山奥の小部屋より

山奥の司法書士が感じたこと

訴訟の争点整理、クラウド活用へ IT化で裁判迅速に

2019-05-16 21:50:49 | 裁判関係
訴訟の争点整理、クラウド活用へ IT化で裁判迅速に:日本経済新聞

日経新聞が報じています。

まずは、全国の9裁判所からということです。
争点整理について、クラウドを活用。

弁論準備手続きについては、民事訴訟法170条3項が以下のとおり定めています。
「裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、弁論準備手続の期日における手続を行うことができる。ただし、当事者の一方がその期日に出頭した場合に限る。」

法改正を行わなくても、音声の送受信が可能であるツールを使用すれば、ウェブ会議の実現は可能ということですね。

ただし書きの扱いをどのようにするか。

この点、家事事件手続法54条は以下の通りです。
「第五十四条 家庭裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、家事審判の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。
2 家事審判の手続の期日に出頭しないで前項の手続に関与した者は、その期日に出頭したものとみなす。」

民事訴訟法における期日概念を変更するか否か。

民事裁判手続等IT化研究会の議論を注視する必要がありますね。

公益社団法人 商事法務研究会 民事裁判手続等IT化研究会

デジタルファースト法案、衆院通過

2019-05-11 09:37:04 | 各省庁の動き
日経より

行政手続きネットで完結 デジタルファースト法案、衆院通過:日本経済新聞

・デジタルファースト
・ワンスオンリー
・コネクテッドワンストップ

デジタルガバメント実行計画で定められた三原則ですね。

デジタルガバメント閣僚会議はこちら デジタル・ガバメント閣僚会議

第198回国会 参議院 法務委員会 第8号

2019-05-10 13:50:31 | 裁判関係
裁判のIT化に関する質疑が見受けられます。

参議院会議録情報 第198回国会 法務委員会 第8号

○元榮太一郎君 それこそ弁護士は全国転勤というのは余りしない仕事柄ですから、弁護士任官を増やす一つの施策、選択肢としても、エリア限定採用というものは検討の余地があるのかなと思いますので、是非とも御検討いただきたいと思います。
 あとは、最後ですが、裁判手続のIT化による裁判官の生産性の向上について伺っていきます。
 裁判手続等のIT化については、現在、法務省や最高裁の担当者らも参加している民事裁判手続等IT化研究会において検討が進められていると思います。
 これを受けて、最高裁の大谷長官は、今年一月の新年の言葉において、現在検討が進められている民事訴訟手続のIT化についても、手続の在り方を全体的に見直し、裁判の質の更なる向上を図る契機として取り組んでいくべきものと言えます、裁判官は、職員とともに、このような取組の意義を理解してこれを自らの課題として引き受け、真に望ましいIT化、ひいてはあるべき民事訴訟の実現に向けて、各庁で行われている取組に積極的に関わっていってほしいと願っていますと述べておりまして、裁判官や裁判所職員が主体的にIT化に取り組む姿勢が示されているものと思います。
 弁護士の世界では、この裁判のIT化によって生産性が劇的に向上するということが期待されておりまして、例えばeコートでして、ウエブ会議等を活用して裁判所への出頭が不要になるケースが増えるというこのeコートが実現すれば、全国津々浦々の裁判所に出頭している弁護士は大幅にその負担が軽減されます。
 これは、裁判所も例外ではなく、今回の裁判手続等のIT化を含め、ビッグデータやそういうAIといったものを活用しながら裁判官の執務における生産性の向上も目指していくべきなんじゃないかなと私は思っております。そして、それがまた、今判事や判事補の人手不足というものを補う可能性の一つだと思っております。
 そこで最高裁に伺いますが、この裁判手続等のIT化を含めた新しいシステムなどの導入によって、今後生産性向上が期待される裁判官の業務について御説明いただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
 民事裁判手続等のITにつきましては、委員から御紹介がございましたとおり、現在、有識者による研究会での検討が進められておりまして、最高裁におきましても、その研究会に参加するなどして関係諸機関とも連携しながら鋭意検討を進めているところでございます。
 委員から御指摘ございましたIT化後の裁判官の業務の在り方につきましては、IT化に関する法制面の検討や具体的なシステム設計等も踏まえて検討することになりますので、現時点では具体的なイメージまでは描けておりません。
 もっとも、民事訴訟手続へのITの導入は、当事者や弁護士の方々など訴訟手続の利用者の皆さんの利便性の向上はもちろん、裁判所の業務の最適化、生産性の向上にも結び付けていくべきことは委員御指摘のとおりでございますので、今後ともその点を十分に意識して検討を進めてまいりたいと考えております。


