。

 

 

 農家の前を暫く下ると、GH(ゲストハウス)があって、広々した庭で青い目のトレッカー達が寛いでいました。

 

 

 GHの庭から谷を見下ろすと、緑の谷にキュムヌ・コーラが一筋の光を見せていました。

 

 

 対岸に目を向けると、切り立った崖の中腹に民家が見えています。

 

 こんな急斜面に家を建てて大丈夫なのでしょうか。

 

 すぐ近くには、崩落した斜面が見えていました。

 

 

 

 心配と同時に、この地に生きる人々の逞しさに驚かされます。

 

 もしかすると、対岸から見れば、こちら側の斜面も似たような光景なのかもしれません。

 

 

 視線を横に移すと、帯のように細い段々畑の先に、斜面にへばり付くように建つ農家が見えています。

 

 

 

 コブシかと思う、白い花を咲かせた木の脇を廻って、道が下って行きます。

 

 

 道が交差する場所に、トレッキングルートを示す青いマークを見かけます。

 

 生活道路が民家や畑へ伸びて、その一部をトレッカーが使わせてもらっているのです。

 

 

 農家の庭で牛が寛いでいました。

 

 

 この農家は食事や宿を提供してくれるようです。

 

 農家の壁にヒルサイドロッジの看板と、「現在地 チュイル 2245m」と記されたルート図が掲げられていました。

 

 

 

ヒマラヤ一人歩きの危険性

 

 

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さようならアンナプルナ・サウス

2014-05-09 13:32:25 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 タダパニを出発して、森の斜面を東へと下ります。

 

 シャクナゲを優占種とする森が続きました。

 

 枝と一緒に落ちた、シャクナゲの赤い花に心が癒されます。

 

 一週間も経てば、森は朱に染まるかもしれません。

 

 

 

  白いアンナプルナ・サウスがシャクナゲの森の空に顔を覗かせました。

 

 

 靄に霞むマチャプチャレが徐々に大きくなってきます。

 

 

 足元にサクラソウ(Primula denticulata)が咲いて、

 

 

 眼の前に雪山が輝きます。

 

 

 ん~ん、何も言うことはありません。

 

 ぽかぽかと暖かい森の道に、ゆったりとした時間が流れます。

  

 
 道畔にサクラソウの花群れが絶えることはありません。

 

 もしかすると、一週間後には、サクラソウは花を終えているかもしれません。

 

 私は、ありえないタイミングで、此処に巡り来たのかもしれません。

 

 そうか、そういうことなのですね。

 

 今会えないシャクナゲを嘆くより、今咲き揃うサクラソウを楽しむべきなのです

 

 

 あれほど大きかったアンナプルナ・サウスも、今は頂きの一部を周囲の尾根の上に覗かせるだけです。

 

 

 更に森を下ると、見晴らしの良い尾根の上で、一件の農家が谷を見下ろしていました。

 

 

 マチャプチャレが、新しい表情で出迎えてくれました。

 

 

 そして、アンナプルナ・サウスはここから暫しのお別れです。

 

 

 

ヒマラヤ一人歩きの危険性

 

 

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やっぱり山と花

2014-05-08 23:52:28 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 

 

 

 GH(ゲストハウス)の前庭で山の目覚めの表情を満喫し、ダイニングルームへ戻って、朝食をオーダーしました。

 

 


 実は今朝まで、この先のルートを迷っていたのですが、既に迷いは消えていました。

 

 カトマンドゥを出発するとき、シャクナゲの咲くゴレパニへ入ることを決めていましたが、その先は「行ってから決めよう」と考えていました。

 

 今朝まで迷っていたのは、このまま真直ぐガンドルンへ下り、ポカラへの帰路を取るか、それとも、このままアンナプル山域に留まり、野の花を楽しむかの選択でした。

  

 ガンドルンへの道を進んで、2000m以下の場所へ下ると、多分もうサクラソウのような花に巡り会うことはないでしょう。

 

 朝日に輝く白い雪の峰を、かぶりつきの席で楽しむこともできなさそうです。

  

 カトマンドゥへ戻って、エベレスト山域へ入るアイデアも魅力的ですが、残された日数が10日しかないので、天候次第でカトマンドゥから飛行機が飛ばなれば、喧噪の街で身動きが取れなくなります。

 

