side by side:湘南夫婦のあしあと

二人が好きな地元湘南、スポーツ観戦、旅行、食べ歩き,音楽・美術鑑賞など、日々のあれこれを綴ります

それをお金で買いますか マイケル・サンデル (2319)

2023年05月23日 | 書籍・雑誌

*****ご注意!!!一部ネタバレの可能性があります!*****


「これからの正義の話をしよう」で著名な M.サンデル教授の2012年の著書

序盤で驚いたのは、生活習慣・価値観の違いはあるが、世界で売買されるものは多種で、中には(私世代の)日本人にとって驚きのものもあった。
例えば
刑務所の独房の格上げ
学生が読書をした時の1冊につき支払われるインセンティブ
自身の体に入れ墨をしてまで売出す広告スペース

経済学的には売買の当事者がハッピーなら市場主義は社会にとって問題ないとするけど、例えば「臓器」、例えば「子供」を売買の対象とすることに、人は嫌悪感を持ち、道徳的・倫理的に売買の対象としてはいけないと思う。

では、そのラインはどこにあるのか、どうしてなのか、ということを考えさせられる。

昨今では当たり前の選択肢のひとつである、例えばお金を払えば行列に並ばなくても良い「ファスト・トラック」、
例えば、料金を払えば良い保育園のお迎えの延長
かつては道徳的に行列は並ぶもの、時間は守るもの、としてきたルール(規範)が、お金を払うことによりルールを破っても後ろめたさを感じなくなる、という道徳観へも影響がでてくる。

そんな道徳観の揺れ動きから始まり、インセンティブ、生命保険、命名権へと話題が発展していき、他国の事例もあり、今一度自分がその値付けをどう考えるかの課題を貰ったように思います。

地元自治体の公共の施設(例えば市民ホール)の命名権を売る、設備を広告スペースとして売ることは自治体の収入を増やすので良いことに思いますが、学校関連の施設や設備・備品だったらどうでしょう?
書籍の中に特定語(商品名)が意図的に書かれていたらどうでしょう?(プロダクトプレイスメントというそうです)

その線引きは時代やエリアによって違うのでしょうが、今まで積み上げてきた道徳観・倫理観との違和感・摩擦感に鈍感にならないようにしなくては、と思いました。


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