今作、過去最高です。
Tool、13年ぶりの新譜です。冷静に考えて「13年ぶり」ってなんだよな???浦島太郎かよ。
でもリリースありがとう、本当にありがとう。生きていてよかったと思います、待っている間に私はすっかりおじさんになってしまいましたが。浦島太郎かよ。
なんだか夏休みの宿題を3学期の終わりに出された感覚に近いような。出してほしかったけど、そりゃ出した方がいいけど、「えっ今?」みたいな。嬉しいんだけどね、そりゃあもうブログを書いちゃうくらいに。
このアルバムが出てから、全国津々浦々のToolファンが少しずつこのブログに訪れてくれているようです。Toolの記事にばかりアクセスが集中している。それも嬉しい。来日したらみんな行こうね。
以前のレビューはこちら。
『Lateralus』
『10,000 days』
本作について。
決して派手な変化に満ちた作品ではないです。ずっと激しい曲は最後あたりの「7empest」くらいでしょうか。でも細かいキメとか拍子の変化とか、ベースとドラムの絡みとか。以前は最初から変拍子の曲が多かったですが、今作では1曲のなかでも拍子や曲調の変化が多い。ささやかな工夫で緩急や変化を加え、飽きさせないように凝らしている、じっくり耳を傾けていると音の渦に飲み込まれていく。それから歌メロもギターのソロも、全体的に心地よいフレーズが多い。複雑だけど聴きやすい、そんな作品だと思っています。さすが13年かけただけあるよな…!!(根に持ってます)
曲単位では『Ænima』も『Lateralus』も好きだけど、アルバムを通して聴くなら前作『10,000 days』か本作に軍配が上がるかな、といった印象。
以前の作品から更なる「深さ」を見せつつも、とても聴きやすい作品です。『Lateralus』の頃のように、急にウワッとテンションが上がることもなく、『Ænima』のように謎の留守電が入っていることもなく(笑)。1曲のなかでも、それからアルバムを通してもゆっくり上昇してゆっくり下降していく。これが本当に心地よい。あとメイナードおじさんの歌も上手、聴かせる感じで歌うM4「Invincible」やM6「Desending」、M7「Culling Voices」でゾクゾクします。カリフォルニアでワイン作ってるだけじゃなかったんだね。
強いて本作の難点を挙げるならばその「長さ」。なんと1時間27分あります。さすが13年(ry
なのでちょっとした通勤、通学では聴き終らずに消化不良になること必至。そのままモヤモヤして仕事や学業に支障をきたすこと請け合いです。でも不思議なことに毎日聴いちゃうんだよな、マゾなのかもしれない。
好きな曲
M1 Fear Inoculum
TOOL - Fear Inoculum
いきなりタイトルトラック。過去作の1曲目たちに比べたら地味ですが、どういうわけか癖になる曲です。謎の金属音とタブラ、そこにベースが乗ってくる瞬間が良い。冒頭は普通に4/4なのですが、途中から5/8と6/8が交互に押し寄せてきます。でも自然に聞こえるし格好いい。これぞTool、最高。
M2 Pneuma
TOOL - Pneuma
「Pneuma」という単語はギリシャ語で気流、風とか呼吸、転じて「存在の原理」や「生命」を意味する言葉のようです。そんな言葉を曲のタイトルにする時点で格好良すぎます。
“We born of one breath
One word
We are all one spark
Eyes full of wonder”
こんな具合に呼吸とか言葉の表出とか、そういった言葉が歌詞に出てきます。かなり抽象的な歌詞、でもかっこいい。最初のギターは4/4なのですが、その後のベースの拍子が複雑で数えようと思って何度も挫折しています。歌メロと絡み合うリズム隊。それでいて、不思議にも聴きやすい曲。間奏部では珍しくバスドラが4つ打ちしていますね、そこから盛り上がっていく部分が好き。
M9 7empest
TOOL - 7empest
はい文句なしにかっこいい曲。異論は認めん。
タイトルの「7」というのはどういう意味なんでしょうね。7つの大罪を表しているのか、七曜なのか、聖書に出てくる7つの門や災いなのか。あるいは7番目の太陽系惑である天王星を表しているのか。よくわかりません。よくわからんけど曲が良いってのはわかる(なんじゃそりゃ)。
正直言ってわからない部分が多いです。それも彼らの魅力ですが笑。人間の本性ってなんだ、お前の本質とはなんだ、というような内容の歌詞が多い気がする。上で取りあげたM2とかM9とか、なんとなくですが。まだ歌詞全部に目を通しておりません。
でもひとつはっきりしているのは、とんでもない名盤だということ。是非来日してくれ。東京大阪とかでやるなら両方行きたい、なんなら台湾あたりにも足を延ばしたい。それくらい、このバンドのことを心待ちにしていたので。
新譜が出てから聴くまで、ちょっとした躊躇いもあったのです。期待して、がっかりするような作品だったらどうしよう。今はそんなことを考えた自分が恥ずかしい。このバンドには妥協とか安易な焼き増しとか、そういったものと無縁なのでした。出来ることならば、私もそういった姿勢を見習って生きていきたい、そんな風にも思うのです。