昔、親が言ってたことなんですが

「年を取ると、小さい子がぴょんこぴょんこ跳ね回って動き回ってるのを見ると、そろそろ生まれ変わって肉体の更新をしたくなる」

……昔は聞き流してたんですけどさ。
ちゅーか、そのときは確か大学生で、受験がようやく終わった直後くらいですかね。

そのときは「冗談じゃない。ここまでの積み上げをまたやり直すとか」なんて思ってたんですけど。
最近、なんだかそのとき親が言ってたことに同意できるようになってきましたわ。
これが、年を取るということか……

年を取ると、代謝悪くなって太りやすくなるし。
何だか内臓機能の衰えなんかも感じてくるし。
色々ガタが出てくる。

そういうの、積み重なってくると「あぁ、別に生まれ変わるのも良いかもしれない」って気になってくるんですよね。
ガキの時分「積み上げるのしんどいなぁ」なんて思ってたことが、別に大したことでは無かったっての。
社会人続けていると分かってきますしね。
まぁ、多くの場合、分かったところでもう遅い、ってモンなんですけど。
（で、そういうとき、皆こう思うのです「もっと勉強しておくべきだった」）

でまぁ、こういう悲しみ、寂しさを生み出す「老い」なんですけどね。
生物としてはこれ、欠陥ではなくて利点らしいんですよね。
実は。

何でか？

老いるという機能が無いと、古い世代がいつまでも生き残り、新しい世代がワリを食って古い世代の身代わりで死んでしまうから。

ということらしい。
ようは、古い世代に優先的に死んでもらうために多くの生物は「老いる」そうな。

老いて能力が減退するという現象が無いと、生存競争で勝者になりやすいのはより多くの経験を積み、身体も作って来た古い世代の方。
新しい世代は、生まれても生まれた端から古い世代に敗れ去って死んでいく。

こういう状況になってしまう。

で、こういう状況を放置していると、古い世代の遺伝子を狙い撃ちにする病気が発生したとき、ほぼ全部が感染し、発病して死に絶えてしまう。

だから、遺伝子を病気に対する鍵かパスワードに例えた場合、古い世代がいつまでも生き残ってるってのは、パスワードが延々変わらず使い続けられているのと同じ状況で、生物の生存戦略的にはマズイんですわ。
そのために、自然と古い世代が脱落していくように「老い」があるらしい。

日本神話だと、人が死ぬのはイザナミノミコトの呪いのせいであるってなってますけど。
その説で行くと、老いるのもイザナミノミコトのせいと言えるかも。

ただ、生物としては「老いさせてくれてありがとうございます」って状態みたいですね。
そうすると、実のところ呪いでもなんでもない、って結論になっちゃうかもですね。むしろ祝福？