読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

石田衣良著「SEX」

2010-07-15 | 石田衣良
セックスという切り口で恋愛や男女や人生を描く、セックスは、なぜこれほど美しいのだろう。美しく、やらしく、かわいくて、涙が出る
・・・10代から死の間際まで性の極みを鮮やかに描いた12の短編集。
『きっとセックスだけがほんとうであとの世界が全部嘘なのだ。』
SEXって心と体で感じ取る人間として最高の営み。人と愛。男と女。出会えた人間同士が出来る最高の理解。
『個人の力が試される・・・感受性と想像力、体力とコミュケーション能力、演技力と変身能力、ふたりきりの密室では、死力を尽くした裸の人間同士の交感がおこなわれています。』(235P)
『SEXは・・・頭と心と身体のすべてが参加する全人的な行為で、生きものとしての人間になくてはならないものです。
・・・海外の避妊具メーカーが、一年間の性交回数を国別に発表しています。トップの残業時間を誇るこの国が、同時に年間最少の貧しさを記録している。
その事態を淋しく思うのは、ぼくだけでしょうか。
この国がGDPだけでなく、生と性のよろこびの豊かさでもトップになれる日を、ぼくは待ち望んでいます。 』(あとがきより)
夜の住宅街で恋人と。学校の図書館で同級生と。入院中の病室で親しい女たちと。
セックスのうみだす限りない快楽と幸福感を、どこまでもリアルに描いた12の物語。
そして石田は言う 『好きな人とたくさん』

2010年3月講談社刊
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石田衣良著「6TEEN」

2010-06-08 | 石田衣良
2003年直木賞受賞した「4TEEN」の続編の連作10短編。
あの当時の奴等ダイ、ナオト、ジュン、テツローも2年経ち高校生になり16歳――「永遠」の切なさを知る季節。
ぎこちない恋、初めての裏切り、仲間の死、少しだけリアルに感じられ始めた未来の自分。
超高層マンションを見上げる月島の路地で、彼らはこの世界の仕組みを考える。
16歳にしか訪れない一瞬の輝きを鮮やかに切り取った青春小説。
ソフトな感じで1篇が短いので直ぐ読める。男の著者だから男の子の心理はよく書けていて
「うん、ウン、今も昔もそんなに変らない。」でも女の子の行動や心理がチョット突込み不足で不満。
ホームレスの老人トクさんとの話しを扱った「秋の日のベンチ」の会話が印象に残った。
2009年9月新潮社刊
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石田衣良著『池袋ウエストゲートパークIX ドラゴン・ティアーズ 龍涙』

2010-03-22 | 石田衣良
通称『I.W.G.P.』は、の果物屋の息子で普段は「池袋西口公園で屯しており、
“池袋のトラブルシューター”とも呼ばれる真島 誠を主人公とする小説シリーズ9作目。
茨城の工場から中国人研修生が失踪した。彼女が戻らなければ250人の研修生仲間は強制送還される。
そのタイムリミットは一週間。捜索を頼まれたマコトは、チャイナタウンの裏組織「東龍」の根城に乗り込む。・・・表題作「龍涙──ドラゴン・ティアーズ」
解決の仕方が養子縁組による日本人戸籍取得とは安易すぎて残念な展開だと思う。
他、エステ業界のキャッチセールスを扱った・・・「キャッチャー・オン・ザ・目白通り」
ホームレスと地域生活移行支援事業を斬る・・・「家なき者のパレード」
人と人が出会うのが困難な時代の出会い部屋・・・「出会い系サンタクロース」
書かれた当時の政治・経済・社会事件を背景にした短編が4つ。

