ひとり車を走らせる。気がつくと街に明かりが灯りはじめていた。
光に満ち溢れた夜の街はきれいさが際だつ。
闇をなくした都会の夜は、今の私にはまぶし過ぎる。
自分の居場所を探して、時間はいたずらに過ぎて行く。
一筋の光の先に、幼いとき過ごした、懐かしい風景が浮かぶ。
広々とした緑のじゅうたん、私を優しく包んでくれた。
心の安らぎ、あの時には戻れないのだろうか。
闇にろうそくがともる。
薄暗い部屋のなかには、まるで機械のように動く自分がいる。
ひたすら、毎日、カチカチカチと、意思のないロボットのようだ。
人の温かさを求め、夜の人ごみの中を歩く。ひとはせわしなくすれ違うだけで、口にする酒は、空しさだけが残る。
またひとり車を走らせる、自分の居場所をさがして。