素振りブログ。

一般でスピーチできる話の素振りのはずなのに、無理な話がほとんどのブログ。

今年の仕事人スペシャルも面白かったよ。

2015年11月30日 20時00分08秒 | 日記
必殺仕事人2015、今年のスペシャルも面白かったです。

話のスジは縁切り寺に寺社奉行と黒いつながりを持つ悪徳住職が入り込んで。
旦那と縁切りしたいと思い駆け込んできた女たちを、監禁し遊郭に売り飛ばしていたという、まぁあまり捻りの無いフツーのスジなんですけどね。

そこに仕事人がやってきてブチ殺す。スジはフツー。

ですけど。

盛り込むネタが実に美味でした。

そんな縁切り寺のせいで起きる事件にですね、流れの仕事人夫婦が関わって

仕事の途中で妻の方が死んじゃう。

ここのネタが良かったですねぇ。
どこが良かったのかって?

仕事人なわけですよ。
お金を貰って人を殺すという、卑しい人殺しなわけですよ。

だから、この末路は当然かもしれない。
そういう思いが残された旦那の方にあってですね。

妻を失ったことをただ悲しむことが出来ない。

んで、です。
旦那が妻を仕事の世界に引き込んだんですよね。この夫婦仕事人。
その夫婦、山賊に襲われた村のただ一人の生き残りだった女を、流れの仕事人だった旦那が拾って、その後夫婦の仕事人として流れ流れて来てた。
そういう夫婦。
そんないつ死んでも自業自得と言われる世界に引き込んだのは、旦那。

しかし妻の方は、それを旦那のせいにしないで、仕事稼業をやる以上、自分は最期は野垂れ死にしても嘆く資格は無いんだよと。
それは自覚してて。

つまり二人とも了解済みの結末。

でも、この悲しさは抑えることはできない。
そしておそらく湧き上がる復讐心。これもあったかもしれませんね。
声に出して言う資格は無いんだけど。

で、抜け殻のようになるんです。
悲しむなという理からくる気持ちと、悲しいという本能からくる気持ち。
相反するそういう気持ちで身動きが取れなくなって、抜け殻のようになってしまう。

妻を失った後、死んだ妻と同じ病気(失語症)を発症してしまった少女に出会うんだけど。
再起し、全ての仕事が終わった後に、その子に関しては、新しい連れ合いとして連れて行かなかったあたり、ここも悲しかったですね。(妻に与えるはずだった、失語症に効く薬を手渡して「悪い男に引っかかるな」と言い残して去って行く)
死んだ妻は俺が仕事の世界に引き込まなければあんな最期を遂げずに済んだかもしれない。同じ事を繰り返すのはもうダメだ、みたいな。
そういう思いが見えたので。


で、あとひとつ。
今回の悪人の親玉である竹中直人演じる悪徳住職。

言葉の端々にね、彼、悪になるまでに相当色々あったんじゃないか?
そういう想像をさせる部分があったんですが。

それに関しては一切説明しないの。

ここ、特に良かったです。
無くても話が壊れない設定は、匂わせてもいちいち言葉で説明しない。

駄目な脚本だと、無駄な設定を垂れ流して視聴者のテンションを下げる

「妻というものは、失ってはじめてその大切さに気づくもの」

そんなことを、ラストに渡辺さんと対峙したときに言ってたけど。
かつての彼も、同じ事を感じる何かがあったんじゃないか?

分からんけどね。あえて説明をしなかったから。
そして、何か抱えるものを持っていたかもしれない彼は、渡辺さんと切り結んで、ただの悪党として斬られて死んでいった。

なんともいえない後味ですな~。