 ガイドブックを穴の開くほど読み直し、あれやこれやと思い浮かぶアイデアに思いを巡らせ、迷い続けていました。

 

 アンナプルナ・サウスの裏手となる領域をアンナプルナ内院と云い、そこには、山が好きな男の魂をくすぐるような、標高4130mのアンナプルナ・ベースキャンプ(ABC)と呼ばれる場所があります。

 

 しかしそこは間違いなく、世界の屋根の雪山です。

 

 今回私は、日本を出発する時に軽登山靴を履いてきました。

 

 この靴は東京に初雪が降った、2月の植物園に履いて行って、雪水が滲み、靴下まで濡れるような代物です。

 

 今回のトレッキングでは、雪山の領域へ足を踏み込むことは全く想定していません。

  

 二十歳代の後半に、重いカメラを担ぎ、北海道の冬山に一人で籠ったこともありますから、2000mを越える雪山の厳しさは十分に認識しています。

 

  しかし、もう決めました。

  

 今日はこれから、キュムヌ・コーラの谷を越え、チョムロンへ向かうことにします。

  

 そこから更に、モディー・コーラ沿いにABCへ進み、雪に出会った場所から戻ることにしました。

 

 ポカラもカトマンドゥも悪くはないのですが、やっぱり白く輝く峰々とその麓で花を見るほうが遥かに楽しいと思うのです。

 

 そうと決まれば、ぐずぐずしている暇はありません。

 

 GHの清算を終えると、荷を纏め、タダパニを8時15分頃に出発しました。

 

 

 下の写真をご覧下さい。

 

 アンナプルナ・サウスを背にして、木立の背後に見える、尾根の右端がチョムロンのはずです。

 

 一度キュムヌ・コーラの谷へ下り、正面に見える尾根を登ることになります。

 

 

 GHのすぐ前から、チョムロンへのルートとなる階段を下り始めました。

 

 迷いのない足どりで歩を刻む私に、石壁に咲くサクラソウが微笑を投げかけていました。

 

 

 

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タダパニの朝

2014-05-08 20:48:57 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 3月9日

 

 タダパニのゲストハウスで朝を迎えました。

 

 日本を出発して10日目、トレッキングに入って4日目の朝です。

 

 全旅程のほぼ半分が終わったことになります。

 

 

 東向きの斜面に位置する、ゲストハウスの真正面から朝日が昇ってきます。

 

 チュルル、キュルル、チュンチュンと、梢の先で小鳥が唄い始めました。

 

 

 逆光の中に、マチャプチャレが美しいフォルムを見せていました。

 

 

 左手のアンナプル・サウスに陽が届き始めます。

 

 

 山の朝は、手から離れた風船が空へ昇るような速さで時を刻み、山稜を舞台にした光のページェントが始まりました。

 

 僅か数分後、アンナプルナ・サウス手前の尾根にも光が届き始めました。

 

 光が山頂から山麓にも届き、山は柔和な表情に変わり始めました。

 

 

 マチャプチャレは黒いマントを脱いで、威厳を感じる風貌から、穏やかな表情に変わり始めました。

 

 

 

 東の低い空に、薄い雲が佇んでいます。

 

 

 太陽がベールをほのかに被り、光が大気に分散し、周囲の山々は安らかなな表情を見せていました。

 

 

 刻々と表情を変える山の景色を見逃すまいと、私は夢中でシャッターを押し続けました。

 

 

 目の前の針葉樹の頂きにも光が届く頃になると、アンナプルナ・サウスの岩壁に光が射し始めました。

 

 

 

 やがて朝霧が谷に流れ込み、マチャプチャレは淡いベールに包まれてゆきます。

 

 

 小鳥達の声に振り返えると、ゲストハウスの裏手で、赤いシャクナゲの花が朝陽に染まっていました。

 

 

 アンナプルナ・サウスが正面から光を浴びて、彫の深い素顔を際立たせてました。

 

 

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シャクナゲの純林

2014-05-08 12:06:58 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 

 

 バンタンティを出て振り返ると、午前中に下ってきた尾根と谷が見えました。

 

 左手奥がデオラリのピーク3180mです。

 

 ポカラで買った5万分1の地図には、この辺のトレッキングルートが赤線で示されていますが、全く当てになりません。

 

 日本の地図と同じつもりでルートを読むと、頭が混乱しそうになります。

 

 

 バンタンティを出てから、シャクナゲの原生林の中に道が続きました。

 

