ABC(アンナプルナ・ベースキャンプ)へ向かって歩き始めて1時間程経ちました。
何時の間にか、モディ・コーラの流れは雪の下に隠れています。
振り返えると、谷の上に青空が覗いています。
雪を纏った岩の上に、長閑なうろこ雲が漂います。
9時を過ぎる頃になって、谷に光が届き始めました。
さっきまで上空を覆っていた雲も薄れ始めました。
すぐ横の岩壁はモノトーンの抽象画のようです。
岩壁の中で、ルビー色に凍る滝が、この場所の状況を説明していました。
私は羽毛服を着て、毛の手袋にサングラスを掛けた冬山装備なので、寒さを殆ど感じません。
不思議なくらいに風がありません。
谷が、更に明るさを増してきました。
ABCへのルートは、マチャプチャレBCの直下から西へと向きを変えます。
汗ばむほどの陽射しが、トレッカーに降り注ぎました。
時折振り返ると、マチャプチャレBCが眼下に見えていました。
標高は3700mを越え、ほぼ富士山と同じ高さです。
マチャプチャレが背後からの陽光を受け、神おわす場所であることを告げていました。
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