塩哲の空即是色

日々の徒然日記

ミュージアム巡り 江戸の罪と罰 棠蔭秘鑑

2015-01-07 05:47:01 | ミュージアム巡り_2015
 昨年の11月22日から12月14日まで、国立公文書館で特別展「江
戸の罪と罰」が開かれていた。当日伺った時は平日にもかかわらず、
数多くの鑑賞者が会場に詰めかけ貴重な資料を眺めて読む姿が印象
的だった。いつもは来場者も少なくてジックリと観賞できるが、今
回は企画テーマ「罪と罰」(犯罪と刑罰)が良いのか、なかなか先の
展示資料に進めなかった。

 今回の展示は、八代将軍・徳川吉宗による「公事方御定書」から
始まり、名裁きの実例や物語、死刑とえん罪の問題、江戸時代の牢
獄の実態など、また明治維新後の刑法制度まで紹介されていた。
 最初の展示資料は、公事方御定書の「棠蔭秘鑑」(とういんひかん、
天保12年・1842、全4冊・内務省旧蔵)。これは幕府の最高裁判所的
組織の評定所で編集された書。

 この文書は、老中や三奉行(寺社、町、勘定)など幕府の中枢部以
外は閲覧が許されなかった特殊な秘密文書である。
 しかし、極秘といっても裁判で判例等の調査担当役人が、その内
容を知っていないと仕事にならないため、書写して用いていたとい
う。そのため、誤写や脱漏も考えられ裁判に間違いが生じることを
憂慮し、評定所が正しいテキスト・公事方御定書を作成している。
 ちなみに“棠蔭”とは、中国・周代の召伯が地方に巡幸した時、住
民に迷惑をかけぬよう甘棠の木陰に野宿しながら公正な裁判を行っ
たという故事に由来し、“正しい裁き”という意味。
(国立公文書館:千代田区北の丸公園3-2)

最新の画像もっと見る