 下の写真の、左端中央にザックを背負ったトレッカーの姿が小さく写っているのがお分かりでしょうか。

 

 道の周囲に、樹高30~40mはあろうかと云う、シャクナゲの純林が広がり、トレッカーの姿があまりにも小さく見えます。

 

 

 嗚呼そうなんです、満開の季節に、このシャクナゲの森に来たかった。

 

 

 そう、そうなんです、全ての花にタイミングの合う旅などありませんから、「花の旅」とは、諦めることを知る旅なのでしょう。

 

 

 それにしてもトレッカー達は皆、シャクナゲの純林に気付く風もなく、足早に通り過ぎてゆきます。

 

 「気付かぬ」ことは嘆く時間をも省いてくれるのです。

 

 不平不満とは、所詮そんなものかもしれません。

 

 

 トレッキングルートは標高2500m前後の山腹を横切るように続きました。

 

 暑さ寒さを意識しない、心地よい大気の中の道を、ゆったりペースで歩き続けました。

 

 

 やがて、ダウランティ・コーラの上流部に出ました。

 

 今日の目的地のタダパニへは、沢の左手の尾根を越えて行きます。

 

 森の中から、鞍部を越える道が見えていました。

 

 

 

 一度谷へ下り、数百メートル程を登り直します。

 

 

 トレッキングコースには常に人の姿がありました。

 

 小学生ぐらいの子供や、赤子を背負ったトレッカーの姿も見かけました。

 

 

 しかしそんな最中に、この場所が世界の屋根のヒマラヤであることを、突然降ってきた雹が思い出させました。

 

 ぽかぽかとした気候であっても、瞬時に厳しい状況になる可能性を想定しておくべきなのです。

 

 

 

 下った谷をもう一度登り直し、午後2時半過ぎにタダパニに到着しました。

 

 タダパニの村の入口に、とてつもない高さのシャクナゲが花を咲かせていました。

 

 

 

 その赤いシャクナゲの花の上を、空一面に白い雲が覆っていました。

 

 そして私は、明朝マチャプチャレが正面に見えるはずの、東に窓を向けたGHに今夜の宿を定めました。

 

 

 

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サクラソウの咲く谷で

2014-05-07 22:28:56 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 サクラソウが咲く谷を歩き続けました。

 

 

 

 ピンクや薄紫の花を掲げたサクラソウが、陽の当る水辺や、枯葉の積もる道脇に次々と姿を見せます。

 

 

 サクラソウという名称は、正確には、日本のサクラソウ「Primula sieboldii」を意味しますので、正確には一種類しかありません。

 

 しかし、サクラソウ属は世界に400種程が知られ、それらは日本のサクラソウと花姿が似ることから、サクラソウという言葉は総称的にも使われます。

 

 カトマンズで購入した「ヒマラヤの花」には36種のサクラソウ属が記載されていました。

 

 

 私には、その全てを見分ける知識はありませんが、歩を進めながら、次々と現れるサクラソウ属の微妙な違いを楽しみながら、花散歩を続けました。

 

 

 

  左:プリムラ・デンティクラータ       右:プリムラ sp

 

 12時半を過ぎた頃バンタンティに到着、ここで昼食を摂ることにしました。

 


 昨日歩いたルートにも同じ名前の村がありましたが、共通する地形的な特徴があるのかもしれません。

 

 ちなみに、デオラリと云う地名が数か所にありますが、これは峠を意味するのだそうです。     

 

 

 

 バンタンティでは、昨日から顔馴染みとなった韓国人女性の金さんが、一羽の鶏をつぶし豪華な昼食を楽しんでいました。

 

  

 

 日本円で2~3千円程度らしいので、特に高価なわけではありませんが、400円前後で普通に食事ができますから、トレッキング中の昼食としては豪華なものです。

 

 

 私や大阪から来た学生達を手招きして、食べろ、食べろと盛んに勧めます。

 

 

 金さんは、同年代の韓国人男性とポーターの三人グループでしたが、私と同じ63歳だということを、この時知りました。

 

 20代の頃に、沖縄で魚関連の仕事をしていたそうで、日本語が少し話せます。

 

 しかし英語がダメで、他のトレッカー達と全くコミュニケートが取れていない様子でした。

 

 

 

 この後も数日間、私と同じルートをトレッキングしていましたが、とても還暦を過ぎているようには見えません。

 

