山奥の小部屋より

山奥の司法書士が感じたこと

バーチャル総会について

2020-03-27 10:54:45 | つぶやき
ドイツでは、新型コロナウイルスの影響に鑑み、完全バーチャル株主総会を実施できるような法案を通したようですね。

Hauptversammlung ohne Präsenzpflicht wird möglich

「連邦政府は、民事、破産、刑事手続においてCOVID19パンデミックの影響を緩和するための法律案を採択した。とりわけ、今回の法案は、初めて株式会社のバーチャル総会のあり方を明確にするものである。このように、会社、協同組合、協会、区分所有者組合の行動力と意思決定能力は、会議の開催の可能性が非常に限られているとしても、確保されることになります。また、スイスやオーストリアなどの他の欧州諸国ではすでに実施されているように、株式会社の仮想総会の可能性も初めて創出されます。」
「定款変更なしでバーチャル総会が可能に
新法の草案によると、会社の経営委員会は、定款の承認なしに年次総会にオンラインで参加することも可能になります。企業は、経営委員会の決議により、ドイツ証券法で規定されているオンラインアクセスを株主に提供することができます。」
(DeepL翻訳使用)

COVInsAG: Erleichterungen für Hauptversammlungen u.a. von AG

「法案では、総会開催の円滑化を規定しています。規制の狙いは、コロナ危機にもかかわらず行動力を維持すること。

ドイツ政府は、COVID-19パンデミックの影響を緩和するための法律案(COVID-19 Insolvency Suspension Act - COVInsAG)を準備している。法案が適時に可決され、立法過程に導入されることが想定されます。民事、倒産、刑事手続法の規定に加え、草案は、株式会社(AG)、株式有限責任組合(KGaA)、欧州企業(SE)などの総会開催を容易にすることを規定している。これらの会社は、会議開催の可能性に制約がある場合でも、必要なすべての決議を行うことができ、行動可能な状態を維持することができます。

現在の草案では、まだ立法手続きの中で改正される可能性がありますが、以下のような促進策が用意されています。

バーチャル総会
定款または手続規則の承認がなくても、経営委員会は、株主の参加と議決権の行使、および監督委員会メンバーの参加を、電子的な通信、および会議の映像と音声の伝送の承認によって命じることができます。

適用法の下では、物理的な総会は常に対面で開催されなければならず、オンラインでの参加と議決権行使はオプションとしてのみ可能であるが、経営陣は、株主およびその代理人の物理的な出席なしに年次総会を開催することも決定できるはずである。そのための前提条件として

総会全体の映像と音声の伝送が行われます。
電子通信による議決権行使(郵便投票または電子参加)および委任状による議決権行使が可能です。
株主の皆様には、電子的なコミュニケーションによる質問の機会を提供しています。
定時株主総会の決議に対して不服申立てをする可能性が確保されています。
質問に対する回答は、理事会の判断で決定することができ、また、少なくとも会議の2日前までに電子通信による質問の提出を命じることができる。これにより、株主の情報提供権が著しく制限される可能性が出てきます。」
(DeepL翻訳使用)

日本におけるバーチャル株主総会については、経済産業省が見解を示しています。

「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」を策定しました (METI/経済産業省)

民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案に対する意見書

2020-03-13 19:16:48 | 不動産登記
令和元年12月3日、法制審議会民法・不動産部会において、中間試案が取りまとめられました。
法務省:「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案」(令和元年12月3日)取りまとめ

これを受け、令和2年1月10日から同年3月10日の間、意見募集が行われていました。
「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案」に関する意見募集

私が把握できる限りの意見書は、以下のとおりです。

日本司法書士会連合会 日本司法書士会連合会 | 民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案に対する意見
日本弁護士連合会 日本弁護士連合会:民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案に対する意見書
東京弁護士会 「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案」に対する意見書|東京弁護士会
大阪弁護士会 民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案に対する意見書【PDF】
全国青年司法書士協議会 民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案に対する意見書 全国青年司法書士協議会
京都司法書士会 民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案に対する意見書【PDF】
奈良県司法書士会 民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案に対する意見書【PDF】
埼玉司法書士会 【埼玉司法書士会】民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案」 に対する意見書
一般社団法人全国銀行協会 民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案に対する意見について【PDF】
一般社団法人信託協会 民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案に対する意見書【PDF】
公益財団法人日本生態系協会 民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案に対する意見書【PDF】
公益社団法人全日本不動産協会 所有者不明土地問題の解決に向けた民法・不動産登記法の見直しに対する意見書【PDF】
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会 民法・不動産登記法見直しに係る意見 不動産取引等における現状と課題について【PDF】
公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会 民法・不動産登記法の改正について【PDF】
一般社団法人全国住宅産業協会 「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案」に関する意見【PDF】
一般社団法人不動産協会 「所有者不明土地問題解決に向けた民法・不動産登記法の見直しに関する意見【PDF】
日本行政書士会連合会 民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案に対する意見書 | 日本行政書士会連合会

