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柳生伸也のblog

読書と感想

2006-03-05 22:03:30 | 雑記
森鴎外の『高瀬舟』を読んだ。
昔読んだ事があって、最近なぜか急にまた読みたくなって読んだんだけど、今回は俺が読んだ後に母が読みたいと言った。

ご存知のように、この話は森鴎外が大正5年に書いた、要するに『安楽死問題』を取り上げた話だ。
なので、母の感想もその辺の事について(例えば、『確かにこれは殺人なんだけど、こういうのがその他の殺人と同じ刑になるのはどうなんだろうね』みたいな)の話になるんだと思っていた。

読み終わった母に、『感想、どうだった?』と訪ねてみた。

母は、『大正の世の中でも食べていくのにやっと、今の平成の世でも食べていくのにやっとで、時代は変わっても庶民の暮らしについてはあんまり変化がないもんだね。』と言った。

なるほど、確かに登場人物の罪人(喜助)はとても貧乏だし、もう一人の登場人物である町奉行の同心(庄兵衞)も喜助ほどではないにしてもそれほど豊かな暮らしをしているわけではない。

考えてみれば、我が家の家計は母が守っているわけで、いろいろと事細かに考えて家計をやりくりしているんだろうと思う。
そう言う生活が結婚以来ずっと続いてきたから、自然にストーリーの中でもそう言う部分に共感したんだろうと思う。

読書感想文と言うのを子供の頃には書かされたもんだけど、ああ言うのは何かの基準で『これはいい』とか『これはだめ』とか言われたくないよね。
読書の感想なんて、うちの母みたいに自然に思ったことを言うくらいでいいと思うんだ。
同じ物を読んだって、その人のバックグラウンドとかそこから来る考え方で随分変わる物だと思うしね。