 

 韓国の金さんは勿論、トレッキング中に行き交うトレッカーは、お互い「ナマステ」と声を掛け合って挨拶を交わします。

 

 日本人はもとより、オランダやオーストラリア、ドイツのトレッカー達とも顔馴染みになりました。

 

 他のグループを案内するネパール人ガイドやポーターとも親しくなり、一人旅とは思えない道行が続きました。

 

 

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雪の沢から木漏れ日の谷へ

2014-05-07 13:20:36 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 デオラリのピークを過ぎ、道は沢の中へと下って行きます。

 

 シャクナゲの巨木が、到る所で周囲に根を巡らせていました。

 

 

 見上げるアンナプルナ・サウスに雲が掛かり始めました。

 

 

 足元の水溜りに薄氷が張っています。

 

 

 マチャプチャレが歩を進めるごとに、大きさを増してきました。

 

 

 沢へ下るにつれて積雪量が増えてきます。

 

 昨日歩いたダラウンティ・コーラの谷筋と違い、森が深く、民家も殆ど見当たりません。

 

 

 11時少し前、ゴレパニを出発してから2時間程でデオラリのGHを通過しました。

 

 

 雪の積もる道が続き、傾斜のきつい場所ではトレッカーが渋滞を起こしていました。

 

 大阪市大の学生達に「スキーの要領で足を運ぶと転ばないよ」と説明すると、「スキーをしたことがありません」の返事が返ってきました。

 

 雪道を歩いたことがない人は、かなり苦労していたようです。

 

 

 暫く進むと、トレッキングルートから雪が消えました。

 


 尾根を一本隔てただけなのに、昨日のルートと違って、周囲に段々畑が見えません。


 道には敷石も施されていませんでした。

 

 そのような素朴な山道に、野の花が可憐に咲き揃います。

  

 

   左:プリムラ・エッジワースィ      右:プリムラ sp

  

 山道脇の笹薮に、雨期には水路となるであろう場所で、サクラソウが群落を作っていました。

 

  


 尾根と沢が複雑に入り組んだ地形は、夫々の場所毎に環境が変化し、多彩な植物を育むようです。

 

 

 日本の東北地方に見られる藪山のような谷に清らかな水が流れ、木漏れ日に導かれた山道が穏やかに続いていました。

 

 

 

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シャクナゲの森の上に

2014-05-02 18:46:21 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 

 

 ゴレパニのGH(ゲストハウス)へ戻り、荷を整えました。

 

 部屋の窓の中に、白く輝く山が絵のように収まっていました。

 

 

 

 朝食を終えて清算を済ませました。

 

 昨晩の二杯の地酒を含めて請求金額は1590Rsでした。

 

 

 今日はゴレパニから東に進み、タダパニを目指します。

 

 ベーカリー 横の、タダパニ ⇒ と表示された路地に入って行きました。

 

 

 数件のGHが途切れると、疎らに花を付けたシャクナゲの上にアンナプルナ・サウスが姿を見せました。

 

 

 歩を進める森の中に雪が解け残っていました。

 

 

 ゴレパニから30分程で尾根の肩に登り、後を振りかえると、ダウラギリがシャクナゲの森の先で輝きます。

 

 

 穢れなく澄み渡るブルースカイの中で、白き峰々が輝きを放ちます。

 

 

 南西に、今朝登ったプーンヒルが見えていました。

 

 

 雪の残る道を、デオラリのピークへ登って行きます。

 

 

 高度を上げてゆくと、ダウラギリの裾に、折り重なる尾根が見えてきました。


 この山は1960年に初登頂されたのですが、その工程は、近づくことさえ容易ではなかったそうです。

 

 

 ゴレパニを出発して1時間程で、デオラリのピーク3180mに到着しました。

 

 

 アンナプルナ・サウスが間近に見えていました。

 

 

 マチャプチャレの双耳峰が尾根の向こうに姿を現しました。

 

 

 私は大阪市大の学生達とお互いに写真を撮り合いながら、この場所でダウラギリに別れを告げました。

  

 

 ところで、帰国してから、この時の学生にメールを送ろうとしたのですが、書いてもらったメモにURLの記載がありません。

 

 連絡をくれれば対応したいと思います。

 

 

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神々の庭

2014-05-02 14:42:24 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 晴れ渡った空の下、ダウラギリが静かに寛ぐ表情を見せていました。

