★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

たたかう音楽

2020-06-01 23:27:58 | 文学


高橋悠治氏の『たたかう音楽』を読む。漱石の小説に、その小説に沿った読み方があるように、こういう書物にも読み方というものがある。我々はわかりやすすぎると思うものに対しては読み方を知らないだけだという――わたくしの経験から言えることだ。クセナキスの音楽を弾きこなす知性が文章のどこかにないとは言い切れまい。わたくしはいつも書いたものの肉体というか、無意識に接近してから、テクストに回帰してくるべきだと思っているのだ。