ゴレパニに入ると、道の両側にGH(ゲストハウス)が連なっていました。
しかし目の前には登り勾配の道が続いています。
ゴレパニは峠のはずですから、景色を楽しめるGHを選ぼうと、更にもう20分程も登り続けました。
峠の分水嶺に到着すると、峠を東西を分かつ場所に小さなストゥーパが置かれていました。
その横に、英語でベーカリーやブックショップと表示された店が並んでいました。
村のあちらこちらに残る雪が、ゴレパニの気象状況を説明しています。
村の中でうろうろしていると、誰かが「この先にダウラギリの見えるGHがあるよ」と教えてくれました。
そして午後3時少し前、西向きの斜面に建つGHにチェックインすることができました。
希望通り、西側に窓を開けた部屋を確保することができました。
部屋に荷を置くと、村の散策に出かけました。
まず最初に、明日の朝、暗い時間から登り始める予定のプーンヒルへのルートを確認しました。
「プーンヒルへ至る」の標識を見付けたので、様子見がてら登ってみました。
西の空に雲が広がり、ダウララギリ8167mであろうピークは見えていません。
北へ目を向けると、アンナプルナ・サウス7219mも雲に覆われていました。
村の中に、一部を赤く染めた木が見えたので、近づいて行きます。
見上げるほどの巨木シャクナゲが、僅かに赤い花を咲かせていました。
GHへ戻り、ダイニングルームを覗くと、ダウラギリへ向けて窓が広がっていました。
私は窓辺の席に座って、テーブルに地図を広げました。
明日のルートを目で追いながら、地図を読み、入念に地形を確認してゆきます。
今居るゴレパニまでのルートで判断に迷うことはありませんでした。
前後に絶えず人の気配があり、不安を感じることはありませんでした。
しかし山では、一度の失敗が取り返しの付かない事態を招きます。
村と村を繋ぐ街道を歩くような感覚のトレッキングですが、気を抜くことはできません。
山の怖さを十分に知っていますから、安全が第一です。
GHで夕食のオーダー取りが始まりました。
昼にカレーを食べたことも忘れて、夕食もカレーを注文しました。
カレーに付いてきた大盛りのライスはそのまま受け取りました。
普段食べる量の3~4倍はありそうですが、気温が下がってきましたからカロリー消費が増えるはずです、量を食べなければ歩けなくなる可能性があります。
食事を終えて外が黄昏るころ、ダイニングルームの薪ストーブに火が入りました。
ストーブ横の暖かな席を確保し、私は先程のメニューに見た、ローカル・ロクシー(Local Raksi)なるものを注文しました。
旅先でローカルと云う言葉は、一期一会と同じ意味ですから、逆らいきれぬ響きがあります。
癖のない、さっぱりした味の焼酎が温められたカップとともに出てきました。
ロクシーは店毎に味が違うらしいのです。
そして、この夜から私は、夕食後にロクシーの味を確認する作業が日課となりました。
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