 

 

 アンナプル・サウスが微かな朝霧のベールを纏って、微笑んでいました。

 

 

 プーンヒルの山頂には、壮大なドラマを堪能したトレッカー達が、未だ去りがたい思いで佇んでいました。

 

 

 ダウラギリの岩壁にヒマラヤ襞が見えています。

 

 アンナプル・サウスの雪壁には雪崩の痕が見えます。

 

 目の前で穏やかな表情を見せる峰々は、実は容易に人を寄せ付けぬ神々の庭なのです。

 

  

 

 オランダから来た3人組と顔を合わせ、目と目で「素晴らしかったですね」と肯き合いました。

 

 私は誘われるままにカメラを渡し、サンスクリット語で豊穣の女神を意味するアンナプルナ山群を背に、シャッターを押してもらいました。

 

 

 
 帰路に付く頃は、陽の光が谷の中へ届き始めていました。

 

 空に鷲が舞い始めました。

 

 

 目の前に青く凍ったアンナプル・サウスを見ながら、シャクナゲと針葉樹との混交林の中に続く、雪の道を下ります。

 

 

 

 見下ろす先に、朝を迎えたゴレパニ村が見えてきました。

 

 

 暗闇を登る時は夢中だったのですが、雪の道は滑りやすく、トレッカーはすり足で山を下ってゆきます。

 

 

 左手に、サンスクリット語の「白い山」を意味するダウラギリが、今はその名の通りの白い姿で、トゥクチェピーク(6920m)を従えていました。

 

 途中で何度も立ち止まってダウラギリの姿を目に焼き付けました。

 

 

 プーンヒル登山口にあるチケットカウンターまで下りて来ました。

 

 ガイドブックに記載は無かったのですが、今朝はここで、50Rsを払って登り始めました。

 

 財布を持って来たからよかったのですが、そうでなければもう一度GH(ゲストハウス)まで戻らされるところでした。

 

 プーンヒルへ登られる方はどうぞご注意下さい。

 

 

  

 その先の村へ続く道に、見事なシャクナゲの巨木が枝を広げていました。

 

 僅かに花を付けた枝先に、アンナプルナ・サウスが白く輝きます。

 

 本当は、「枝一面に、真っ赤に咲き揃った花の奥で、真っ白な峰が輝く」みたいな写真を撮りたかったのですが・・・

 

 次のチャンスへと余韻を残すことになりました。

 

 鬼が笑おうとも、私は100歳まで生きるつもりですから、まだまだチャンスはあるはずです。

 

 

 

 8時少し前にゴレパニ村に下りてきました。

 

 GHで朝食を摂って、今日はタダパニへ向かう予定です。

 

 

 

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プーンヒルの頂きで

2014-05-01 22:27:30 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 6時24分、30数キロ先で、標高8167mのダウラギリの頂きに陽の光が届き始めました。

 

 光は徐々に、頂上直下の雪と岩の壁を朱に染めてゆきます。

 

 

 ギャラリーの前で、地球の営みを告げながら、輝きの峰が明るさを増してゆきます。

 

 

 僅か7分後には、ダウラギリの壁の半分以上が眠りから覚めて、赤子のような朱から、乙女のような柔らかい彩に顔(かんばせ)を変えていました。

 

 

 北へ目を向けると、7219mのアンナプル・サウスも眠りから目覚めていました。

 

 

 真横から光を受けますので、山容に派手な彩は見えません。

 

 しかし、S席から役者の肌に触れる程の距離感で、ヒマラヤが目覚めの時を迎えるシーンが進んでゆきます。

 

 

 
 ダウラギリの頂きから始まった朝が、13分後に3210mのプーンヒルの頂きにも届きました。

 

 足元に穏やかな朝が拡がってゆきます。

 

 

 一番手前に7219mのアンナプルナ・サウス、その左に7647mのアンナプルナ・ファン、その後ろに8091mのアンナプルナ Ⅰ が雪煙を靡かせていました。

 

 右手奥では6993mのマチャプチャレが、朝陽の中に、特徴的なシルエットを見せていました。

 

 

 眼下のゴレパニ村は、まだ闇の中です。

 

 

 

 息つく暇もない夜明けのドラマにも一区切りが付いて、周囲を見回せば、プーンヒルの頂きは想像以上のトレッカーで溢れていました。

 

