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獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

池上彰/佐藤優『プーチンの10年戦争』を読む その4

2025-03-18 01:58:10 | 佐藤優

佐藤優氏のことば。

言うまでもないことですが、ロシアがやっていることは間違っています。独立国家であるウクライナにいきなり軍事侵攻を仕掛けるなど、どんな理由があっても既存の国際法では認められません。
そのうえで、ロシアにはロシアの論理がある。プーチンの演説を丹念に読み解く作業を通じて、読者の皆さんには「プーチンの内在的論理」に耳澄ませてほしいのです。私たちは「ウクライナ必勝」と叫ぶ必要はないし、プーチンを悪魔化して憎むのも良くない。両国で暮らす一人ひとりの人間に思いを致し、一刻でも早く戦争をやめさせなければなりません。

そこで「ロシアの論理」を知るために、こんな本を読んでみました。
一部、かいつまんで引用します。

池上彰/佐藤優『プーチンの10年戦争』(東京堂出版、2023.06)


日本では詳しく報じられたことがない20年にわたるプーチンの論文や演説の分析から戦争の背景・ロシアのねらいを徹底分析。危機の時代の必読書!1999‐2023年のプーチン大統領の主要論文・演説、2022年のゼレンスキー大統領の英・米・日本国会向けの演説完全収録!

『プーチンの10年戦争』

□はじめに ジャーナリスト池上彰
■第1章 蔑ろにされたプーチンからのシグナル
 □戦争は絶対に許されない
 □GHQによる日本統治の背景に、徹底的な日本分析あり
 ■ロシアの「核」に怯える愚
 □強引な「4州併合」の理由とは
 □日露関係は悪化していない
 □20年の思考の変遷を読む
 □「宣伝」のプーチン、「扇動」のゼレンスキー
□第2章 プーチンは何を語ってきたか
 __7本の論文・演説を読み解く
□第3章 歴史から見るウクライナの深層
□第4章 クリミア半島から見える両国の相克
□終 章 戦争の行方と日本の取るべき道
□おわりに    佐藤 優
□参考文献
□附録 プーチン大統領論文・演説、ゼレンスキー大統領演説

 

第1章 蔑ろにされたプーチンからのシグナル

ロシアの「核」に怯える愚

佐藤 日本もそうですが、西側の世論は「とにかくロシアが悪い」で思考停止に陥っています。ロシアからの情報をいっさい遮断して、読み解こうとしていない。あるいは日々の報道にしても、戦線のごく一部を取り上げて「ロシア軍が撤退」「ウクライナ軍が挽回」などと伝えるばかりです。昨年(2022年)5月ごろには、「年内にロシア軍はウクライナから放逐される」などという見方を示す専門家すらいた。根拠はどこにあったのか。疑問です。
例えば2022年9月、ゼレンスキー大統領が「ウクライナ東部と南部で6000平方キロメートル以上の領土をロシア軍から奪還した」と発表したことを例に挙げても、そのことがわかります。ロシア側の発表では1500平方キロメートルですが、いずれにせよ戦線全体から見れば大した面積ではありません。ところが、メディアはそれを針小棒大に取り上げて、ウクライナ側の勝利が近いかのような印象を与えている。現実には、まったくそうなっていないわけです。
あるいはロシアによる核使用がまことしやかに取り沙汰されますが、核による攻撃を受けたか、あるいは通常兵器による攻撃で国家存亡の危機になったときに使う、というロシアの核ドクトリンは変わっていません。なので、戦線の一部で劣勢に立ったぐらいで使うはずがない。ところがそういう知見がないため、日本も核武装すべきとか、せめて核共有だといった議論が軽々と出てくる。実態からどんどんずれて、かえって危険な方向にシフトしているわけです。

池上 ロシアは2022年9月にウクライナの東部と南部で「住民投票」を行い、4州(ヘルソン、ザポリージャ、ルハンスク、ドネツク)がロシア領になったと宣言しました。だからこの地域をウクライナ軍が攻撃すれば、それはロシアに対する攻撃と見なすと。だからロシアは自衛のため、報復として核兵器を使うかもしれないというのが、西側の考えたロジックですよね。しかし、仮に4州にウクライナ軍が猛攻を仕掛けたとしても、それはロシアにとって「存亡の危機」にはなり得ません。「核ドクトリン」に照らせば、核兵器の使用はないと判断できます。

佐藤 そうです。もっとも、のちほど詳しく議論しますが、2023年2月21日に、プーチンは大統領年次教書演説において核について言及しています。核ドクトリンは変わっていなくても、プーチンがアメリカの脅威を実態よりもかなり肥大化させて認識していることがわかる。そのため、アメリカを中心とする西側連合に対して「核の恫喝」を加えているのです。そのことには注意が必要です。

池上 米露間のコミュニケーション不足が、互いに相手への不信感を増大させ、脅威が膨らんでいっていることがよくわかりますね。非常に危険なことです。

佐藤 それから、ロシアの基本的な概念については、プーチンが何度も繰り返し表明しています。「ウクライナ人は同胞である」と。だから攻勢さえ保っていれば、将来の自国民を無理に殺害する必要はない。進軍が遅いのはそういうイデオロギー的制約があるためなんです。

池上 ところが、西側はその理屈をわかっていない。ロシア軍は兵器や弾薬が足りていないとか、最前線の軍隊の士気が低いとか、聞いて心地のいい理由づけに終始している感じですよね。

佐藤 状況を冷静に分析すれば、ロシア軍が決して劣勢ではないとわかります。例えば、4州にはもともと2012年時点で、950万人が暮らしていました。2014年からの戦争でドネツク州とルハンスク州からはかなりの人が逃げ出しました。正確な統計はないのですが、現時点でロシアが実効支配する地域に500万人が残っていると仮定します。一方、2022年9月21日の時点で、この地域に駐留するロシア軍は推定で35万人。その大半は戦闘に回るので、地域の治安維持を担うのはせいぜい5万人だと思います。
だとすれば、わずか5万人で500万人を統治できていることになる。これが何を意味するか、健全な常識を働かせればすぐにわかるでしょう。端的にいえば、統治ができている。ロシアは住民に対して食料と医薬品と教育を提供できているわけです。

 

 


解説
日本もそうですが、西側の世論は「とにかくロシアが悪い」で思考停止に陥っています。ロシアからの情報をいっさい遮断して、読み解こうとしていない。あるいは日々の報道にしても、戦線のごく一部を取り上げて「ロシア軍が撤退」「ウクライナ軍が挽回」などと伝えるばかりです。昨年(2022年)5月ごろには、「年内にロシア軍はウクライナから放逐される」などという見方を示す専門家すらいた。根拠はどこにあったのか。疑問です。

たしかに、今になって冷静に見ると、この佐藤氏の指摘は当たっています。
日々の報道では、戦線のごく一部を取り上げて、あたかもウクライナがロシアを圧倒しているような雰囲気を感じましたね。

 

獅子風蓮



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