私の夢は…というと大げさなのですが…歳を取る前に海を前にした今の実家から、のんびりとした里山に引っ越して犬や猫、ヤギたちとのんびりとした暮らしをすることであります。
ちょっとした畑を耕し、汗を流し、自作の露天風呂に入る…見上げる満天の星空…雨の降る日は縁側で読書。嗚呼、やっぱり海よりも断然、山がいいのです。
そのためには、森羅万象堂の事業を何とか軌道に乗せなければなりませぬ。そのためには、多少、夜遅くなっても仕事をしなければなりませぬ…そのためには…あれ?のんびりとした暮らしをする為にあくせく働くというのも何か変で、大体、里山に住んで居る人は、若い頃からのんびりしてるではないか。(少なくとも私より!)考えて行くうちに何か、ものすごい遠回りをしているような気がしてきました。
しかし自分にはこうするしか手がなく、そうして夢が実現するから楽しいのであって、自分に頑張れと言うしかないのです。そしてその夢が先日、なんとひと時実現したのです。
中二の娘のバレー部のレクリェーションで、里山体験に行って来たのであります。
その場所自体、本気で私が住みたいと思っていた地域で、建物もこんな民家に住みたいという理想的なものでありました。要するに目の前に夢の世界がいきなり出現してしまった。そこで私は薪を割り、かまどに火をくべ、五右衛門風呂を沸かし、いろりで鮎の塩焼きに下鼓。何から何まで、希望した通りの世界。レンタルでリアルに実現!こうも簡単に、手に入るとは…正直ちょっと不思議な気分になりました。
おまけにヤギまで居た!
このヤギがすごかったのです。なんと言葉が喋れる。
「おっちゃん、里山の暮らしも結構大変やで。都合のいい時だけ、来て、田舎はいいなぁ…って叫んで、又、普通の暮らしに戻るのが一番楽で、ええよ~あんたには早すぎるで~」
なんてことを言い出すヤギ!
「レンタルでも、もっと楽しなないといかんで~あんた、表情硬いで~いろいろ考えすぎやで、おっちゃん、もう無理に、僕の頭、なでなくて、いいで~」
私にはちゃんと、聞こえたのです。
ヤギに言われて、気がつく自分の姿…うーん、うーん、この歳になって、夢だの何だの考えていること自体が、自分を枠にはめて考えすぎているのかも…。
帰り道、振り返ると、私を遠くからじっと眺めているヤギの姿がありました。