 誰もが、多くの時間と労力をかけて登って来たこの場所で、望み通りのドラマを鑑賞することができ、皆一様に満ち足りた表情を見せていました。

 

 

 そんな時、眼下の谷に予想だにしないエンジン音が響きました。

 

 こんな時間に何事かと思い目を凝らすと、小さな飛行機が山肌を縫うように、西の空へ向かって飛び去ってゆきます。

 

 きっと、チベットへ通じるジョムソン空港へでも向かうのでしょう。

 

 大気の安定した午前中に、ポカラとジョムソンを往復する定期便かもしれません。

 

 

 山と谷は少しずつ、何時もの表情に変わり始めていました。

 

 

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46億年目の朝

2014-05-01 14:33:32 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 3月8日

 

 カメラに三脚を携え、ゴレパニの宿を朝5時過ぎに出発しました。

 

 村のGH(ゲストハウス)に明かりが灯ります。

 

 

 手にしたライトの僅かな明りを頼りに、闇の中へ歩を進めました。

 

 北の空では、アンナプルナ・サウスとマチャプチャレが影絵となって、空と大地を隔てています。

 

 

 目指すのはプーンヒル3210mです。

 

 標高2858mのゴレパニから350mほどの標高差を登ります。

 

 何時の間にか、私の前後にプーンヒルの頂きを目指すトレッカー達の列ができていました。

 

 木立に挟まれた登山道を登って行きました。

 

 周囲の山々が夜の闇から目覚め始めました。

 

 急がなくては。

 

 

 ゴレパニを出発してから約40分、展望塔の建つプーンヒルの頂きに到着しました。

 

 見渡す限りの空に雲一つ見えません。

 

 

 夜明け前の微睡みを楽しむかのようなダウラギリが西の空にたたずみます。

 

 

 コンデジ(コンパクトデジカメ)のズームを利かせましたが、ダウラギリの青白い顔に、表情を読み取ることはできませんでした。

 

 

 北の空に微睡むアンナプルナ・サウスも同様でした。

 

 

 逆光の中のマチャプチャレは、コンデジのオート機能ではピントを合わすことすらできません。

 

 

 しかし朝は確実に秒を刻み、微睡みの時を刻々と過去へと消し去り、空の青さに光が加わります。

 

 

 
 そんな空に突然、何かを予兆するかのようなスペクタクルが現れました。

 

 ピークに集うトレッカー達に静かなどよめきが広がりました。

 

 

 

 そしてまさにその時、地球生誕後46億年目の朝が、ダウラギリの頂きから始まったのです。

 

 

 

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薪ストーブの横で地酒

2014-04-27 22:17:53 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 ゴレパニに入ると、道の両側にGH(ゲストハウス)が連なっていました。

 

 しかし目の前には登り勾配の道が続いています。

 

 ゴレパニは峠のはずですから、景色を楽しめるGHを選ぼうと、更にもう20分程も登り続けました。

 

 

 峠の分水嶺に到着すると、峠を東西を分かつ場所に小さなストゥーパが置かれていました。

 

 その横に、英語でベーカリーやブックショップと表示された店が並んでいました。

 

 

 村のあちらこちらに残る雪が、ゴレパニの気象状況を説明しています。

 

 

 村の中でうろうろしていると、誰かが「この先にダウラギリの見えるGHがあるよ」と教えてくれました。

 

 そして午後3時少し前、西向きの斜面に建つGHにチェックインすることができました。

 

 希望通り、西側に窓を開けた部屋を確保することができました。

 

 

 

 部屋に荷を置くと、村の散策に出かけました。

 

 まず最初に、明日の朝、暗い時間から登り始める予定のプーンヒルへのルートを確認しました。

 

 「プーンヒルへ至る」の標識を見付けたので、様子見がてら登ってみました。

 

 

 西の空に雲が広がり、ダウララギリ8167mであろうピークは見えていません。

 

 

 北へ目を向けると、アンナプルナ・サウス7219mも雲に覆われていました。

 

 

 村の中に、一部を赤く染めた木が見えたので、近づいて行きます。

 

 見上げるほどの巨木シャクナゲが、僅かに赤い花を咲かせていました。

 

 

 

 GHへ戻り、ダイニングルームを覗くと、ダウラギリへ向けて窓が広がっていました

 

 

 私は窓辺の席に座って、テーブルに地図を広げました。

 

 