○石井苗子君 ありがとうございます。
 最高裁判所にお聞きしますけど、司法府もデジタル化を進めているという、必要性があるという認識でよろしいですね。ということでありますと、訴訟やそれから準備書面というのがあると思うんですが、これ、オンラインで提出することにおいて、質問したいのは、実務上、オンラインで提出することにおいてどのような支障があるかということを教えていただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
 委員御指摘の訴状などの書面のオンライン提出につきましては、書面を提出される方の本人確認ですとか情報セキュリティーの確保などの点において検討すべき課題があるものと認識しております。もっとも、訴状などの書面のオンライン提出を可能とすることは、当事者の皆さんの利便性の向上という観点からは望ましいものであると考えております。
 現在、民事訴訟手続のIT化につきまして、有識者による研究会の検討が進められておりまして、訴状などの書面のオンライン提出につきましてもこの研究会で議論が行われているところでございますので、利用者の利便性の向上という観点からも引き続き検討に関わってまいりたいと考えております。
○石井苗子君 最高裁でもIT化の検討を進めていただきたいと思うんです。
 もっと具体的な質問しますけれども、テレビ会議システムについてなんですが、利用環境の制約もあって利用が進んでいない、このように書かれております。利用環境というのはどういうことでしょうか。ハード面で通信機器がないということなのか、あるいはテレビ会議をする部屋がないとかそういうことなのか、具体的にどんな制約があるのか、教えてください。
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
 テレビ会議システムは、現在では、全ての地方裁判所の本庁及び支部に加えまして、一部の簡易裁判所に整備されておりますけれども、システムの構造上、裁判所と裁判所との間でのみ接続が可能なものとなっております。そのため、弁護士事務所等と裁判所とを結んでテレビ会議を行うということはできないというのが現状でございます。
 そうしたことから、テレビ会議を利用する場合には、テレビ会議システムの備えられた最寄りの裁判所までいらしていただかなければならないということがございますので、この点をもって利用環境の制約というふうに言われているのではないかと存じます。
○石井苗子君 少し、もうちょっと、あと一歩進めばできることだと思うので、検討していただきたいと思います。時間の制約や人材の、先ほど人数ということであればかなり節約できると思うんですが。
 最後の質問は、二〇二二年度頃の本格運用と書いてあるんですが、これを目途にして民事裁判手続をウエブ上で行うことを目指しているという、これは報道で知ったんですけれども、当事者双方が希望する場合に裁判所に出廷しないで期日を迎えるようになれれば負担が軽減されるので、訴訟のIT化が望ましいことの一例ではないかと私は思うんですが、この件につきまして、法務省において実際に検討をされているのかどうか、報道ベースだけなのか、最後にお伺いします。
○国務大臣(山下貴司君) 御指摘のような報道があったことは承知しております。
 まず、民事裁判手続のIT化については、現在、法務省において、諸外国の状況を調査するとともに、担当官が有識者による研究会に参加するなどして精力的に検討は行っております。この中では、一定の要件の下で、当事者が現実に裁判所に出頭することなく、裁判の期日をインターネット上で行うことができるようにすることも検討の対象となっているものと承知しております。
 また、検討スケジュールについては、昨年六月に取りまとめられた未来投資戦略二〇一八にもあるように、二〇一九年度中の法制審議会への諮問を視野に検討を進めております。当事者が現実に出頭を要しない期日の実現について、二〇二二年度頃からの開始を目指しているところでございます。
 法務省としては、引き続き、利用者の目線に立って、迅速かつ効率的な民事裁判を実現できるよう検討を進めてまいりたいと考えております。