2009年8月文藝春秋刊。
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石田衣良著『チッチと子』

2010-01-02 | 石田衣良
作家デビュー以後つぎに「くる」のはきっと云われ続けて10年の万年初版作家・青田耕平は妻を3年前に交通事故で亡くし小学生の息子と二人暮らし。
不安定な収入、マンションのローン返済、将来への不安は募るばかりだが、ついに直木賞の候補に選ばれる。
突然の周囲の変化に戸惑う耕平。
だが「あれはほんとうに事故だったのだろうか」不可思議な交通事故で死んだ妻を忘れることができないため再婚にもう一歩踏み出せずにいた。
そんな寂しさから逃れられない父と息子カケルがたどり着いた妻の死の真相とは・・・。
賞取りレースの結果は?
小生意気で、健気なカケルと、ちょっと頼りない感じの父親のなんとない日常生活と耕平にからむ女性達とのやりとり、作家仲間や出版界の裏事情。
他の作家の作品への嫉妬や、作品を生み出す苦労とかサイン会や賞取りレースの舞台裏。
成長するカケルと変わりゆく親子の変わらない愛情を描いた感涙の家族小説
なぜかうるうるきてしまった小説でした。
2009年10月 毎日新聞社 刊
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石田衣良 著「下北サンデーズ」

2009-10-23 | 石田衣良
春から東京科学工科大学電子工学科の大学生になった里中ゆいかは、
芝居のおもしろさを生まれて初めて教えてくれた弱小劇団「下北サンデーズ」に入団する。
やがて劇団はトントン拍子に売れてゆくのであるが。
演劇の街・下北沢を舞台に貧乏と夢の演劇ストーリー。
『夢を追い続ける自信はありますか。
ずっとビンボーでいる覚悟はありますか…。夢+貧乏=美しき青春』
劇団仲間や女優たちや支援者が活き活き青春する感動スートリーです。
2006年 幻冬社刊
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石田衣良著「少年計数機・池袋ウエストパークⅡ」

2009-10-22 | 石田衣良
池袋西一番街の果物屋家業の側らフリーのライター真島誠通称「マコト」の活躍するシリーズ第2弾。
インターネット社会の新しい商売「覗き部屋」そのデジタル覗き部屋
「Fairy Garden~妖精の庭」の人気ナンバーワン・アスミにストカー対策を頼まれたマコトの話し「妖精の庭」。
何でも数に置き換えてしまう不思議なカウント小学生「広樹」の誘拐話しの表題作。
連続引ったくり事件を扱った「銀十字」。
「マコト」危機一髪「水の中の目」の4編が納められている。

2000年 文藝春秋 刊
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石田衣良著「再生」

2009-08-17 | 石田衣良
自殺で死んだ妻を喪い6歳の息子を一人で育ている康彦の再生物語の表題作他・・・現代の心の渇きを潤す12個の短編集。
障害児の息子のいる家族を捨て、後悔の念にさいなまれるラジオディレクターの話し・・・「ガラスの目」。
定年退職後、新たにタクシー運転手を目指す元トラック運転手・・・「東京地理試験」。前触れもなく彼から別れを切り出されたキャリアウーマン・・・「流れる」。
焚き火の炎が人の心を溶かす・・・『火を熾すガラスの目」不況下で中小の広告代理店に入社し不安を覚える新入社員の葛藤を描いた・・・「「4月の送別会」。
40間際の独身男が休暇先の沖縄のビーチで出会った夜に海で何かを撒く女・・・「海に立つ人」
日々の仕事にうんざりする契約社員の小さな反逆…「ミツバチの羽音」。
派遣切りになり無一文でやっと実家に戻ってきた息子とリストラ間近な父との26年目の和解・・・「出発」。
かなり最近の仕事と雇用をめぐるリアルタイムな世相を反映した物語にはなっているが、等身大の登場人物達の平凡な日常に舞い降りた小さな奇蹟を前向きに描いたライフストリーです。
『時代の坂道の傾斜は険しくなり、いつのまにか絶壁が目のまえにそそり立っています。誰もが手と足を踏ん張って、何とか斜面にかじりつく。・・・あきらめずにゆっくりとのぼり坂のジヨギングを続けていきましょう。』(270P)
問題の解決の仕方を偶然や心の持ち方考え方においているのがチョット不満。私的には「東京地理試験」がお気に入りです。
2009年4月角川書店刊