 明日のルートを目で追いながら、地図を読み、入念に地形を確認してゆきます。

 

 

 今居るゴレパニまでのルートで判断に迷うことはありませんでした。

 

 前後に絶えず人の気配があり、不安を感じることはありませんでした。

 

 しかし山では、一度の失敗が取り返しの付かない事態を招きます。

 

 村と村を繋ぐ街道を歩くような感覚のトレッキングですが、気を抜くことはできません。

 

 山の怖さを十分に知っていますから、安全が第一です。

 

 

 GHで夕食のオーダー取りが始まりました。

 

 

  

  昼にカレーを食べたことも忘れて、夕食もカレーを注文しました。

 

 

 カレーに付いてきた大盛りのライスはそのまま受け取りました。

 

 普段食べる量の3~4倍はありそうですが、気温が下がってきましたからカロリー消費が増えるはずです、量を食べなければ歩けなくなる可能性があります。

 

 

 食事を終えて外が黄昏るころ、ダイニングルームの薪ストーブに火が入りました。

 

 

 ストーブ横の暖かな席を確保し、私は先程のメニューに見た、ローカル・ロクシー(Local Raksi)なるものを注文しました。

 

 

 旅先でローカルと云う言葉は、一期一会と同じ意味ですから、逆らいきれぬ響きがあります。

 

 

 癖のない、さっぱりした味の焼酎が温められたカップとともに出てきました。

 

 ロクシーは店毎に味が違うらしいのです。

 

 

 そして、この夜から私は、夕食後にロクシーの味を確認する作業が日課となりました。

 

 

ヒマラヤ一人歩きの危険性

 

 

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雪消え残る場所へ

2014-04-27 16:03:27 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 ナンゲタンティの優雅な昼休みを終えて、再び登り始めました。

 

 山では標高が100m上がる毎に、気温が0.65℃下がります。

 

 現在地は既に2400mを越えましたので、汗ばむようなポカラよりも10℃以上気温が低いずです。

 

 ぽかぽかと陽が降り注ぐ初夏の高原を歩くようなトレッキングになってきました。

 

 

 木陰の日溜まりにプリムラ・デンティクラータ(Primula denticulata)を見かけました。

 

 デンティクラータとは「小さな歯」と云う意味ですが、葉の縁が鋸歯状であることに由来します。

 

  

 プリムラ・デンティクラータ

 

 タンポポが咲いていました。

 

 日本中に広まったセイヨウタンポポは総苞片が反り返りますので、在来種と見分ける判断材料となります。

 

 ネパールでもその方法は有効なのでしょうか。

 

 

    Taraxacum sp             総苞片が反り返っている

 

 シャクナゲの林は根元が明るく開け、よく見通しが利きます。

 

 

 雨期と乾季だけのネパールは、樹高の高い位置でシャクナゲの葉が陽光を遮ると、根元に他の植物が育ち難いのかもしれません。

 

 そんな林の縁で、梢から漏れる落ちる光りを集め、ジンチョウゲの仲間「Daphne bholua」が桃紫色の花を咲かせていました。

 

 この植物も、前にご紹介したダフネ・パピラセアと共に、ネパールでは和紙の原料として利用されるようです。

 

  

ダフネ・ボウルア

 

 シャクナゲの森の中に道が続いていました。

 

 幹周に、大人が3~4人も手を繋ぐ程の巨木を見かけました。

 

 

 

 岩陰から流れ出る清水に管が設えられていました。

 

 この辺りであれば、湧水を口にしても腹を壊すような心配はなさそうです。

 

 

 山道の所々に、荷を置いて休息をとる石積み(チョータラ)を見かけました。

 

 こんな所で休んでいると、必ずポーターが笑顔で挨拶の声を掛けてくれるのです。

 

 

 更に歩を進めると、岩陰に白い雪が消え残っていました。

 

 

 昨日の昼は、ティルケドゥンガで熱帯の花を見ていたのですが、

 

 何時の間にか、雪が消え残る程の高さに登って来たのです。

 

 

 今朝9時にウレリを出発し、標高差800m強の緩やかな山道を登り続け、5時間半程かけてゴレパニ村に到着しました。

 

 

  

ヒマラヤ一人歩きの危険性

 

 

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ナンゲタンティで昼食

2014-04-26 16:21:56 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 

 

