メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

バナナフィッシュにうってつけの日

2010-01-31 16:59:51 | 
米作家J・D・サリンジャー氏、91歳で死去

大好きな作家サリンジャーが亡くなったニュースに驚いたが、それ以上にまだご存命だったんだ!と2度驚いた。
たしか短大時代に『ライ麦畑でつかまえて』を原語で読まされて苦労した思い出と、
その時知ってから、『フラニーとゾーイー』で有名なグラース一家の物語りを夢中で読んで、
その後の一家の話がまた書かれることを期待して待っていたけど、とうとう彼の頭の中で完結してしまったようだ。

グラース家の中でわたしの一番のお気に入りは長兄シーモア
タイトルにした『バナナフィッシュにうってつけの日』は『ナイン・ストーリーズ』て短編集の1つで、
シーモアが突然に、そしてあまりにも自然に自殺してしまった日のことを描いている。
彼が海岸で少女と話す会話が痛々しいほど純粋で好きだった。

シーモアの死後、それを受け入れられないフラニーが問題を起こす話を書いたのが『フラニーとゾーイー』
以前ミクシで書いたレビューを以下に転記してみる。


「『ライ麦畑でつかまえて』に代表される「永遠に年をとらない青少年」と呼ばれる主人公たちの語り口調で書かれた、
 7人の「神童」と世間で騒がれた兄妹たちの物語。
 今作をはじめ、このちょっと変わったグラース家のシリーズはどれも秀逸。
 読んだのは随分前だけど、いまでもサリンジャーは大好きな作家だ。

 ストーリーは、カンペキなルックスなのにギリギリの感情のフラニーとBFとの珍妙なやりとりからはじまる。
 家にひきこもり、ロクに食べずに祈りをつぶやく生活に心配した親は、兄ゾーイに説得するように頼む。
 チキンスープをひと口でも飲ませようと必死な母と息子のおかしな会話は滑稽でもあり、感動でもある。

 ゾーイは妹に、自分たちは2人の兄に宗教観念をわんさと詰め込まれた畸形児であること、
 祈るには、少なくともその対象であるChristを好きでなくてはならないことなど、
 ワイシャツを汗びっしょりにして話すがうまくいかない。

 クライマックスは、兄の部屋から「役立たずの電話」で、兄バディのフリをしてフラニーに話すところ。
 長兄で自殺したシーモアのいっていた「僕らはあの『太っちょのオバサン』のために一生懸命やるのさ」という件がわたしは今でも大好きだ。
 この太っちょのオバサンとは誰のことか?自分自身でもあり、みんなでもあり、そして神なのかもしれない。」



サリンジャーよ永遠なれ。またどこかでお会いしましょう。



コメント    この記事についてブログを書く
« NHKのど自慢 | トップ | 『ミディアム』 シーズン2(... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。