成年後見関係事件の概況-2019-

2020-03-13 08:49:58 | 成年後見
成年後見関係事件の概況 | 裁判所
平成31年1月から令和元年12月までの概況が示されています。
「前年以前の数値について,所要の訂正を行うことがあるため,過去の概況において掲載した数値と一致しない場合がある。」と記載されているとおり、司法書士等の選任件数に若干の誤差があります。
最新の発表に基づいた数値は以下のとおりです。


最高裁令和2年3月6日判決(平成31年(受)第6号)

2020-03-06 15:43:04 | 司法書士
本日、司法書士の責任に関し、最高裁判決が言い渡されたようです。

最高裁令和2年3月6日判決 Courts in Japan

「 不動産の所有権移転登記の申請の委任を受けた司法書士に当該申請の委任者以外の者との関係において注意義務違反があるとした原審の判断に違法があるとされた事例」

関係図はこちら



一般論としての司法書士の責任については、以下のように述べられています。

「司法書士の職責及び職務の性質と,不動産に関する権利の公示と取引の安全を図る不動産登記制度の目的(不動産登記法1条)に照らすと,登記申請等の委任を受けた司法書士は,その委任者との関係において,当該委任に基づき,当該登記申請に用いるべき書面相互の整合性を形式的に確認するなどの義務を負うのみならず,当該登記申請に係る登記が不動産に関する実体的権利に合致したものとなるよう,上記の確認等の過程において,当該登記申請がその申請人となるべき者以外の者による申請であること等を疑うべき相当な事由が存在する場合には,上記事由についての注意喚起を始めとする適切な措置をとるべき義務を負うことがある」
「上記措置の要否,合理的な範囲及び程度は,当該委任に係る委任契約の内容に従って定まるものであるが,その解釈に当たっては,委任の経緯,当該登記に係る取引への当該司法書士の関与の有無及び程度,委任者の不動産取引に関する知識や経験の程度,当該登記申請に係る取引への他の資格者代理人や不動産仲介業者等の関与の有無及び態様,上記事由に係る疑いの程度,これらの者の上記事由に関する認識の程度や言動等の諸般の事情を総合考慮して判断するのが相当である。」

委任者以外の第三者との関係(上記図の上告人と被上告人の関係)については

「登記申請の委任を受けた司法書士は,委任者以外の第三者が当該登記に係る権利の得喪又は移転について重要かつ客観的な利害を有し,このことが当該司法書士に認識可能な場合において,当該第三者が当該司法書士から一定の注意喚起等を受けられるという正当な期待を有しているときは,当該第三者に対しても,上記のような注意喚起を始めとする適切な措置をとるべき義務を負い,これを果たさなければ不法行為法上の責任を問われることがあるというべき」
とし、その判断基準について
「義務の存否,あるいはその範囲及び程度を判断するに当たっても,上記に挙げた諸般の事情を考慮することになるが,特に,疑いの程度や,当該第三者の不動産取引に関する知識や経験の程度,当該第三者の利益を保護する他の資格者代理人あるいは不動産仲介業者等の関与の有無及び態様等をも十分に検討し,これら諸般の事情を総合考慮して,当該司法書士の役割の内容や関与の程度等に応じて判断するのが相当である」
としています。

そして、本件においては
・一連の売買契約,前件登記及び後件登記の内容等は既に決定されていた
・前件申請が申請人となるべき者による申請であるか否かについての調査等をする具体的な委任は受けていなかった
・前件申請については,資格者代理人であるC弁護士が委任を受けていた上,上記委任に係る本件委任状には,印鑑証明書等の提出により委任者であるAが人違いでないことを証明させた旨の公証人による認証が付されていた
・被上告人は不動産業者である上,その代表者自身が被上告人の依頼した不動産仲介業者の代表者や乙の担当者と共に本件会合に出席し,これらの者と共に印鑑証明書の問題点等を確認していた
・印鑑証明書の食違いは上告人が自ら指摘した
という事実を挙げ
「上記の状況の下,上告人にとって委任者以外の第三者に当たる被上告人との関係において,上告人に正当に期待されていた役割の内容や関与の程度等の点について検討することなく,上記のような注意喚起を始めとする適切な措置をとるべき義務があったと直ちにいうことは困難であり,まして上告人において更に積極的に調査した上で代金決済の中止等を勧告する等の注意義務を被上告人に対して負っていたということはできない。」
と判断し、東京高裁に差戻しました。

なお、差戻審における審理について、草野耕一裁判官の意見が付されています。