 今朝出発した標高2020mのウレリから、目的地のゴレパニ2858mまでの直線距離は3km程度です。

 

 嫌なアップダウンのない、頑張らなくてもいい、緩やかな登り道が続いていました。

 

 

 道はシャクナゲの森に囲まれていました。

 

 あちらこちらで、シャクナゲの巨木が道を塞いでいます。

 枝先に蕾が膨らんでいました。

 

  

 

 花の写真を撮りながら、のんびり登り続け、12時頃に標高2460mのナンゲタンティに到着しました。

 

 

 顔馴染みとなったネパール人のガイドやポーター達がお昼休みをとっていました。

 

 ポーターの荷が重そうだったので、「ちょっと背負わせて」と言って、一番大きなザックを背にしてみました。

 

 30㎏前後はありそうです。

 

 私が「こんなザックを背負ったら歩けないよ」と言うと、持ち主が「そんなことは言わずに、私の代わりにどうぞ、お願いします」などと笑顔が返ってきました。

 

 

 

 ナンゲタンティで昼食をとることにしました。

 メニューを見て、野菜カレーをオーダーしました。

 

 カレーと共に運ばれてきた山盛りご飯は、慌てて半分に減らしてもらいました。

 

 私は元々香辛料が利いたスパイシーな料理が大好きですが、ここのカレーもとても美味しく頂きました。

 

 

 食事をしていると、大学生のグループが追い付いて、隣のテーブルで食事を始めました。

 

 彼らはネパール餃子のモモやピザを注文していましたが、私は彼らのピザを見て(下の写真)、「旅に出たら、やっぱりその土地の料理を食すべきだ」の意を強くしました。

 

 

 食後にブラックティーを注文し、小1時間ほどのランチタイムをとった後、レストランの小母さんに420Rsを支払いました。

 

 小母はお金を受け取ると、お金に口づけして、とても嬉しそうな素直な表情の笑顔を見せてくれました。

 

 

 

ヒマラヤ一人歩きの危険性

 

 

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趣の道

2014-04-26 14:16:25 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 トレッキングルートは、殆ど全ての場所に石が敷き詰められていました。

 

 歩く自信がない人はロバの背に乗って旅することもできるようです。

 

 

 途中のレストランの壁に、遥か昔に北海道で山登りをしていた頃、お世話になった山岳用品屋さんのシールを目にしました。

 

 こんな場所で、札幌秀岳荘の名に出会うとは思いもしませんでした。

 

 

 

 ブルンジ・コーラ(ブルンジ川)沿いに続くトレッキングルートを歩いていると、支流からの川に、箱庭のような橋が架かっていました。

 

 

 なだらかな勾配が続く、シャクナゲの森を進んで行きます。

 

 

 

 やがて、進行方向に青い空が広がり、この先はもう、登り続ける必要がないことを知らせていました。

 

 地図を確認すると、目にする光景に矛盾は感じません。

 一人旅の緊張感の中に、心地好い安堵感が加わりました。

 

 

 周囲を見回すと、森の中に、ジンチョウゲ科の「紙の木」が、枝々に白い花々を咲かせていました。


 しかし、この辺りのシャクナゲは予想通り、数輪の花しか咲かせていませんでした。

  

 雨期と乾季しかないネパールでも、四季のある日本と同様、ジンチョウゲが咲いてシャクナゲが咲く順番であるらしいことが興味深く思えます。

 

 ジンチョウゲの仲間もシャクナゲの仲間も、夫々の種が日本とネパールに離れ育ってはいても、同一の先祖から引き継いだ資質を保持しているらしいことが分ります。

 

  

 

 水辺で日本人のグループがひと時の休憩をとっていました。

 

 彼らは私と同じGHに宿泊した大阪市立大学探検部の4年生で、学生生活最後の記念にヒマラヤへトレッキングに来たそうです。

 

 3人とも、私がこのブログを書いているゴールデンウイーク前の今頃は、就職先の新人研修で汗を流しているはずです。


 今回の彼らの旅が、生涯の良い思い出となって、人生の困難を乗り越える糧となることを願わずにはいられません。


 私のような、定年退職後の年配者がヒマラヤへ来るよりも、彼らのような若者達こそが、もっと海外へ足を運ぶべきだと思うのです。

 

 

 木漏れ日の中にサクラソウを眺め、何故か懐かしさを感じながら、趣の道を歩き続けました。

 

 

 

 

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