山奥の小部屋より

山奥の司法書士が感じたこと

民事訴訟法(IT化関係)部会の設置

2020-02-28 11:59:46 | 裁判関係
令和2年2月21日に、法制審議会第186回会議が開催され、民事裁判手続のIT化に関する諮問がなされました。

法務省:法制審議会第186回会議(令和2年2月21日開催)

諮問内容は次の通り。

「近年における情報通信技術の進展等の社会経済情勢の変化への対応を図るとともに、時代に即して、民事訴訟制度をより一層、適正かつ迅速なものとし、国民に利用しやすくするという観点から、訴状等のオンライン提出、訴訟記録の電子化、情報通信技術を活用した口頭弁論期日の実現など民事訴訟制度の見直しを行う必要があると思われるので、その要綱を示されたい。」

法務大臣の会見では
「外国ではIT化,AI化まで進んでおりますので,そういったところまで目標に置いて,近年の情報通信技術の飛躍的な進展や諸外国における裁判のIT化の普及状況などを踏まえて,我が国の民事裁判手続をしっかりと国際レベルまでもっていってほしいと思います。」
とされていたため、AIについても諮問内容に含まれているかとも思われましたが、記者質問に対し
「今回の諮問事項には具体的には入っていないかもしれませんが,私としては,そのような期待を持っているところでございます。」
と回答しているため、具体的な検討は行われないかもしれません。

法務省:法務大臣閣議後記者会見の概要

民事手続のIT化・将来の展望と課題を聴講して

2020-02-26 09:51:51 | つぶやき
令和2年2月14日、仙台弁護士会にて、標記が開催された。

東北地区研修会「民事手続のIT化・将来の展望と課題」

民事裁判のIT化に加え、倒産のIT化についても言及された標記研修会。
デジタル・ガバメント実行計画や、デジタル手続法の施行等もあり、裁判分野もITの活用を避けることはできない状態であると思われる。

民事訴訟法132条の10が規定された当初、日本は、裁判のITに関し、先端を行っていたが、現状は・・・である。

同じく、後進と位置付けられているであろうドイツでも、2013年の裁判所電子的法情報交換促進法の計画により「すべての裁判所は2018年1月1日までに電子的法情報交換を利用可能としなければならず、弁護士及び公的機関は2022年までに電子的法情報交換に対応しなければならない」とされ、ZPO130d条により、弁護士及び公的機関は、オンライン申立て等が義務付けられることとなった。

韓国は、次世代電子訴訟システムを構築するため、タスクフォースチームを作り、2024年の稼働を目指しているとのことである。
十分な連携を取ることのできるシステムになることが期待されている。

アメリカ連邦裁判所は、e-filingを利用する際、許可が必要とのことで、裁判所によるトレーニングも実施されるとのことである。
もっとも、本人訴訟の場合、紙の申立てが中心になっている。
州裁判所は、統一した規律ではなく、まちまちである。
キング郡では、弁護士について、オンライン申立てを強制している(King County Local General Rule30(b)(4)(A))が、本人訴訟の場合は任意である。オンラインによる場合であっても、特段、許可等が必要とはされておらず、アカウントを作成することで利用可能とのことである。

20年くらい遅れていると評される裁判のIT化であるが、良いとこ取りをできるチャンスでもある。
失敗例を学び、成功例を取り入れることで、使いやすく、より開かれた司法が実現することを望む。

規制改革推進会議について

2020-02-13 21:45:26 | 各省庁の動き
規制改革推進会議 会議情報 : 規制改革 - 内閣府

第3回 規制改革推進会議 議事次第 : 規制改革 - 内閣府を見ると、直近の各ワーキングの動きについて、議論されたものと見受けます。

司法書士としては、商業登記に関する議論に目が行きそうですが、それだけではありません。

商業登記はこちら 第4回 デジタルガバメント ワーキング・グループ 議事次第 : 規制改革 - 内閣府

医療分野でも、オンライン診療が議論されていますし、現在の潮流から、非対面による本人確認というものは、議論として避けて通れないようにも思われます。
→これが良いか否かは格別です。

新しい技術を受け入れつつ、私たちが何を提供しているのか、再考する必要があるのかもしれません。

再考 司法書士の訴訟実務 | 法律書、実務書、書式なら民事法研究会

民法・不動産登記法部会第11回会議議事録

2020-02-13 20:44:00 | 不動産登記
法務省:法制審議会民法・不動産登記法部会第11回会議(令和元年12月3日開催)

9回、10回に先立ち、11回の議事録が公開されています。

中間試案がパブコメに付されているため、参考になる内容ですね。

中間試案へのパブコメは、3月10日までなので、まだまだ時間があります。

パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

骨太の意見を述べていきましょう。

民事裁判手続のIT化に関する諮問について(仮称)

2020-02-05 17:54:55 | 各省庁の動き
法制審議会第186回会議【PDF】

令和2年2月21日、法制審議会第186回総会が開催される予定となっています。

・自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の一部改正に関する諮問第109号について
・刑の執行の確保等のための刑事法の整備に関する諮問について(仮称)
・民事裁判手続のIT化に関する諮問について(仮称)
・民法・不動産登記法部会における審議経過に関する報告について

民事裁判手続のIT化について、2月3日よりフェーズ1となり、ウェブ会議による弁論準備手続が実施されていますが、今後は、法改正により、出頭を要しない口頭弁論期日も実現する見込みです。

【フェーズ1について】
9裁判所で「ウェブ会議」スタート~司法利便性が世界で52位の日本、民事裁判のIT化(ニッポン放送) - Yahoo!ニュース
ウェブ会議、大阪などで実施 民事裁判IT化で(時事通信) - Yahoo!ニュース
【研究会取りまとめ】
公益社団法人 商事法務研究会 民事裁判手続等IT化研究会

司法書士にとても身近な、不動産登記についての経過報告もなされる予定です。
【民法・不動産登記法部会】
法務省:法制審議会-民法・不動産登記法部会