日曜の朝になぜ私はブログを書いていますか?
これから午前にお勉強的な用事があり、午後と夜には勉強会があります。私は何のために生きていますか?
さて本日はtoeの2ndアルバムをご紹介。「トー」と読みます。日本のポストロックバンドです。
ポストロックっていったい何?という方に説明しますと、郵便ポストを楽器で取り入れたバンドのことです。
あの赤いポストを叩いたり撫でたり、お葉書出したり。それが案外いい音がして。
冗談です、今3秒で考えた嘘です。
そんな激寒な茶番はおいといて。
「post(~以後の)」という言葉が表すように、従来のロックのコード進行とかリズムとかに捉われない、新たな音楽のジャンルのことらしいです。しかし「ポストロック」という言葉自体は結構前から使われていたみたいで(初出は1990年代)、もうあまりポストって感じではないんですよね。そのへんは古くなっても新幹線と言われているのにも似てます、いったいいつまで新しいつもりなんだお前は、と。
若干話がそれましたが、「ポストロック」は、今ではしっかり固有のジャンルとして定着しておるのです。
日本にもポストロックのバンドが結構いますよね、LITEとかmouse on the keysとか、どれも格好いい、そして海外でも人気があったりする。でも自分が一番好きなのは彼らtoeなのですね。なぜかというと自分でも良く分からないんですけど、聴いていると頭の中が真っ白になっていく感覚が生じて、とても心地よいのです。まるで音の波に攫われていくような。それはあなたが疲れてるからじゃないの?と言われるとあまり自信が持てないんですが。
さてこの『For Long Tomorrow』、2009年リリースです。前のフルアルバム『the book about my idle plot on a vague anxiety』から4年後の作品になります。しかしこのタイトル、めっちゃオシャレじゃない?「vague anxiety」って、ポストモダンだよな。ポストモダンの不安だよな。相対化が進み過ぎて自分の輪郭がどんどん失われていく。自分の存在が茫漠としたものになっている。
え?安直に自己投影しすぎ?やかまわしいわ。
そうやって自分の解釈によって己という存在を確かめたり、拡張したりしていくのが現代だから。
デリダもそう言ってるでしょ!(言ってない)
本作に話を戻すと、前作と随分雰囲気が異なっています。非常に聴きやすいんですよね。聞き流すこともできるというか。50分あるのにあっという間に終わってしまう。もともとポストロックのジャンル自体があまり歌を伴わない、というか歌を楽器の一種として取り入れているところがあるので、言葉の意味が押しつけがましくないのもいいのです。言葉の意味にとらわれないから、彼らは海外でも人気があったりします。
さっくり曲紹介。
M4「エソテリック」
Toe - エソテリック (Esoteric)
調べたところエソテリックという高級オーディオメーカーがありますが、このことを意味しているかはわかりません。
イントロのギターが非常にクール。そしてドラムが格好良いのは言わずもがなですが、そこに絡んでくるベースが有機的で、気持ちいいです。
M6「two moons」
Toe - Two Moons
ガットギターの音色がとても美しい曲、随所で入ってくるハーモニクスも良い。
2つの月、というタイトルはどういう意味なんでしょうね。どうしても村上春樹の『1Q84』を思い浮かべてしまうけど。
拍子が4/4だったり6/8だったり細かく変わるのに、慌ただしさが感じられない、しっとりしたいい曲です。雨の日に良い。
M10「グッドバイ」
TOE - グッドバイ
音源はライブのもの。アルバムでもそうですがゲストボーカルに土岐麻子が参加しています。
本作の前に出していたepの「グッドバイ」もいいけれど、こっちはこっちでいいな、と。
土岐麻子の声は好きなんだけど、自信持って歌ってる感じがして「また次の不安か umm...」と歌ってても微妙に説得力がないというか...いやいやその声は自信持っていいですよ、と言いたくなる。余計なお世話か。
一方山嵜さん(Gt)が歌っていると、無骨だけどそれでいて儚げで、大の大人が「また次の不安か umm...」とか歌ってるのが母性本能をくすぐりますよね、マジかわいい。
これより前に出していたEPよりも、全体的に丸みのあるサウンドな気がする。
EP版もかっちょいいです、ドラムが入ってきた後のハイハットの「スタスタスッター」て部分は、ドラえもんが歩いている時の効果音みたいにも聞こえますよね。なんでもないです。
一応EP版の音源も貼っておきます。
toe - グッドバイ PV / "Goodbye" Music Video
3:20頃のドラムが好きです。こっちの方が好き勝手やっている感じがする。
彼らの演奏について。
音自体はクールというか、打ち込みだったりシンセだったり無機質なものも多用しているし、どこか冷たいトーンなんだけど、非常に「生きている感じ」がして好きです。
それは単にドラムの手数が多いとか、演奏が上手く絡み合っているとかではなくて。
うまく言葉にならないんだけど、作り手の息遣いが聞こえてくるような、そういう演奏なのだと感じています。
そういうお前はちゃんと生きているのか、と問われるとvagueなanxietyが襲い掛かってくるわけですが。
あ、もうこんな時間だ。午前の用事に行かなくては。
また次の用事か umm...
余談
長いこと迷った末に、遂にapple musicを契約しました。これむちゃくちゃ便利ですよね、やばい。便利すぎて鼻血が出そうになってしまった。the pale fountainsの音源とかもすぐ手に入れられてやばいし、あー今これ聴きたいけど手元に音源ないなーってなってもすぐ聴けて鼻血が出ます、失血死しそう。もちろん無い音源もありますけどね、念仏とかね。
これからは田舎でも音楽に苦労しなくなるんだろうな、どんどん便利な世の中になっていく。それはそれで、どこか悲しい気もする。それは「昔はカセットにダビングしてね」とか「レコードがね」とか「蓄音機でね」と言っていた人が抱く感傷と同じなのでしょう。何かを得るということは何かを失うことなのですね、きっと。逆もまた然り。昔田舎のCDショップでToolとかNumber GirlのCDを取り寄せていたのが懐かしい。
しかしapple musicには一つ問題点がありまして。自分は携帯で音楽を聴く時、ONKYOのアプリで聴いていて(その方がイコライジングが細かくできる)、ダウンロードした音源はそっちで再生できないみたいなので、かなりがっかりです。iPhoneのがっかりイコライジングでtoeを聴きたくないよなぁ、じゃあちゃんとCD買うしかないんだよなぁ...(ステマ)