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石田衣良著「うつくしい子ども 」

2009-05-25 | 石田衣良
緑豊かなニュータウンを騒然とさせた九歳の少女の殺人事件。犯人として補導されたのは、自分の十三歳の弟だった!
逮捕の瞬間から、街に家族の居場所は無くなった。
父と母は離婚、母と妹とでアパート暮らし・・・崩壊する家族、マスコミが
押し寄せて変質する地域社会、沈黙を守る学校・・・。
でも僕はここで闘う。弟を凶行に駆り立てた何かを探して殺人者のこころの深部と真実を求めて、十四歳の兄は調査を始める。
後半、明らかになる真実とは・・・痛ましい少年の孤独な闘いと成長をみずみずしく描いた感動のミステリー。
神戸のあの事件がモチーフに書かれているのは想像できるが
東野氏の「手紙」も加害者のことを書いた物語だったが加害者の家族の14歳の少年物語としてリアル感を感じる。

1999年 文藝春秋 刊
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石田衣良著「愛のない部屋」

2009-05-19 | 石田衣良
神楽坂のタワーマンション「メゾン リベルテ」を舞台にそう自由でない人々の
暮らしをリアルに都心に暮らす男女の心の隙間を描く恋愛小説短編集。
表題作「愛のない部屋」はDVに悩む妻と娘の物語。
異性のルームシェアの関係を描いた・・・「空を分ける」
35歳目前にマンションを買う決意をする独身女性・・・「いばらの城」
出会い系サイトで知りあった男と情事を重ねる主婦・・・「夢のなかの男」
不登校の息子と夫婦の・・・「ホームシアター」
あつくなる体、おきざりの心。吐息で心が満ちる夜。
男と女が織りなす風景10シーン。
どれもハッピーエンドでないけど気になる短編集です。
2005年 集英社刊
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石田衣良著『1ポンドの悲しみ 』 

2009-05-18 | 石田衣良
30代の恋愛がテーマの恋愛短編集第2集。
東と西に遠距離恋愛中の男女が丁度真ん中の名古屋駅前のシテーホテルで1ヶ月ぶりの逢瀬のあとで新幹線で別れ行く
切ない悲しみを「ヴェニスの商人」心臓に一番近い肉1ポンド(450g)胸の奥の肉をえぐりとらえるような感じと・・・表題作「1ポンドの悲しみ」他
他人のしあわせのためにだけ働くウエディング・プランナーの由紀の話し・・・「誰かのウエディング」。
本を読む男を好きになる女のはなし・・・「デートは本屋で」
それぞれの所有物にイニシャルをつけて、互いの領域を侵食しないように暮らす 同棲カップルが、子猫を飼うことになり気づき始めた相手への思いを描いた・・・「ふたりの名前」、
広告プロダクションの経理で働く独身女性は、同僚たちから(けちんぼ魔女)と陰口をたたかれながらも淡々としていたが、ある日突然声が出なくなる・・・「声を探しに」
ふつうの恋のちいさな火花。ささやかで切ない恋の瞬間10シーン、愛に
迷う女性たちのときめきと揺らぎを描く10篇収録されている。

2004年 集英社 刊
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石田 衣良著「逝 年」 

2009-05-01 | 石田衣良
call boy Ⅱ
前作99年に発刊された性愛小説『娼年』その後。20歳の夏から一年後。
娼夫のリョウは、仲間の咲良、アズマと共にボーイズクラブを再開する。
やがてクラブのオーナー御堂静香も刑務所から戻ってくるが、エイズを発症して数ヶ月の命。
「娼夫」としての才能を見抜き、その世界に導いてくれた御堂静香の「死」に至るまでの物語が、主人公リョウの成長とともに描かれる。
「娼夫」とは「ホスト」とは全く違い、あくまでも女性の欲望に性を交えた形で答える職業らしい。その世界では一流となったリョウが命の焔を閉じようとする静香の性に、全身全霊をこめて答えようとするのだが死を目前としてした咲良の目前での静香との『最期のセックス』とか高速走行中の行為は理解できなかった。
男娼の目を通して前作同様激しい性描写が連ねられる。
『人間は探しているものしか見つけられない。退屈を探せば退屈を、驚異を探せば驚異を見つける。世界はあまりにも豊かな書物なので、必ず望むページにいきわたることになる』(本文109)
2008年3月集英社刊
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石田衣良著 『シューカツ!』 

