メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『蛇のひと』(2010)

2013-04-08 10:54:15 | 映画
『蛇のひと』(2010)
監督:森淳一
出演:永作博美、西島秀俊、板尾創路、劇団ひとり、田中圭、勝村政信、ふせえり、國村隼 ほか

「その人は、みんなを少し不幸にする。」

trailer

西島秀俊さん出演作シリーズ。上記にあるジャケのキャッチコピーに惹かれた。
ドラマでもあり映画なのか? Vシネ的な? このDVDの中に洋画・邦画ひっくるめて20本近くの予告編が入ってたけど、
今作以外、あまり惹かれるものはなかったなぁ・・・

story
アラフォーの営業事務・陽子が会社に行くと、伊東部長が自殺し、自分の上司の今西課長は無断欠勤。
連絡が取れないうちに、「今西が1億円を横領したらしい。
外部に漏れたら体裁がつかないから、社内にも秘密で行方を探せ」と上部から指示を受ける。

アパートには居らず、隣りに住む漫画家志望の男から
「あの人に励まされて、会社を辞めて頑張れている。もう6年になる」
昔、交際していた女性・のりこは、今西に親切にされ、必死に好かれようとしたが失敗し、
「当て付けのように結婚したが離婚した」という。

いろんなツテを回るうちに、今西の好意でかえって不幸になってる人たちが大勢いることに気づく陽子。
「だとしたら、陽子さんも危ないじゃないですか」と同僚に言われ、
今西の素性をまったく知らなかったことに気づき、義太夫の師匠だったという父親から実家を見つけ、
同じ頃、弟子だった男から今西の少年時代を紐解いてゆく。。


「自分の中にも蛇はいる。でも、誰だっているんじゃないですか?
 だからって誰もが他人の不幸を望んでいるわけじゃない。
 みんなむしろ好きな人の幸せを望んで暮らしているんです」

こうゆう、一見、平凡で「いい人」そうなのに、実はダークで、何を考えてるのか分からない役が西島さんにぴったりだな。
その西島さんに負けず劣らず、周りに「いい人」を演じてしまう陽子役の永作博美さんもまったくヒケをとらないのがさすが。
ふせえりさんが珍しく?濃い目の化粧でビシっとキメてたり、
今西の影響で人生が狂ってしまう脇役陣も意外な一面が見れて面白かった。


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『アンフェア ダブル・ミーニング Yes or No?』(2013)

2013-04-08 10:22:15 | ドラマ
『アンフェア ダブル・ミーニング Yes or No?』(2013)

出演:北乃きい、高嶋政伸、綾野剛、橋本じゅん、加藤雅也、阿部サダヲ、寺島進、
山本裕典、石垣佑磨、忍成修吾、駿河太郎、福士誠治、浅野和之 ほか

『アンフェア the special~ダブル・ミーニング 二重定義』の続編。
2013年3月1日放送って、え ついこないだ?驚 全然知らなかった
このドラマシリーズを観ようって思ったのが3月10日だから、微妙に出遅れたんだなw
ここには、もう雪平はまったく出てこないし、機密情報のこともまるで忘れ去られたみたいになって、
まったく新しい事件を描くことで、警察とマスコミの腐敗、そしてそれに慣れてしまっている私たち自身を問いている。

▼story
本庁を離れた山路宛に謎の手紙が届いた。三上の分析で、指紋などは見つからなかったが、
封筒や便せんが15年ほど前のもので、消印は麻布とのこと。
それと同時に、ネット上でアニメキャラが人質をとって、正義に関する視聴者に問題を出し、
「Yes or No?」でアンケートをとり、その結果次第で人質を次々と射殺してゆく動画が流れて、SNSでも一気に話題となる。
望月は持ち前の正義感と押しの強さで、新しい上司・風見(高嶋政伸)に捜査開始命令を求めるが、相変わらず動きが遅い。

