(一) 羈軛(きやく)を脱して別世界の人となる
1,羈は見出し語から推知可
羈の読みは、見出し語 羈束(きそく)11-3Y 羈絆(きはん)6-3Y 羈縻(きび)19-1Y 四字熟語 不羈奔放7-1K 狷介不羈14-2K 奔放不羈16-1K等から推知可能です。
2,軛は、訓読みは既出だが、音読み熟語は「辞典」には載っていない
軛は、訓読みについては見出し語(くびき)があり、13-2Y 18-3Yに出題されています。しかし、音読み見出し語はなく、また過去問でも出題されていませんので、三点セットからは解けない問題です。
私は、音符の厄(ヤク)と同じ読みと考えて正解できました。しかし、「辞典」には、音は、ヤクとアクの2つありますから実は難問です。軛の音読み熟語は、「辞典」にも「捷径」にも全く載っておりません。
3,漢和にもあまり載っていないが、国語辞典には載っている
また、漢和辞典には、ヤクは呉音(慣用音とする辞書もあり)、アクは漢音とありますが、この二つの音の使い分けについて説明してある辞書は見つけられませんでした。羈軛は、「大漢和」にも載っていない熟語で、漢和辞典で収録されているのは、私が探した範囲では「字通」だけでした。
ただ、「日国」には、載っており、明六雑誌の他、福沢諭吉の「文明論之概略」の用例として
不正不公の羈軛を脱して別に一世界を開き
が載っていました。問題文との類似性から、出題者が、諭吉の本を種本にしたことは略間違いないでしょう。諭吉の文章は今まで一度も出題されたことがありませんが、木村芥舟の「福沢先生を憶う」が6-3で出題されたことがありますから、そろそろ出題されるかもわかりません。尤も、諭吉を出すとなると、大隈重信も一緒に出さないといけないのかもしれません。
閑話休題、軛については、アクと読む熟語は見付かりませんでしたので、ヤクだけ憶えておけばよいと思います。
4, 厄の音符字
「音符字典」によれば
厄 ヤク
扼 ヤク (アク)
軛 ヤク (アク)
阨 アイ ヤク
の四つです。この内、扼の音読みも軛と同じです。ただ、扼について、「辞典」にはアクと読む熟語は載っていませんので、括弧で括ってありました。
阨については、阨狭(アイキョウ)9-3Y と困阨(コンヤク)18-2Yの読み分けに注意すべきことは以前述べたとおりですが、その他の厄の音符字はヤクと読んでおけばいい と考えます。
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