2009-02-26 | 石田衣良
マスコミへの就職を目指す七人の大学三年生をモデルに彼らの四季を描いた就職活動をテーマにした青春小説。
主人公は長野から上京して一人暮しの鷲田大学三年水越千晴
なにごともあきらめずに、忍耐強く取り組む性格、生活費の足しに大学の三年間ファミリーレストランでアルバイトをして最初はミスも多かったけれど、最後には店長のいないときにはフロアをまかされるくらいになる。正社員としての入社をすすめられたこともあるねばり強さは出版の世界でもきっと役に立つと思っている。
このたび学内の仲間たちと「シューカツ・プロジェクトチーム」を結成し、夢のマスコミ就職に向けて、目標は全員合格。
メンバーはクールなリーダー・富塚圭、準ミスの佐々木恵理子、女性誌志望の犬山伸子、理論派のメガネ男子・倉本比呂氏、体育会柔道部の小柳真一郎、そしてナンパなテニスサークル副部長・菊田良弘。
慣れないリクルートスーツに身を包んで OB訪問、OG訪問から就職活動開始・・・。
バイトも就職も遊びも恋も・・・
未曾有の経済危機で又しても就職氷河期に突入した今
この本を読んで頑張れ大学生。
昔学生だった人は当時を思い出して昔を懐かしんでください。
『仕事のやりがいと収入のバランスをどうとるかという、難しい一歩を踏み出す
のが、大人としての第一歩』と語る著者が大学生に贈る
悔いのないように大学生活を送れという応援エールです。

『いきいきとして生きていく人間が最後に笑う。笑顔の魅力と元気なら・・・』(エピローグより)
2008年10月 文藝春秋刊 定価(税込)1500円

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石田衣良著「反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパーク Ⅴ 」

2009-02-02 | 石田衣良
池袋ウエストゲートパーク シリーズ第5弾
池袋西一番街の果物屋家業の側らフリーのライター真島誠は、実は表と裏に通じているトラブルシューター。
表題作の「反自殺クラブ」は、続発する集団自殺を、呼びかけるネットの
クモ男との対決する反自殺クラブの面々とマコト、風俗スカウト事務所の
集団レイプ事件を扱った「スカウトマン・ブルース」、
中国の死の工場を訴えるキャッチガールが主人公の「死に至る玩具」
…若者たちの現在、今をクールに鮮烈に描く、新世代青春ミステリー。
『①死んだ人間よリ生きている人間の方が魅力的
②心はいつも外のせかいで自己を表現しようとする
③どれほど些細な理由でも自殺できるし、その反対にどれほどくだらない
目的でも生きていることも出来る。』(反自殺クラブ本分よリ)

2005年 文藝春秋刊
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石田衣良著「池袋ウエストパークⅢ骨音」

2009-01-21 | 石田衣良
池袋西一番街の果物屋家業の側らフリーのライター真島誠通称「マコト」の活躍するシリーズ第3弾。
若者を熱狂させる音楽に混入する不気味な音の正体は-連続ホームレス襲撃事件を扱った表題作他、老人パワーが活躍する「西一番街テイクアウト」、偽地域通貨の犯人探しの「キミドリの神様」最凶のドラッグを扱った「西口ミッドナイトサマー狂乱」の4編が納められている。

2002年 文藝春秋 刊
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石田衣良著「40翼ふたたび 」

2009-01-20 | 石田衣良
人生の半分が終わってしまった。それも、いいほうの半分が。
先輩に同調して独立したが途中どうにもついていけなくて止めて始めた
「人むすび人あつめ、40歳から始めよう~なんでもプロディースします」
投げやりに始めたフリーランスプロデューサー(プロデュース業)、
さっそくやったのは自分のプログサイトの開設。
やがてやってきた一つのメールが・・・
まざまな同世代の依頼人に出会いすこしづつ変身する主人公「吉松喜一」40歳。
今どきの時代、世相を反映した状況設定と登場人物たちの
生きることの困難と、その先の希望を見つめた感動のエピソードの数々
若干、楽天主義の感とあまりにも上手く行きすぎの感は否めないが、
「人生後半、胸を張れの」エールが聞こえてくるようだ。
『いきることは自分で選べるけれど、死に方は選べない』
『人間に自由にできるのは、どう死ぬかでなくどう生きるかだけなのだ』(本分よリ)
2006年   講談社 刊
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