山奥の小部屋より

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デジタル遺言に関する国会会議録

2018-11-05 21:12:14 | つぶやき
内藤司法書士が「「デジタル遺言」の可能性」と題する記事を掲載されています。

「デジタル遺言」の可能性 - 司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

いわゆる「遺言書保管法」が成立し、法務局において自筆証書遺言を保管する旨の制度が創設されました。

これから、更に進んで、紙ではなくデータ化した遺言を導入していくことも検討されることになりそうです。

第196回国会法務委員会第21号(参議院)における国会答弁等は以下の通りです。

参議院会議録情報 第196回国会 法務委員会 第21号

「○元榮太一郎君 新しい遺言が後から見付かるというのは結構相続の現場ではありまして、やはり本当にトラブルの原因になっているわけであります。今回の保管の義務付けというのは役所に出向くということなんですが、ほかの行政手続でも当たり前のことでありますから、その有効要件として厳しいということではないのかなと思っております。
 ほかの先進国を見てみましても、例えばイングランドですと二人以上の証人の関与が必ず必要ということで有効要件となっておりますし、フランスの場合は相続において公証人の役割が非常に重要で、相続税の申告書の作成、相続財産の管理など、あらゆる局面に公証人が関与するということで、これはある意味ハードルが高いのですが、しっかりと運用されているわけです。
 このような諸外国の実情を踏まえますと、単独で遺言ができるという点においては日本の遺言制度が厳し過ぎるという評価は当たらないと思いますので、本当にこの遺産分割トラブルをゼロに持っていくということでありますと、この保管を義務付けるというのも一つ有効な選択肢なのではないかなというふうに御提言したいと思います。
 続きまして、この自筆証書遺言に係る遺言書を保管する制度を設けるとともに、この遺言書の画像データの管理も行うというふうに聞いておりますが、昨今のIT化の進展が著しい現代の社会経済情勢に鑑みますと、更に一歩進めて、紙の遺言書を必要としないで電子情報だけで完結するデジタル遺言ということがあるべき未来の姿ではないかなというふうに思っております。
 このようなデジタル遺言の時代になりますと、例えば相続が開始すると、スマート遺言執行と言っていいのか分かりませんが、全部又は一部の遺言が即時執行されるというような可能性も出てきますし、あと遺言書の保管スペースが不要になるということもあります。さらには、遺言の存在やその内容等々についての検索や管理の利便性向上、こういったものも期待できると思いますが、諸外国ではデジタル遺言を導入している国はあるのでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 遺言の方式に関する諸外国の状況につきまして詳細に把握しているわけではございませんが、例えばドイツやフランスにおきましては、我が国の自筆証書遺言のように第三者が関与することなく作成することができる遺言について、御指摘のようなデジタル遺言書といったような方式は認められていないものと承知しております。
 他方、アメリカにおきましては、一部の州においてビデオ録音や電子署名の付されたコンピューターファイルの形式の遺言が認められておりまして、また、韓国や中国におきましては、録音による遺言が認められているものと承知しております。ただ、これらの方式におきましては、いずれも証人の関与が必要とされているものと承知しております。
○元榮太一郎君 我が国においては、デジタルガバメントということで、本年の一月十六日にはeガバメント閣僚会議においてデジタル・ガバメント実行計画というのが決定されまして、利用者にとって行政のあらゆるサービスが最初から最後までデジタルで完結されること、行政サービスの一〇〇%デジタル化というものが掲げられております。この計画には、死亡・相続ワンストップサービスということで、オンラインでどこからでも手続を可能とするワンストップ化も掲げられております。
 デジタル遺言ということで、行政サービスということではないのかもしれませんが、このデジタル・ガバメント実行計画及び未来投資戦略二〇一八というものの趣旨に一致するものであると思いますが、現在どのような検討がされているのでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、このデジタル・ガバメント実行計画におきましては、死亡相続に関連する行政手続、こういうものにつきまして、オンラインでこれらの手続を可能とするなどのワンストップ化を実現するというようなことが掲げられておりますし、未来投資戦略二〇一八におきましても、来年度からワンストップ化のサービスを順次開始することとされております。
 法務省といたしましても、関係各府省と連携して、死亡相続に関連した行政手続のオンライン化、ワンストップ化に向けた検討を行っているところでございますが、デジタル遺言書の導入につきましては、先ほど委員も御指摘もありましたとおり、行政手続とは直接の関連性がございませんのでこれらの計画には含まれておりませんで、具体的な検討は行っていないというのが現状でございます。
○元榮太一郎君 私としては、必ずそう遠くない未来にこのデジタル遺言の時代が来るのではないかというふうに思っておりますが、我が国にデジタル遺言書を導入するとした場合、どのような問題が考えられますでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 この法律案におきましては、自筆証書遺言の方式を緩和して、自筆証書遺言に添付する財産目録については自書することを要しないこととしておりますが、遺言書の本文については、現行法どおり遺言者本人による自書を必要とすることとしております。
 これは、遺言書につきましては、その成立の真正等が争いとなった場合でも、本人はもう既に亡くなっているために、本人の筆跡など遺言書自体から本人が書いたものであるかどうかや遺言者の真意により作成されたものかどうかを判断することができるようにする必要性が高いことなどを考慮したものでございます。
 したがいまして、遺言者が第三者の関与なくして記録、録音等により遺言書を作成することができる制度を導入する場合の主な問題点といたしましては、その遺言書が遺言者の真意により作成されたものであることを適正に担保する仕組みを設けられるかどうかということではないかというふうに考えられます。
○元榮太一郎君 遺言者の真意により作成されたものであることを適正に担保する仕組みが設けられるかどうかということでありますが、こういった真意の適正性担保という問題を解決してデジタル遺言書を導入する予定というものはございますでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 先ほども申し上げましたとおり、デジタル遺言書の制度につきましての主な課題は、その遺言者の真意により作成されたものであることを適正に担保する仕組みをいかにして設けるかという点が挙げられます。
 したがいまして、将来的な技術の確立によりまして、例えば、遺言者本人しか入力することができず、またそのことが客観的に明確となるようなシステムを導入するなどの方法により当該遺言書が本人の真意により作成されたものであることが担保されるのであれば、デジタル遺言書の導入についても将来的な課題として検討の余地はあるものと考えられます。
 今回の相続法の見直しは、社会経済情勢の変化等に鑑み、昭和五十五年以来の大幅な見直しをするものでございますが、今後のデジタル技術の進歩等を含め、この法律案施行後の社会経済情勢の変化を注視しながら、必要に応じて見直しの要否等について検討してまいりたいと考えております。
○元榮太一郎君 この遺言者の真意により作成されたものであることを適正に担保する仕組みというものは、テクノロジーが早晩解決するかなというふうに思います。アラブ首長国連邦のドバイでも、ブロックチェーン技術を活用した電子遺言書というものも実証実験等々も含めて検討しているということであります。
 世界に先駆けて我が国日本は超高齢社会を迎えているわけでありますから、この分野においては世界に先駆けてデジタル遺言という時代を切り開いて世界へ示すことも有効ではないか、有益ではないかということを訴えまして、私の質問を終わります。」

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