素振りブログ。

一般でスピーチできる話の素振りのはずなのに、無理な話がほとんどのブログ。

熱風団地が終わりました

2020年11月23日 00時00分00秒 | 日記
産経新聞の連載小説の熱風団地が先日最終回を迎えましたわ。
ここ数年で、久々にまともな新聞小説を読んだ気がする。(※産経新聞で、という前提条件つきですけど)

ベサール王子のケント、最終的に覚醒したし。
事件の黒幕である中国についても、悪役ではあるけど「悪の枢軸、邪悪の化身」という書き方でないのも面白いところ。
作者の声高く主張したいことを、登場人物を隠れ蓑に言わせてるな、って気づいちゃうとさ。
読めないものになってしまいますからね。

登場人物で語りたいのは

主人公の佐抜が、手持ちの武器で「犯罪も厭わない暴走中国人」「金のためならなんでもする外道日本人」という二人のプロ犯罪者に対して立ち回るのが面白かったです。
嘘とハッタリで凌いだり、腹を括って一か八かの賭けに出て、それで撃退するっての。
諦めなければ道ができるかもしれない、て感じで。

話の中心になるベサール王子のケント。
最初はただのクソガキなんですけど、事件に巻き込まれ、自分の母国がどういう連中に狙われているのか。それを目の当たりにし。
最初逃げていたけど、このまま逃げ続ければ、自分の母国が地獄の底に行くかもしれない。いや、そうとしか思えないよね。
だって、自分の母親を人質に取り「お前が即位宣言したらお前の母親を殺すぞ」なんて脅してくる連中だ。そんな連中に母国を任せるようなことだけは、絶対に避けなきゃ。
そのためなら、力が足りなかろうと、王になることを引き受けるしか無くないか?
そう、腹を括るのね。この志を持ってるのは自分しかいないから。志を持って、王に即位することができるのは自分しかいないからと。
彼の成長が読んでて気持ちよかったです。

不満だったのは、暴走中国人グオと、その相棒の外道日本人山本。
この二人のバックボーンがほとんどわからなくてね。
特に山本。彼、多分日本人のはずなんですけど「金が貰えるならベサールが中国の植民地の様な国になっても構わない」「俺の金儲けを邪魔する奴は殺す」こういう歪んだ考え方する人間になった理由がよくわからなかったのがね。
(グオは熱狂的愛国者で、中国共産党の狙いを邪魔するということが許せず、行動を起こしたのかな?と何となくわかるんですけど)
最初彼、思想が歪んでて、日本人でありながら中国に傾倒するテロリストなのかと思ったんですが、そうでもなさそうなのよ。
そこ、掘り下げて欲しかったですねえ。面白そうなのに。