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雨は夜半から降り始めた。激しい雨ではない。静かに音もなく降る雨だった。台風が日本列島に接近していて、やがて上陸するだろうとテレビの天気予報は伝えていた。万一のことを考えて、我々は翌日の行動日程を検討することにした。決して無理はさせない、安全を第一に考える、というのが我々の一致した意見だった。とにかく、晴れてくれさえすれば登山できる。せめて午前中だけでも、と誰もが祈るような気持ちだった。台風が近づいているとは思えないくらい、穏やかな夜だった。
翌朝5時すぎに目がさめた時、園長はすでに天気予報を見ていた。窓の外では微かに雨音がしている。台風はコースを大きく変えながらもさらに北上を続けていた。
登山を中止する、と静かな声で園長は言った。
翌朝5時すぎに目がさめた時、園長はすでに天気予報を見ていた。窓の外では微かに雨音がしている。台風はコースを大きく変えながらもさらに北上を続けていた。
登山を中止する、と静かな声で園長は言った。