ゆらゆら荘にて

このごろ読んだ面白い本

「うらはぐさ風土記」 中島京子

2024-04-17 | 読書日記

「うらはぐさ風土記」(中島京子著 2024年3月 集英社 273p)を読みました。

夫バートの浮気で離婚し
勤めていた大学での講師の仕事が無くなって
30年ぶりにアメリカから帰って来た主人公・沙希
人生の大転換点
のはずなのに何だか実感がない。
ぽけっとしている。

というところに
母校の大学から講師の口が舞い込み
住まいは
祖父の家を貸してもらえることになって
(祖父は今は施設にいる)
「うらはぐさ」での暮らしがはじまる。

30年ぶりの日本での暮らしでは
(自分を浦島花子だと自認している)
何とも奇妙な味のある人たちが沙希の周りを巡る。

庭の手入れをしてくれる秋葉原さん。
商店街の足袋屋の主人で
店の屋上で「屋上菜園」をやっている(!)
「これまで一度も、働いたことがありません」
「もう、この年になると、おんなじだもんね」
(働いていてもいなくても)
と胸を張る。

妙な敬語を使う大学1年の亀田マサミ。
周囲から浮きたくないと言いながら
(浮いていることには気がついていない)
学園祭の弁論大会に出て
うらはぐさに特攻隊の基地があったことを熱く語り
感極まって倒れて、救急車で運ばれたりする。

戦争から帰って来て
満月の夜には狼男のように吠えるようになった
秋葉原さんの今は亡き父親。

コロナで除夜の鐘が中止になった境内で出会った
寺の住職。

一緒に商店街の焼き鳥屋に行くようになった
ゲイの大学講師。

秋葉原さんを講師に迎えて
コロナ下の学校で屋上庭園を始めようとしている
小学校の校長……

得とか損とか
考えない人たちが住んでいるうらはぐさ

大好きな「かたづの」
(中島京子作のファンタジー+時代小説)と同じ世界に
また出会えて
嬉しいです!

移住希望

 

 

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