読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

大沢在昌著「冬芽の人」 

2013-05-22 | 大沢在昌
「冬芽」とは寒い冬にずっと耐えて、冬が過ぎた時に花や葉に成長する芽のこと。6年前練馬で起きた強盗殺人事件の捜査中に自分をかばった先輩刑事・前田光介を亡くし、その責を負って警察を辞めた牧しずりは、前田の命日の墓参りの折その同僚の息子・岬人と出会う。
未来への希望を捨て、心を閉ざして一人で生こうと過去を封印してひっそりと暮らす普通のOLの彼女に彼がもたらしたのは解決したはずの事件に関わる新情報だった。
やがて岬人との出会いが彼女を変えてゆく。
16も年下の岬人に魅かれてゆく“しずり”、そんな自分に戸惑い、何度も会うのをやめようとした“しずり”だったが次々と消息を絶つ関係者等に、調べれば調べる程に得体のしれない悪意の存在が見えてくる。
すでに片が付いた事件のため事件を掘り返したくない警察。
味方も武器も持たない「しずり」は、事件の真相を暴き、失われた人生を取り戻すべく見えない敵に戦いを挑む。
東京から、沖縄、福島の過疎の村へ、孤立無援、たった一人で戦う暗闇のラストシーンは圧巻でした。
「大きな敵に闘いを挑む勇気を持つ人だけがヒーローでない、例え小さな問題でも解決しようと挑むことは私にとってヒーローなのです。」
2013年1月 新潮社刊

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