oregonian way of life. 

オレゴンでの学生生活から南下して社会人生活へ。IT産業でホットなサンフランシスコ・ベイエリアで地味~に文系の仕事してます

「ファスト・フード」は過激思想?

2006-06-02 | 
最近日本人の間ですっかり市民権を得たような「マクロビ」こと、マクロビオティックス。わたしの母がマクロビ歴30年以上なので、わたしはずっと以前からこのマクロビを知っているわけですが、マクロビが市民権を得る日が来るなど夢のよう。以前は、「食養って、宗教?」とか「玄米?ダサッ!」というような反応しかなかったマクロビ(「食養」はマクロビの日本名)。いったいどのような過程を経て市民権を得たのか?やはり、主流社会がマクロビを「co-opt」したからか?(「co-opt」とは、多数派が少数派を吸収すること。)何てったって、肉を使った(!)マクロビ料理もあるようですから。マクロビに限らず、多数派から「ヘンテコ」扱いされていた食に関わる概念が市民権を得るようになるのは、よくあること。「ナチュラル(ヒッピー御用達用語)」や「オーガニック(食糧生産量が減ってアメリカ国民が飢える!)」が典型例ですね。

「ファスト・フード」という概念も、また然り。この概念、19世紀のアメリカでは、一部の女性同権論者に好まれていたようです。女性の権利を向上させる方法には当時、選挙権獲得を目指す政治的手段をはじめとして色んな考えがあったようですが、「女性を料理から開放する」というのもその一つ。ガスコンロなどなかった当時、3食まともに作っていると1日中料理に携わらなければならなかった女性たち。そのような労働に対して、「ヤイヤイヤイヤイ男ども、料理代、女に払わんかい!」と主張していた「過激な女性」もいたし、「料理がもっと速く簡単にできるようになる(つまり、「ファスト・フード」)といいのに」、と考えていた人もいたようです。「ファスト・フード」が実現すれば、女性が重労働(drudgery)から解放される!(当時の家事は、現在よりずっと重労働だった。)19世紀においてはこの「ファスト・フード」という概念、一部の女性同権論者が好んでいた「過激思想」だったようです。

この「ファスト・フード」、20世紀になって様々な料理道具が発明されると、食産業が「co-opt」。「この道具を使用すると、料理が簡単に早くできて、女性は余暇の時間が増える!」などとよく宣伝していたようです。その後マック(写真)などの出現とともに、「ファスト・フード」というコンセプトは以前は過激派の思想だったなどとは思いもしなくなったのは、ご承知の通り。こうしてみると、現在多数派から「ヘンテコ」扱いされているものがある日突然「おしゃれ」に変身しても、おかしくないですね。

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