2006年の年明けと同時にたくさんの論文原稿が押し寄せている。これは2005年の暮れに二つがアクセプトされている状態での2006年2月のある日の状況である。
月曜日にGに投稿したリバイス論文のアクセプトのメールが届く。2006年のアクセプト第一号である。
暮れにインプレスになっていたGの論文の別刷り請求が来る。G誌のサイトではまだ閲覧できないのにNCBIからは閲覧もダウンロードもできる。著者が知らないうちに世の中に出ている恐い時代になったものである。
ポスドク1がGへのリバトルレターとDへの論文本体をメールしてくる。どちらも半年かけての追加実験をしている。Gはメジャーリバイスだが、リバトルレター上に展開されたレビューアーのコメントを見返してみるとマイナーリビジョンのようにも読める。その道のエキスパート3名からのコメントを待って、リビジョンサブミットの予定。Dの方へ送る論文はあともう一つ図のパネルが必要だが、2週間くらいの内には完成できそうである。
日本のコラボレーターから、Nへ投稿終了と最終版が送られてくる。昨年、別のNへ投稿し、レビューアーと大バトルを展開した論文である。そのときのものに比べてデータも追加したし、本文も格段に読みやすくなっている。あ、タイプミス発見。
となりのラボのPIが著作権の用紙にサインを求めてくる。あ、じゃああれはCに通ったの?と聞いたらそうではなく、Gへ投稿するとのこと。p値に誤植があって、そのために有為差がないと誤判断されたとのこと。ほんまかいな。まー、それだけじゃないってことは分かっているのだが。
オーストラリアのコラボレーターからあともうちょっとで論文が完成すると連絡が入る。こちらの論文とJへコサブミットしましょうという話しになっている。同じマウスを使って異なる臓器の表現型を見ている。まあ、同じ雑誌でなくてもよいのではあるが、こちらの方は、作りました、こんなんでした、というストーリーなので、一緒のほうがあちらにとっては都合がよい。サンプルはぜんぶばみら自らが調整し、莫大量のドライアイスとともにG5の空き箱に積めて送ったという、
あれである。あちらのほうは表現型がはっきりしているのであるが、こちらのほうは、作りました、(解析は)困難でした、なので、Jをクリアできるかどうか、それはこれから1週間のポスドク2のデータにかかっている。
そうこうするうちに北欧のコラボレーターから、Nに投稿した論文はメジャーリバイスになったとメールが入る。たしかにデータは少なめだったからしょうがないかな。中西部のコラボレーターと先月同じNに投稿した論文はレビューにまわったようである。
前後して、日本の別のコラボレーターからNへ投稿するという速報形式の原稿が届く。2年ほどやりとりしているプロジェクトで当初の予想をはるかに超えて興味深い結果が出ている。サプルの図の扱いに意義ありとメール。こちらも2週間程度で英語の校正も含めて完成稿ができるだろう。
中北部のコラボレーターからはDへ間もなく投稿するという原稿が届く。オーサーになるかどうか知らせてほしいという。メジャーな結論への寄与は多くはないので、謝辞でかまわないと返信。このあたりのさじかげんもそれぞれだろう。
かと思っていたら前のボスから、Dへ投稿した、というPDFが。しっかりコーオーサーになっている。ありがたやありがたや。でも、投稿する前にオーサーになるかどうか一人一人確認するのが研究者の倫理だと教えてくれたのはボス本人なのであるのだが。
あちこちからメールが殺到する中、ばみらはラボを離れたポスドク3のデータの発掘作業に追われていた。生理学的にけっこう面白いデータなので、これもなんとかまとめてDあたりに押し込みたいものである。東部のコラボレーターとの密接な共同作業である。神の手を持つ人間とは仲良くなっておくものである。
ラボの方では、ポスドク2とポスドク4がそれぞれの最初のファーストオーサーの論文を書いている、はずである。少なくともマテリアルメソッドは書いていることは確認してある。ポスドク5には今年中に論文4個分のネタをつくらせようと鞭を入れている。あめも与えている。この前はバッファローのステーキを食わせたし、そのまえは日本のビールをたっぷり飲ませている。タンドリーチキンも七面鳥も食わせた。ポスドク6は、え、なに、就職が決まったので、あと2週間で出ていく?しょうがない、めでたい話しということにしておこう。ポスドク7は、あれ、おーい、どこにいるんだ??
というわけで、どとうの一日が終わって、日本語メールをあけると、SEさんからのメールが。
「オーストラリアの原稿のつづきまだですか?」
戦士に休息はない。
(最後のパラグラフはフィクションである。)
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