動画の画像で花瓶の水が揺れていることから、犯行は船上で行われているのでは?と調べたら、
40人の団体で予約したクルーザーが東京湾内を航行中だという。
小久保は、事件の権限を風見に任せ「海でのことは海上保安庁に責任を持ってもらえばいい」と囁き、自らは政治絡みで忙しい。
本庁に一時的に戻った山路は、15年ほど前に麻布で担当したあるアイドルの服毒自殺事件を思い出す。。


山路さん、しぶとく活躍するねえ! 小久保は出世のために、とうとう政治屋と組み始めたらしい
それにしても、北乃きいちゃんの声は元からあんなにハスキーなのかな?
今作には、西島さんに負けない人気のイケメン、綾野剛さんが登場。アイドルのコアファンて柄じゃないけど
そして、また外国帰りの生意気なプロファイラーが加わった。

なにかと体制から逸脱する望月に向かって、山路が諭したセリフに重みがあった。
「組織の中に入り込まなきゃ信念は貫けない。組織の中でなきゃ出来ないこともあるんだ」

で、望月は気づく。
「フェアじゃない人間に正当法は通用しない。流されずに、でも止めないこと。目には目をってい言いますから」


それから、犯人が叫んだセリフ。
警察もマスコミも歪んでいるけど、醜い犯罪でも、それが他人事だと、何が正義かも深く考えずに
エンタテイメントの1つとして楽しむ視聴者がいるから、犯罪は根絶しない。
そうゆう人たちも同罪なんだって言葉も重かった。

ラスト、三上が望月に言ったのは、
「自分の思いと、自分が実際にやってることが完全に一致する人間なんて存在しないよ。
 おかしいと感じながらもどこかで折り合いをつけ、自分を納得させてるんだ、みんなね」


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宮沢賢治『月夜のでんしんばしら』

2013-04-08 10:14:41 | 
ミキハウスの絵本『月夜のでんしんばしら』(三起商行)
宮沢賢治/作 竹内通雅/絵

▼あらすじ
ある晩、恭一が鉄道線路の上を歩いていたら、電信柱が一斉に行進しだした!

「ドッテテドッテテ、ドッテテド、
 でんしんばしらのぐんたいは
 はやさせかいにたぐいなし
 ドッテテドッテテ、ドッテテド
 でんしんばしらのぐんたいは
 きりつせかいにならびなし」

軍歌のような歌をうたいながら、他にも6本腕木や、3本腕木の電信柱らが列をなして歩きながら、
恭一の横を通る時は、なぜかバカにしたように横目で見ていくのだった。

その様子をずっと見ていて疲れた頃に、黄色のおじさんが号令をかけながらやって来る。
「おまえはさっきから行軍を見ていたのかい。じゃ仕方ない。ともだちになろう」とむりやり握手をすると、
おじさんの眼から青い火花が出て、恭一の体に電気が走った/驚
彼は「電気総長」で、電気の大将なんだと自慢げに話す。



2人が話していると、遠くから汽車がやってきて、おじさんは慌てて電信柱の行軍を止める。
客車の電灯が消えていることに気づいて「こいつはしまった。けしからん」と言いながら、
汽車の下に素早くもぐって直すと、ぱっと明るくなり、客車にいた1人の少年が
「あかるくなった、わあい!」と叫んで通り過ぎ、汽車はもう停車場に着いてしまう。



エボレット=軍服につける肩章。電信柱についている絶縁のための碍子が当時は瀬戸物で作られていたのを肩章にたとえた。
エングランド=イングランド

絵本の最後には、賢治が歌った行進曲のメロディを、友人の阿部孝さんが採譜したものが載っている。
以前テレビでやった「宮沢賢治の音楽会」に入っていただろうか?

絵を描いた竹内さんは長野の生まれ/驚
とてもハッキリした濃い色と、うねるような大胆な線で、
電信柱たちの行進の様子や、驚いた少年の心情を描き出している。
特に、謎の多い電気総長のブキミな存在が画面いっぱいに描かれていて印象的。
たくさんの光で「大きなお城」みたいに見える停車場に汽車が到着するまでの短い出来事を書いた短編ながら
ボリュームのある絵の効果で、賢治の生き生きとした物語りを想像力豊かに盛り上げている。

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