*****ご注意!一部ネタバレの可能性があります*****
2020年のクスノキの番人の続編
前作は感想にも書いたが、血縁や家(系・業)を継ぐことを大いに意識させられた作品だったと記憶している
舞台が箱根だった、とはすっかり忘れていたが・・・
本作は、最近の時事ネタを連想させる舞台設定だった
パパ活やネットで高額に売れるレア商品の盗難、老いと認知症、余命宣告を受けた少年など
ストーリー展開や結びつきは流石東野作品と思わせた。
クスノキで家族が心の内を知ることで進展するということは、実際には思いの行き違いがいかに多いか、ということだろう
本作の準主役、病状の母を抱える少女、不治の病の少年が絵本に語らせ、認知症に怯える玲斗の叔母が朗読した終盤のメッセージ
「未来を知ることより、今生きていることを感謝することが大事(意訳)」
未来を見せてくれる女神を探していた少年が女神に見せてもらった〇年後の自分はやっぱり女神を探していた、という絵本のストーリーだった
本作の終り方が切なかったが、東野作品らしい終わり方だなと思った
2024年6月5日初版第1刷り
2024年6月10日初版第2刷り
「おーいクスノキ(前編)The Forward vol.1 (2021年10月)~
「今日の僕から明日の僕へ(第4回)The Forward Vol.6 (2023年2月)
の6作品をもとに加筆、長編としてまとめた作品
装丁 菊池祐
装画 千海博美