ゆらゆら荘にて

このごろ読んだ面白い本

「同志少女よ敵を撃て」 意外にあとあじがよい

2022-04-11 | 読書日記
現実に「戦争」が起っているのに
「戦争」ものを読むのは……と思って積んであった
「同志少女よ敵を撃て」(逢坂冬馬著 2021年11月 早川書房刊)
本屋大賞に選ばれたということは
それだけたくさんの人に支持されたということだろう。
どういうところが支持されたのだろう
それが知りたくて読みました。



ロシアがソ連だった時代
人口40人ほどの小さな村イワノフスカヤに母と暮らす16才のセラフィマは
高校に通う傍ら
母と銃で害獣を駆除することもしていた。
高校ではドイツ語を学び、将来は外交官になりたいと思っている。
大学進学も決まっていた。
そんなある日
ドイツ軍によって村は襲撃され、母も村人たちも殺されてしまう。
そこに赤軍(ソ連軍)の一団が現れ
セラフィマは危ういところで命を救われる。
何を聞かれても、何も答えられないセラフィマに
リーダーの女性兵士は聞く。
「戦いたいか、死にたいか」
セラフィマは答える。
「死にたいです」
すると、女性兵士は、いきなりセラフィマの母の遺体に火をつける。
セラフィマの胸に怒りが燃え上がる。
「ドイツ軍も、あんたも殺す!敵を皆殺しにして、敵を討つ!」
セラフィマは女性兵士イリーナに
女性狙撃兵訓練学校に連れて行かれる
……

広い意味でのミステリでもある本作は
ここまでのほんの50ページに
作品を貫く「謎」が提示されている。
狙撃兵訓練学校での厳しい訓練も
戦地での実際の戦いも
コツコツと読み進めて行った先に
「謎」の解明が待っている。

世界でただ一国
「女性戦闘員がいた国」(現実に)
を描いたら
現実に戦争が起こってしまった
のが現在地。

読んだほうがいいか
読まないほうがいいか
と聞かれたら
読んだほうがいい
とこたえます。






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