金魚すくいの屋台で出会いそれから飼われることになりユキと名付けされた和金の金魚の視点で描かれた心温まる物語。都内のアパートで一人暮らしをしている、恋に臆病なイズミ。引っ込み思案なのは誰にも明かしていない心と体に「傷」があったからだ。そんな彼女をいつも金魚鉢から見つめているユキ。ひとつ屋根の下に暮らしながら言葉を交わすことはないが、イズミへの思いは誰よりも強い。もどかしい関係の「ふたり」の間に、新たな男性の存在が。果たしてイズミの凍った心を溶かす恋は始まるのか・・・
登場人物は4人と黒猫やパンジーなどこじんまりとした世界の話で広がりがないがほっこりさせてくれる優しい話です。「心は傷つかない。ただ、ただ磨かれるだけ。」(P214)「ふたりが喧嘩するのは、相手ことがとても好きだからだ。好きだからこそ自分を理解して欲しくて喧嘩になる。・・・喧嘩できるのは、そもそもふたりがしあわせだからだ。」(P272)
2019年12月小学館刊
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