赤穂城断絶

一日一本時代劇を見ていく企画
本日の一本は昨日の「柳生一族の陰謀」に続いて
深作さんでの東映時代劇を復興させる第二弾
前作の「柳生一族の陰謀」が二代将軍秀忠が家光の側近の春日局と松平伊豆に毒殺されたり
家光の首が最後には飛んでしまうというトンデモ時代劇という
ある意味新機軸の面白さをもった作品で
それなりに面白く堪能させてもらいましたが

今作は赤穂浪士つまり「忠臣蔵」のお話し
ってことで日本人の殆どが知り尽くしている作品を・・・
ってこととで深作欣二版の「忠臣蔵」となっていたようで
いきなり松下の廊下での刃傷事件から始まるのね
ってことでなんとあの"武士の情け"という浅野内匠頭を羽交い締めにして"殿中でござる"って言った梶川与惣兵衛になんとなんと東映映画では時代劇任侠を問わず悪役専門であった天津敏さんでした
深作さんならではのキャスティングでしょうか
って言うか金子信雄さんの吉良さんもナイスです

ってことでこれまた一応オーソドックスな歌舞伎でも演じられる「忠臣蔵」ではなく
深作さんご自身が換骨奪胎した「忠臣蔵」映画になっていたようで
日本人なら誰でも知ってると言うか
日本人の刃傷に至るまでの浅野と吉良との確執とか
”大石東下り”、”南部坂雪の別れ”等の「忠臣蔵」の名シーンが一切省略されているんですね
意図的に外した演出は、ある意味「仁義なき戦い」風なドキュメンタリータッチの「忠臣蔵」としていたんでしょうね

しかし、監督の意思に反して主演の萬屋錦之助さんは
時代劇に対する思い入れから独自の様式美でもって大石を演じきってしまうということで
実に予期せぬコントラストが微妙にハーモナイズされているんですね
これは深作さんには計算違いだったんでしょうか
後日「忠臣蔵外伝 四谷怪談」を撮影してますもんンね
錦之助さんも深作さんとはもう一緒の映画にはかかわって来てないし・・・

しかし、流石「忠臣蔵」なんと2時間30分の長尺にしては
そんな長くは感じなかった
討ち入り義士よりもおいしい小林平八郎の渡瀬恒彦さんでした
不和数右衛門の千葉真一さんとのクライマックスでの剣戟がすごかった

1978年製作、日本映画、東映作品
深作欣二監督作品
出演：萬屋錦之介、島英津夫、藤岡琢也、峰岸徹、千葉真一、近藤正臣、森田健作、遠藤太津朗、加藤嘉、安井昌二、藤巻潤、成瀬正孝、宮内洋、汐路章、織本順吉、西田健、西郷輝彦、丹波哲郎、金子信雄、田村亮、芦田伸介、渡瀬恒彦、曽根晴美、大滝秀治、青木義朗、天津敏、御木本伸介、成田三樹夫、若林豪、渥美國泰、三田佳子、中原早苗、岡田茉莉子、原田美枝子、橘麻紀、江波杏子、夏樹陽子、松方弘樹、三船敏郎